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第96話 他人の家に無断で入るのは止めましょう


『……は?』


 なんか、物凄く不穏な機械音声が流れてくる。

 この流れは、なんか覚えがあった。

 具体的に言うと、最近シルフィの世界でお宝部屋に入って物色していた時と、全く同じ流れのような……


 直後、部屋のガラクタ達の中からガシャシャッ!! と音が響く。


「な、なんですか!?」

「何何、なんなのよ!?」

「これは……!?」


 俺達が驚いていると、メタルマンの部屋に会ったガラクタだと思われていた物の中から──いくつか、ロボットのような物が現れた。


【侵入者、発見】

【侵入者、発見】

【侵入者、発見】


【スカイ・ウォーカーの許可の無い人が侵入】

【スカイ・ウォーカーの許可の無い人が侵入】

【スカイ・ウォーカーの許可の無い人が侵入】


【直ちに、排除します】

【直ちに、排除します】

【直ちに、排除します】


 その言葉とともに、ロボット達はアームを構え……バルカンを掃射して来た!?


「うわあああああ?!!」

「マジック・シールド!?」


 マホがとっさにシールドの魔法を展開してくれて、その背後に全員隠れる。

 ガガガガガッ!! っと、弾丸が連続でぶち当たる音が響いていく。


「なんだい、これは!?」

「まさかこれ、メタルマンの家のセキュリティってやつ!? あいつどんだけ用心深いのよ!?」

「なんで私たちの事を撃ってくるんですかー!?」

「まあ、不法侵入なのは一切否定出来ねえけどな!?」


 よくよく考えてみたら、メタルマンに黙ってこの世界に来た以上、メタルマンは俺たちの事なんて一切知らないだろう。

 そんな自分の世界に呼んだ覚えのない相手に対して、わざわざセキュリティ解除する理由なんてメタルマンにはありゃしない。

 この状況になるのも当然っちゃあ当然だった。


「どうしましょうー!? これ防ぎ続ける事は出来るんですが、あのロボット達どうしますか!? 壊してしまうのも迷惑かも……」

「そんな事言ってる場合じゃないでしょ!? さっさと対処しないと……」


【確認、侵入者依然健在】

【武装モード変更】

【ミサイル、発射】


 直後、ドゴオオオオオオオンッ!!! と鳴り響く音。

 衝撃波がバリア越しにあたりを包む!!


「うきゃああああ!? さっきより威力が上がりましたー!?」

「あれ、本当に侵入者排除用かい!? 威力が高すぎて、部屋の中がめちゃくちゃになってるんだけど!!」

「あいつ、最早本末転倒なの分かってる!?」


 そう、衝撃波の影響で転がっていた大事そうなパーツなども吹っ飛んでいる。

 これでは、いざ侵入者を撃退完了したとしても、部屋の中は大惨事だろう。


「くっそ、しょうがねえ!! とりあえず、片付けるぞ! ユウカ!」

「うん!」


 俺はユウカと視線を合わせて頷き、攻撃が切れたタイミングを見計らって二人同時に飛び出した。


【侵入者接近、迎撃──】

「おらあっ!!」

「ッフ!」


 俺はユウカのナイフを。ユウカは聖剣を振り回し、一太刀でロボットを一体ずつ撃破する。

 そして背中合わせに、互いに残りのロボットを……


【ミサイル、発──】

「“マジック・シールド・メダル!!” そのまま、おらあ!!」


 俺は攻撃を防ぎ、カウンターを。

 ユウカは何もさせず、追加の斬撃で他のロボットを倒し。


【ピ、ガ──……】

【ピ、ガ──……】

【ピ、ガ──……】


 あっという間に、他のロボットを倒したのだった。


「ふう、なんとかなったか……」

「良かったね、カイト」

「お二人とも、ありがとうございますー!」

「お疲れ様、3人とも」


 俺とユウカは、ロボットを全て片付けて一息をついた。

 マホとソラも俺たちに近づいて来て、そう労ってくれる。

 なんか、思ったより楽だったな?


「なんか警戒してた割には、思ったより強く無かったというか……?」

「そうだね? メタルマンが用意したにしては、思ったより弱かったね?」

「ふーん? まあ部屋無茶苦茶だし、あいつも本当はそこまでやるつもりは無かったのかもね?」

「まあ、これだけでもうボロボロですけどねー」


 そうして改めて部屋を見渡すと、それはもうボロボロだった。

 あーあー、焦げ目も沢山ついてて、部屋が台無し。

 これはもう、誤って済むレベルじゃないな? 俺なら激怒するわこれ。

 どうしよう……天井まで焦げてるし、変な装置まで……は?


「ちょっと待て、なんだあの天井の装置?」

「あれ? そう言えばなんだろう?」

「なんかぱっと見、何かのセンサーみたいな……」


【──侵入者、解析85%】


 そんな音声が、聞こえて来て……


「あれ? あれって……えーと……──っ?!!」


 ソラがあれを見て、一瞬ボーッとしたかと思うと……急に驚いたように反応する。


【──侵入者、解析90%】


「やっっっばい!? 誰かあれ壊して!? あれ“ワープ装置”!!! 転移されちゃう!?」

「はあ!?」

「本体にアクセスして検索した!! あれ“強制的に侵入者を檻に入れる”やつだって!!」

「はああ?!!」


 ソラの言葉に、俺達は全員驚いて……


【──侵入者、解析95%】


「ック! “ライト・スラッシュ!!” はあっ!!」


 その声とともに、ユウカが真っ先に光の斬撃を放つ。

 それによって、天井の機械はズバッと破壊されるが……


【──error。対象データ98%。完全解析不可。座標データがズレます】


『は──?』


 その言葉とともに、俺達は光に包まれ……メタルマンの部屋から、消えた……


 ☆★☆


「っつ、何が……!?」


 気がつくと、俺は見知らぬ場所に立っており……


「は……? みんなは……?」


 “一人”に、なっていた。


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