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第43話 スケットオールスターズ

「“ファイアガード・エフェクト!!”」


 マホのその言葉に、“ワタシ”に何らかの魔法が掛けられたのを感じ取った。

 カイト達にも、同じものが掛けられたらしい。

 名前から察すると、炎に対する防御系統なのだろうか?

 そう言えば、この部屋はあの炎の四天王が今まで放った攻撃のせいで、室温が極端に高くなっていた筈。

 それが、この魔法を掛けられてからすっかり熱さを感じなくなっている。


「対象、この場にいる5人全員に付与しました!! これで十分戦えると思います!!」

「これが、魔法か……なるほど、確かにセンサーで感知する温度が下がっているな」

「ユウカちゃん、もっと下がって! 魔法で強化しても、巻き込まれたら大ダメージよ!」


 メタルマンが自身の腕の一部を開いて確認する中、ソラ様が“ワタシ”に振り返ってそう慌てて言ってきた。

 まだ状況が飲み込み切れていない“ワタシ”は、そのままソラ様に引かれて部屋の隅に連れて行かれる。


「……? ソラ様、“これ”は?」

「ああ、これ? 重くてここに置いてたのよね。カイトに言われて持って来てたんだけど」


 連れて行かれた場所には、何か大きめの“金属製の筒”のようなものが置かれていた。

 見た目は“赤い色”中心で、上の方に太めの紐のようなものが付いている? 何だろうか、これ?


「よっし! 作戦は覚えてるよな! 開幕いっくぞお!!」

「おう!」

「はい!」


 っと、そうだ。こんな物を見ている場合じゃ無い。

 振り返ると、その言葉と共にカイトがいきなり走り出していた!?

 いや、えっ!? よりによって、君が切り込みなのかい!?


「貴様か!! 先ほど俺の攻撃を最初に防いだ男!! ふん、アレには驚いたが、無策で走って来るとはやはりマヌケ……」

「ていッ!!」


 炎の四天王の言葉を無視して、カイトが投げたのは、何らかの缶。

 あれ、確か見覚えがあるような……?


「ユウカちゃん!? 耳を塞いで、後ろ見て!!」

「え、あ、はい!?」


 その言葉と共に、言うとおりにすると。


 直後──“激しい閃光と音”


「ぐおおおおぉおおおおぉおおおッ?!!!」

「ざまあみろっ!! こんだけ激しい音と光、この世界じゃ普通お目にかかれないだろ!!」


 そう言って、カイトが即離脱していく。

 思い出した……あの缶は、“ワタシ”達が大喧嘩した時にカイトが投げていたものと同じだ!

 事前にソラ様に注意されていた“ワタシ”は今回は大丈夫だったが、炎の四天王には効果覿面みたいだ!


「今だ、メタルマン!!」

「ああ! ライトアーム、装備切替!!」


 その言葉と共に、メタルマンが空中に飛び上がり、右腕の金属が変形していく。

 以前見たビーム砲とか言う奴か? いや、あの時とは様子が違う!

 彼の右腕に、“冷気”が漂っていく!


「──即席兵器!! “アイス・レーザー!!”」


 その言葉と共に、水色の光線みたいなものが放たれる!!

 それが炎の四天王に直撃し、ジュワアアアアアッ!! っと、水分が蒸発するような音が鳴り響いた。


「っ?! グオああアアアアアッ?!!」

「カイトに話を聞いて作った、冷凍光線だ!! これは如何かな!?」

「いいぞ、メタルマン!!」

「おお、効いてる!! 効いてそうです!!」


 見ると、炎の四天王が明らかに呻き声を上げている!?

 “ワタシ”一人の時じゃ、どう足掻いても倒す光景が考えられなかった、アイツが!!


「ぐアアアアアッ!! な、舐めるなああアアアアアッ!!!」


 しかし、その言葉と共に、炎の四天王の身に纏う火力が上がり、レーザーが届かなくなってしまう。

 ああっ!?


「ッチイ、出力不足か!? やはり、即席の武器ではこの程度か……いや、と言うかそもそも氷が直ぐ溶かされている感じだな、アレは」

「あーくそ!! だから“氷”系じゃなくて、普通に“水”を使った兵器用意しようぜって言っただろぉ!?」

「こちらこそ何度も言うが、水なんて質量の塊を兵器に組み込んだら、どれだけ装備に体積と質量を占領するか分かったもんじゃ無いと言っただろう!? それなら冷却装置の応用でこちらを組み込んだ方が持ち運びが便利なんだ!!」


 メタルマンの攻撃が失敗に終わり、カイトが何らかの文句を言っていた。

 そのまま二人が喧嘩していると、その隙を炎の四天王が見逃すわけがない。


「今のは驚いたが、俺を倒すには至らないようだなあ!! “フレイム・ウォールッ!!”」

「げえっ!? さっきの炎の壁!?」


 部屋を覆い尽くすほどの炎。それがまた襲いかかって来る!!


「任せて!! もう一度、“マジカル・シールドッ!!”」


 再度マホがみんなの前に出て、さっきの大きな魔力の盾で完璧に防いでくれた!!


「何度やっても同じです!! 同じ技なんて、何度も防ぎ切ってやります!!」

「──それは如何かな!!」

「へ? 何ですか!?」


「──“フレイム・ウォールッ!!” “フレイム・ウォールッ!!” “フレイム・ウォールッ!!”」


「なあッ?!!」


 すると、魔力の盾の向こう側から、炎の四天王が技を何発も……いや、“何十発”も連打して来た!?


「ふははははッ!! 矮小な人間に比べて、俺の魔力総量は遥かに上!! そこの小娘の魔力、どれだけ持つかな!?」

「うわーん?! スタミナ勝負に持ち込まれました!? これちょっとやばいかもでーす!?」

「マホッ!?」


 そうマホは、今の危機的状況を叫び出していた。

 マホは何十発もの攻撃を、完璧に防ぎ続けてくれている。

 けれど、だんだん魔力の盾が薄くなっていってるのが分かる……! このままだと……


 すると、横からソラ様が飛び出していった!?


「マホちゃん!! “クイック・ロード!!”」

「──ッ!? 魔力ふっかーつ♪ “マジカル・シールド再展開ッ!!”」

「何ぃ?!!」


 マホの背中に触れたソラ様が、さっき“ワタシ”にしてくれた回復魔法を掛けていた!

 そのおかげなのか、魔力の盾が再度はっきりと見えるようになっている!!


「ソラちゃん、ありがとうー!」

「お礼はいいわ!! それよりまだ耐えて!! ほら、そこの男連中!! 今の内に何らかの対策方法思い付きなさい!!」


 マホに手を添えたまま、ソラ様が振り返りそう叫ぶ。

 言われずとも! っと、カイトとメタルマンが強く返事をしていた。


「少しそのまま待っていろ!! 今急いで両手“アイス・レーザー”の準備をしている!!」

「俺も!! 持って来た“アレ”、役に立つ筈!」


 そう言って、メタルマンは自分の両腕を弄り。

 カイトは、こっちに向かって走り出して来ていた。


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