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T097  《条件を達成しました》




《条件を達成しました》





*



「ちっ!かったいなー、全然割れそうにないぞ」


「…」




 時はさかのほり、ビュアがシリウスに攻撃をし始めた頃。

 一方でハルトはそこから1歩も動かないダイチ(守護神)にイライラしていた。ミカと合流した後、隙を見て彼の後ろに後退したシズカとレンに追撃とばかりにミカが突っ込んで行ったが、そのタイミングで守護神が放った技によりミカとハルトは分断されてしまった。


【絶壁】


 それはダイチを中心に展開する極大バリア。それはまるでダイチをさかいに、ステージをふたつに分けるほど大きな壁がそびえ立つようである。そのバリアはただ大きいだけでなく、ハルトが斬ろうともビクともしない。


 そのバリアの向こうでは、ミカがシズカとレンにはさまれるように攻防を繰り広げている。そこにさらにサナタリアまでもが弾幕を展開。1体1、1体3の構図になってしまった。


 焦るハルト。それをぼへーっとした顔で見つめ返すダイチ。


「やっぱり普通の攻撃じゃあ効かないか。…【剣ノ名ヲ持チ表ス「一」】!」




 その剣が振られると同時に、その軌道上にあった空間が切り裂かれるようにズレる。



キンッ!!!!



 そして今度は、あっさりと横1文字に綺麗にスパッと割れるバリア。この光景に後ろで次の詠唱に取り掛かろうとしていたリンは驚きに目を見開く。


(あのカチカチの防御を斬った…?私の防御の加護もつけてるのに)


「わ…あっさり…」


「おりゃッ!!」


ガキン!!


 ダイチのバリアが割れたことで、ミカが3人の弾幕を振りほどき後退。分断されていた状況から脱することに成功した。


「流石に3人はキツイぜ…」


「無茶はするなよ?そろってないと意味が無いからなw」



「おうよ!」


「【芽吹きの朝】」


 サナタリアによって放たれる弾幕。それは広範囲に広がりハルトとミカを襲う。しかし、密度が薄く、あまり速くもないため、全て回避は容易い。


「全員!!注意ですわ!」


 しかし、アリアの警告後。その弾幕が地面に着弾した時、その着弾箇所から次々に木がにょきにょきっと生えてくる。

 アリアが警告したおかげで、ハルトとミカは変化が起きた瞬間。上空に〔飛行〕で逃げることに成功していた。


「【業火よ!焼き払え】!」


 間髪入れず、今度はシズカの技が飛んでくる。それは〔火炎〕弾であり瞬く間に生えてきた木々を燃やし始めてしまう。が…


「アリアが先に霧を撒いてたからやりやすいね〜【氷の心ガラスのハート】!」


 試合開始直後に【水生「ウォーターミスト」】を使ったアリアのおかげか。辺りにただよっていた水を媒体ばいたいに、ハルトの援護に向かう途中だったユキが、【氷の心ガラスのハート】を使い、燃え始めていた木々をそのまま氷漬けにする。


「私の植物達!!そのまま凍っちゃったです!?」


 動揺するサナタリア。そこへさらに…


「よっとッ!喰らいなッ!【ドーン】」



 ミカから放たれるビームがサナタリアを襲う。


「しまったです!?!?」


 ドーン!上空からサナタリア目掛けて打たれたビームは、傾斜けいしゃがついていたために地面にあたりその辺りを蒸発させる。


 回避行動をとったサナタリアだが、ギリギリだったためにその余波に巻き込まれてしまった。HPはほとんどを持っていかれてしまう。


 さらに…


「行け!【ヒュドーン】」


「【絶壁】ッ!?」


ガキン!!


「お前の相手は俺だぜ?」


「あ、ついでに私もね〜」


 上空に機械砲を飛ばし技名を叫ぶミカに、そうはさせない!と再度バリアを張るダイチ。しかし、そこにハルトとユキが向かい、さらに…



「よし、じゃあ張り切って歌いますか!…恥ずかしいけど…『〜♪』」


「おっ?始まったな」


「いいね〜」


「私は守ればいいのですわね」


「動画撮りたいのですが、今は我慢しておきましょう」


「多才だよなー」


 ナユカが初めに使った技。


弾幕響鳴だんまくきょうめい「スピリチュアルビューティ」】は先に外周に設置した〔魔法陣〕が関係している。その〔魔法陣〕が光り輝き、そこから流れてきたのは、ゲーム内ではBGMが流れてこないためあまり人気の無い。PVなどでよく使われるこのRBGのテーマ曲。


 本来ならそこに歌詞など存在しないが、ナユカとユキで勝手に歌詞付し、勝手にアレンジした音源を使って歌を作り上げてしまっていた。なお、事後。ユキ経由で運営に「こんなん作ったけど勝手に使っていい〜?」と聞いたところ。「ゲーム内でならOK」と帰って来たという。


 そんなこんなで会場中に〔効果音〕として無理やり〔魔法陣〕から流している音楽。その曲に合わせてナユカが〔歌唱〕で歌い上げていた。


・HP特定回復

・MP特定回復

・ SP特定回復

・GP特定回復

・EP特定回復

・WP特定回復

・CP上昇

・注目度上昇

・魅力値上昇

・移動速度上昇

・行動速度上昇

・クリティカルダメージ上昇

・攻撃力上昇


 その途端。これらが付与される「リリース」のメンバー達はそこからはもう、ほぼ無双状態に突入する。


 ナユカの使ったこの技は、観客の感情により効果が変わるため、綺麗、可愛い、魅力的、かっこいい、凛々しい、上手い、驚き、憧れ、恐怖、etc. そんな感情を、全て味方にバフとして付与することができる。

 しかも、今回がこの技のお披露目ひろめかつ、よく耳にするけど大して定着がないBGMがアレンジされ、それをこの決勝戦で歌い上げる。

 そういった演出に、ナユカに向ける感情は計り知れない。観客はもちろん、生放送の向こう側も大盛り上がりだ。



 会場を支配するナユカ。



 今此処、闘技場はライブ会場と化していた。





ステータス



ーーーー



名前 ナユカ


所持金 218300G



HP 0├─────────╂─┤


MP 0├──────╂────┤


CP-5 ├─────┼─────┨5


称号「回避の極意」




《スキル》


『パッシブ』


「原型」

魔力 魅力


「強化系」

体力強化 魔力強化


「生活系」

食べる


『アクティブ』


「属性系」

火 光 風 水 土


「変化系」

火炎 爆発


「鑑定系」

植物鑑定 鉱石鑑定 物品鑑定


「色彩系」

赤 青 緑 紫


「動作系」躱す 回す 伸ばす 直角 止める 減速 連動 集合 舞う 帰還 条件 打ち上げ 曲げる 振りまく 追尾


「設置系」

魔法陣 設置


「音響系」

歌唱 効果音


「表示系」

地図 表示 隠蔽 掲載


「部位系」

足 手


「命名系」

技名 合技


「技術系」

短剣術 剣術 槍術 弓術


「造形系」

星 針 魚 桜


「体術系」

叩く スーパーアクセル 蹴る


「防御系」

防護 受け身


「装備系」

装備


「生産系」

鍛治 裁縫 調理


「飛行系」

ジャンプ 飛行


「状況系」

逆境 鼓舞


「行動系」

拍手 笑顔 投擲 与える


「?」

念話


ーーーー


【煌星流姫「ペンタゴンスター」】


【舞戦扇武「ダンスフィンブレード」】


【昇華星林「トゥインクリング ナイトフラワー」】


【赤眼発動「ワールドビュー」】


【君と咲かせよう】


【弾幕響鳴「スピリチュアルビューティ」】


状態

・MP常時回復

・HP常時回復

・注目度超上昇

・魅力値超上昇

・反応速度上昇

・物理耐性上昇

・ SP特定回復

・GP特定回復

・EP特定回復

・WP特定回復

・CP上昇

・移動速度上昇

・行動速度上昇

・クリティカルダメージ上昇

・攻撃力上昇

・飛行速度上昇

・攻撃力上昇

・水中移動速度上昇


・防御力激減





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