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第42話

「急にきてごめんね。迷惑じゃなかった?」


「すごく驚いたけど、愛に会えたから嬉しかったよ」


「へへへ。よかった」


職場体験も無事に終わり、その日の夜愛といつものように電話をしていた。

毎日電話委しているわけじゃないが、電話できるときは話している。

いくら学校のみんなが付き合っていることを知っていたとしても、やはり陰キャと才色兼備の愛が一緒にいるのは変に目立つ。

だからできるだけ穏便な学校生活を送れるように意識しているから、学校では最低限しか話さないようにしている。

その分を夜に補填している感じだ。愛からはもっと学校でも話したいといわれるが、もう少し待ってといっている。

ヘタレ彼氏ですいません。


「みっちゃんの美容師かっこよかった。美容師どうだった?」


「思っていたよりも楽しかったかな。でも山田さんだったから楽しかっただけで、責任感のいる仕事だし自分が知らない大変さなんかがあるんだろうなと思ったよ」


「そっか。それは保育士も同じだね。私たちも小さいときは当たり前のように保育園に通って先生にわがままいっていたけど、わがまま言われる側になったらこんなに大変なんだって。あと子供の面倒をみること以外の仕事が多くてびっくりしたかな。みっちゃん知ってる?保育園のお遊戯会や運動会の小道具の準備って先生たちがしているらしいよ。私とさくらも手伝ってきた」


「そうなんだ。確かに小学校からは自分たちで準備したけど、保育園の時って準備ってしていなかったかもしれないな。それは先生たち大変だ」


「しかも保育士って給料が公務員の中でも安い方で、先生たちが労力に見合っていないって文句言っていた」


「生々しいね。でも実際にその現場で働いている人たちにきかないとわからないことってあるよね。俺も山田さんに美容師の話聞いて自分の認識の甘さを思い知った感じ。ネットで調べることはできるけど現場の声は現場で働いている人に聞くのが一番だね」


「うんうん。みっちゃんは将来美容師になるの?」


「まだわからないかな。でも美容師も選択肢の一つとしてはありかなとは思っているよ」


「みっちゃんが美容師になったらかっこいいだろうな」


「かっこいいかな?」


「かっこいいよ。だって今日のみっちゃんかっこよかったもん」


「山田さんよりこっちみていたもんね」


「へへへ。それは仕方がない」


「どんなお客さんが来たの?」


それから谷口さんのことや中学3年生の西村さんの話を愛にしてあげた


「ぶーーーーー」


「なんでちょっといじけているの?」


「いいけど、みっちゃんが他の女の人と仲良くしているの想像したら嫌だなって」


「仲良くはしていないけど、美容師していたら女の人と話す機会ばかりになるよ」


「そうだね。やっぱ美容師推すのやめとこうかな」


「えーーーーー」


「冗談」


本当に冗談と思っているのかはわからないが、普通に他の女の子と仲良くするのはやめておいた方が愛の逆鱗には増えれなさそう。まぁ愛とさくらさん以外に仲いい女の子なんていないけど


「将来か・・・・」


「わからないよね」


「遅かれ早かれ考えないといけないんだろうけど」


「そうだけど私は今が幸せだからとりあえずいいいかなって」


「その考え嫌いじゃない」


「どうせ遅かれ早かれくるなら、その時までに少しづつ考えていけばいいのかなって」


「そうだね」


「まぁ将来の夢の一つはみっちゃんのお嫁さんだけどね」


「それは決定事項なのね」


「えっ嫌なの?」


「嫌じゃないよ。もしそうなったら幸せだなと思う」


「大丈夫。みっちゃんのことは私が幸せにするから」


「それ男のセリフじゃない?」


「いいのいいの」


将来のことは今はまだわからない。

でも高校生の戯言かもしれないけど、愛と一緒に入れればいいし

敬都とさくらさんともずっと仲良い関係性でいれたらいいなとは思う。

きっとこれは願望だけど、少しづつ大人になっていきたい。

それにしても最近の愛はどんどん思ったことを直接伝えるようになってきた。

俺は愛に「好き」って言葉すらろくにいえていない。って最後にいったのいつだっけ?

愛は俺と付き合ってからどんどん変わっていってるけど、俺は全然だ。

もっと愛にふさわしい男になれるように今以上に努力が必要だな。




~職場体験の職場が決まった日の放課後~


「愛ちゃん保育園でよかったの?子供と接するのそんなに得意じゃ無かったよね」


「うん。でもみっちゃんといつか結婚して子供ができたらそんなこと言ってられないから」


「結婚って。もうそんなこと言っているの?」


まだ付き合って数か月ぐらいだよね。と心の中でさくらは思ったが口には出さなかった


「愛ちゃんはそんな将来のことまで考えているの?」


「みっちゃんとはずっと一緒にいたいと思う。だって別れたいと思って付き合う人っていないでしょ。なら別れないなら先にあるのは結婚だから。付き合っている人との将来のことを考えるのは当然だと思うのはおかしいのかな」


「それは確かにそうかもしれないね。私はそこまで考えれる自信はないけど」


高校生の恋愛は「将来」よりも「現在」を重視している印象が強くて、ずっと一緒にいたいは願望のパターンが多いけど、愛ちゃんの言っていることは愛ちゃん自身が本気で思っていることなんだろうとわかる。眩しいな


「さくらも好きな人ができたわきっとわかるよ」


「私にも好きな人できるかな」


恋愛感情が全くないわけじゃない。今までも告白されたことも何度もある。だが、告白してくる男子の感情が「嶋野愛がダメなら春乃」って言っているような気がして、告白をそのまま受け入れることができない状態だった。最近愛ちゃんと瑞樹が付き合うようになって、近く二人のことをみていたら「付き合うのもありかな」と思うようにはなった。それは相手が見つかり次第にはなるけど。


「大丈夫だよ。思ったよりも近くにいるみたいな話もよく聞くし」


「それならいいな」


「それでさくらに相談があるんだけど」


「改まってどうしたの?」


「職場体験2日目って私たち午前中で終わるでしょ。そのあとみっちゃんと中村が体験している美容室に一緒にいかないかなって」


こんな可愛い顔をしてお願いされて断るわけがない


「愛ちゃんぶれないな。いいよ。私も毛先整えたかったから」


「ほんとに?」


「愛ちゃん一人で美容室にいくのが緊張するんでしょ」


「うん」


「仕方ないな。ついでに敬都もいじってやろう」


「やったぁ。じゃぁさっきネットで予約観たら開いていたから入れておくね」


「はやっ」


「楽しみ」


恋愛は人を変えるっていうけど、愛ちゃんがこんなにいい方向に変わるとは思っていなかった。

最近の愛ちゃんは瑞樹と付き合う前よりもかわいい一面がたくさんだ。

瑞樹が裏ではポンコツというのもわかる。

学校での才色兼備の印象とは全く違う印象だ。

私もこんな恋愛ができたらいいな。


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