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V1.01  家を出る。右を見る。なんか刺さってる?


……………

…………




『おかえりなさいませ』


「ホイホイ、ただいまー」



『公式より1件メッセージがございます。聞かれますか?』


「うん!」



《RBGから皆様へ。第五次革命が確認されました。よって急遽《きゅうきょ》メンテナンスになりましたことをお詫び申し上げます。また、これをもちましてRBGメインストーリーが開始されましたことをお知らせ致します。このメインストーリーは、プレイヤー皆様で進めていただくストーリーとなっています。また、細かい要素を追加致しました。詳しい内容は公式発表映像をご覧下さい》


 メインストーリーか…。たぶんワンタイムイベントがそれなんだろうね。なにか関わることがあれば積極的に探ってみようかな。



『ログイン場所はどう致しますか?』


「現在地で」



『かしこましました。行ってらっしゃいませ』



………

……


*






「よっと!」


 私がログインして少しして、はにかみながらユキがログインしてくる。少し時間かかったね?


「ごめ〜ん。待った〜?」


「いや。待ってないよ。というか一緒にログインしといてその文言はおかしくない?」



「んへへ〜」


 今日もユキはかわいい。

 何はともあれ、2人で私の部屋から出ていく。部屋にずっと居てもオーブが見つかる訳じゃないからね。


「さて!まずはギルド関連の話をしないといけないから、みんなとカフェで合流かな〜?」


「そうだね。これからも仲良くできるならそれにこしたことはないからね!」


 そんなことを話ながら、私たちは玄関から外に出る…






 そして2人してあゆみを止めてしまった。



「あれ?」


「なにこれ?」


 そこに広がるのは…。現実と変わりない風景ではなく。至る所がくずれている。または煙を上げ、たまにどこからかなにかの咆哮ほうこうなんかも聞こえる。普段の玄関から出た景色とは全然違った光景が広がっていた。



「え?世界ほろびちゃった感じ?」


「さすがに大丈夫だよ〜。これは…、たぶん昨日の隕石いんせき影響えいきょうだね〜」



 そんな私たちの前に、近くの林からモンスターが現れる。このゲームは黒龍は別として、滅多めったにモンスターが出てこないと聞いたことがあったような?

 でもこの感じ…。いろんなところにモンスターがいない?空を見上げたらいろんな「鳥」のようなモンスターが飛んでいる…

 えー?いきなりゲームが180度変わったぞ?これはもしかしなくても常時モンスターが跋扈ばっこする世界になったんじゃ?



「およ?ナユカ〜イベントだって〜」


ーーーー


強制イベント

 戦闘不可エリアまで生き延びよ


勝利条件:戦闘不可エリアへの侵入

敗北条件:なし


ーーーー



「なんか始まったし!」


「とりあえず闘技場が1番近いかな〜?」



「とりあえず闘技場に行けばいいんだよね?この感じ」


「だね〜」



 そうして私たちは闘技場に向かおうとする…、が。



「ユキ…。あれ何かな?」



 私はふと家から出て右を見てしまった。そこにあったのは明らかに人工物の巨大なかたまり。それが、イベントで隕石として降ってきました!!と言わんばかりに地面にクレーターを作り上げ、そのまま垂直に突き刺さっている。



「ん〜…。宇宙船?イベントシーンもそんな感じだったよね〜?」


 その宇宙船は、私の家からすぐ近く。ちょうど裏手にある博物館と家の間から伸びている林に落ちていた。



「行ってみる?」


「気になるし行って見ようか〜!」



「うん!」



 私たちは好奇心には勝てず、まずは宇宙船を調べてみることにした。だって目の前に未知が転がってるんだもん。行かない訳にはいかないよね?



 道中、少数のモンスターが私たちを見つけ、途端に襲ってきたが魔弾を当てるとすぐに消滅しょうめつしていく。


 あれは小説とかで出てくるゴブリンってやつじゃないかな?緑の小さな人型だし。

 そのゴブリンは手に持った武器を振り上げてこちらに向かって来るのだが、こちらは遠距離なおかつ空を飛べるので驚異でもなんでもない。一方的にタコ殴りにできる。はっきり言って弱い。

 難なくその宇宙船まで辿り着いてしまった。



「う〜ん…。やっぱり宇宙船だね〜」


 このゴテゴテした機械感。正しく宇宙船である。しかし…


「近くで見ると…。でかいね」


 見上げるくらいにはでかかった。私の家…、と同じくらい?

 と、その時。


『ザザ…ザ…こちら…ザザ…号…各艦…ザザ…ザ…せよ!!…ザ…』


「ユキこれなんか…」


「思いっきりイベントのやつだね〜」


 どこからか声がノイズまみれで聞こえてきた。まあ、目の前の宇宙船からだと思うけど…


『ザザ…ザ…っ!?…誰か…ザ…いるのか…ザ…ザザザ…?』


 あ、気づかれたっぽい。


「いるよ〜。なにかお困りのようだけど〜…。大丈夫?」


 ユキが宇宙船から聞こえるその声に応答する。いやー、勇気あるね?敵かもよ?



『ザザ…ザ…幸い…ザ…命に関わる…ザ…ような重症…者は…ザ…いない…』


「それは何より〜。それで?あなた達はそらから落ちてきたようだけど、どうして不時着してるの?」



『…すまない…落ちて来といて言うのも…なんだが…ザ…この星の者に迷惑を…ザ…かけるつもりは無い…ザ…ザザ』


 敵意はないみたいだね?


「そっか〜。じゃあ、あなた達が落ちてきてから、モンスターがうじゃうじゃ出て来てるんだけど、どうして?」


『…ザ…我々は敵から逃げ…ザ…てきた…ザ…ザ…その敵の攻撃がモンスターを…載せた爆弾…ザ…なのだ…。巻き込んで…しまい申し訳ない…ザ…』



「そういう事か…」


 ユキは今の会話で何かをつかんだみたいだね?私はちんぷんかんぷんだよ?ノイズがひどくて内容が分からない!


「じゃあ助けてあげるよ〜?見返りは仲良くなること〜!この星のプレイヤーに攻撃しないこと。もちろん守ってくれるなら、こちらからも危害は加えないよ〜!」


『い…いいのか!?…ザ…そうして貰えると…本当に助かる』



「こっちもモンスターがあふれて混乱してるから、出来れば情報が欲しい〜…。というのもあるけどね〜」


『わかった…今ハッチを開けよう…。このままだと何かと不便だからな…』



「よろしく〜」


 あ、なんか話がまとまったっぽい?

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