「ではこれより―――
シーライド王国王都ギルドマスター、
『
アスタイル王国召喚者、
『
行います!」
司会者らしき男の説明の元、
両者が距離を置いて
冒険者ギルドとの『交渉』より3日後……
双方、条件を取り付けてギルドマスターVS
武田さん、スフィアさんの対戦をする運びと
なったのだ。
条件はまず、1対1である事。
場所などは非戦闘系スキルである2人が
指定出来る事。
物理武器の使用は禁止。
武田さん、スフィアさんの『降参』か、
ビッカブギルドマスターが地面に手を
付けた時点での決着とする。
という事で、先に武田さんとビッカブの
対戦が組まれたのである。
「あっちの女、『浮遊』だってよ」
「バカじゃねーの?」
「どうやったら『超身体強化』に
勝てるっていうんだ?」
対戦場所となった郊外の空き地では―――
冒険者たちを始め、野次馬が続々と
群がっていて、
勝負の開始を今か今かと待ち受けていた。
「大丈夫なの?
俺に聞いてくるが、
「いざとなったら僕が止めますし……
ま、すぐに終わると思いますよ」
「君がそう言うのなら大丈夫か―――」
表情でうなずく。
「武田さん……」
スフィアさんが心配そうな目で彼女を
見つめ、
「それでは―――始めっ!!」
戦闘系スキルと非戦闘系スキルの対戦が
始まった。
「!?」
「何だ、あの女の動きは」
武田さんが『型』と言われる動作を取り、
ギャラリーから驚きの声が上がる。
拳法でも武術でも武道でも……
構えやポーズがあるが、
こちらの世界では魔法・スキルが前提で、
恐らくこれといった戦い方、構えは無いの
だろう。
ビッカブは開始と同時に距離を詰めようと
していたが、その足が一瞬鈍るのが見え、
どうやら俺にやられた事がトラウマなのか、
下手に突っ込むのを警戒しているようだ。
「(あのガキに一撃をもらった途端、
体がうまく動かなくなった。
もし立ち上がっていれば、俺は地面に
手をついていただろう。
ここは様子見した方がいい。
だが―――)」
ビッカブが周囲を見渡すと、
「あれ?
どうしてギルドマスターは
止まったんだ?」
「おいおい、相手は『浮遊』だぜ?」
「時間かけるような相手じゃねーだろ」
と、口々に彼に対する批判が上がる。
「(クソが、何も知らねぇで……
だが『浮遊』相手に手間取ったと
噂が広まっちまったんじゃ―――
『超身体強化』の名折れだ。
そう、あの時ゃ油断してやられただけ……
しょせん相手は女子供。
スキルで押し切れば問題は無ぇ!!)」
ビッカブは一気に勝負を決める事にして、
ダッシュで距離を詰める。
そして対戦相手である女性まで、あと
数メートルと迫った時、
「あがっ!?」
急に地面に対して踏ん張りがきかなくなり、
突然出来た下の空間へと落下する。
武田さんが『浮遊』で宙に浮いており、
「勝負あり、ですね」
「あ―――」
そこでビッカブVS武田裕子の戦いは、
彼女に軍配が上がった。