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T098  『解き放て!』「「「「「【リリース!】」」」」」



『これは!!』


『周りの魔法陣。〔効果音〕で無理やり音楽を流している。歌はアレンジ?』



『この曲はこのRBGのメインテーマですか?なかなかいい感じに仕上がってますね!!』


『うん』


 ナユカが歌い始めてすぐに、闘技場はその歌声のとりこになる。実況のアキアカネと解説のヒカリは、その技の歌声を邪魔しない程度に解説を始めた。


『ナユカ選手の歌声も会場中にひびいております!!これは試合が盛り上がる演出としては満点です!さぞ「リリース」のメンバーはテンションが上がるんじゃないでしょうか!!』


『それだけなら良かった。のにね…』



『まだなにかあるのですか?』


『あれは。あの技は。よりにもよって。〔魅力〕持ちのナユカ選手が歌っている。これの意味するところは…』


 もったいぶるヒカリ。


『今。「リリース」のパーティーには。とてつもないバフが付いている』


『バフですか?でもとてつもないとは言っても、試合が傾くほどはn』



『ある』


『そんなにですか?』



『ある。あの技が始まった時点で。もう既に。「アインズ」のパーティーは。9割負ける』


『!?そんなにですか!!?そんな断定みたいな…!?いくら「リリース」のメンバーが強いとはいえ、対する「アインズ」のメンバーも錚々《そうそう》たる面々ですよ!?前のイベント「スカイ スクランブル」では彼らの力がなければクリアなんてできないと言われていたんですよ?』



『仕方ない。証拠しょうこ。見せた方が早い』


 ヒカリの言葉に未だ疑問を浮かべるアキアカネ。その試合を見ているほかのプレイヤーや観客もそう思っているのだろう。疑問を浮かべているような表情がみてとれる。

 そんな状況を見てかヒカリがメニューを開き、GMコールをする。


《ハイハイこちらGM〜♪どったのヒカリちゃん》


『今の現状知ってて。言ってる?』



《知ってるとも〜♪それで?要件はなにかな?》


『私の権限で。一部特定プレイヤー。ステータスを開示して』



《そのプレイヤーとは?》


『ナユカ。ユキ。この2人の状態を。見せないとたぶん納得しない。何が起こってるか。解説の能力じゃ。この場合説明ができない』





《OK〜♪マザーから許可出たよ。まあ、今回のは仕方ないしね♪それで会場に表示すればいいのかな?》


『お願い』



《ほい♪要件はそれで以上かい?無いならもう切っちゃうぞ〜♪今忙しいんだよね…。 色々と》


『ん。ありがとう』



《じゃね〜♪》



 と、いきなりGMコールしだし、解説のマイクも切らないで、会話全てを筒抜けにした状態で話し出したヒカリに、会場にいたプレイヤーはもちろん。隣にいたアキアカネまでびっくりしている。


 そんな会話が終わりヒカリがだまると、会場のど真ん中に全方角に見えるようにホログラムウィンドウが現れる。


 そしてヒカリが頼んだステータスが開示された。



ーーーーー

ステータス


ユキ


状態

・周囲冷却

・凍結無効

・クリティカルダメージ上昇

・攻撃力上昇

・防御力上昇

・飛行速度上昇

・水中移動速度上昇

・HP特定回復

・MP特定回復

・ SP特定回復

・GP特定回復

・EP特定回復

・WP特定回復

・CP上昇

・注目度上昇

・魅力値上昇

・移動速度上昇

・行動速度上昇


ーーーー


ステータス


ナユカ


状態

・クリティカルダメージ上昇

・攻撃力上昇

・飛行速度上昇

・水中移動速度上昇

・MP常時回復

・HP常時回復

・ SP特定回復

・GP特定回復

・EP特定回復

・WP特定回復

・CP上昇

・注目度超上昇

・魅力値超上昇

・反応速度上昇

・物理耐性上昇

・移動速度上昇

・行動速度上昇


・防御力激減


ーーーー


『え?なんですか?これ』


 いや、わかっている。これがナユカとユキのステータスに付いているバフだということくらい。さっきのヒカリとGMの会話を聞いていればわかってはいる。わかってはいるが一体どうしてこんな量のバフがかかっているのか?そのことについて理解が追いついていないのである。


『やっぱり…』


『これが…、ナユカ選手が付けたんですか?』



『〔魅力〕それは本人以外の。プレイヤーの感情を。力に変える力。それはゲージが正の数にかたよれば。効果が強くなり。見ているものの感情が強く。多くなれば効果が増える。そしてそれを味方に。効果は落ちるかもだけど。魅せ分けることができる』


『そ、そんな』



『もちろん。それだけじゃない。魅せる。舞う。歌う。何よりも。本人の人をき付ける力。それらが組み合わさってできた。このタイミングのための。今までの試合は。言わば前座。ユキが考えそうなこと』


『もう、何も言えないですね…』



『アリア選手が〔魔力〕。

ハルト選手が〔気力〕。

ビュア選手が〔霊力〕。

ミカ選手が 〔電力〕。

ユキ選手が 〔妖力〕。

ナユカ選手が〔魅力〕。

 これら全てこの最後の決勝戦で盛大に公開する。そして…』


『そして?』




『言わない。言わなくてもすぐに分かる。忙しいって言ってたし…』




 会場は再び試合中のプレイヤーに注目する。しかしそれは、ヒカリの言った言葉の真意をみ取ったからではない。


 今ここでナユカがラスサビを歌い始める。





*




「詠唱!完了しましたわ!」

「【フルチャージ】!!」

「いつでもいけますよ!!」

「〔装備〕黒龍「煉」」

「サビ終わりでかませ〜!!」




『これは♪私たちの物語♪その個性を♪』


〇(((((3)))))

〇(((((2)))))

〇(((((1)))))

。い

。ま

。と

〇き

。は

。な

。て!!

〇「「「「「【リリース!】」」」」」






 巨砲から放たれる極大レーザーが分散しながら散弾のようになり。




 水がうねりながら何本も縦横無尽じゅうおうむじんにかけめぐり。




 その水を凍らせながら、いばらのように氷が相手をつらき。





 さらにその中に、デバフもりもりの弾幕がその茨をうようにかけめぐり。





 トドメにど真ん中を、茨全てを壊しながら襲う黒龍のブレスが着弾し大爆発を起こす。






 ここに全ての攻撃が合わさった。


 彼らの力の解放は未だ生きていた相手を瞬殺する。


『〜♪』


 歌が終わり、圧倒的な差を見せつけながら「リリース」は完全勝利を決めたのだった。
























『イベント終了後、プロジェクトVer.1.00 を開始致します』

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