それはまるで洪水のような銃撃であった。鋼鉄の圧力――とでもいうのだろうか。体感的には一個機関銃中隊の一斉射撃を受けたようにも感じる。
そしてその弾丸に込められた、魔法力。本来はガードできるはずの衝撃が、まるで
必死で耐える
しかし、限界が訪れる。
ずたずたになった衣服から漏れ出す煙。そして次の瞬間、ゆっくりと地面へと落下する。
すざくは駆け寄る。
「......甘く見たかな。これほどまでの攻撃力を持った魔法少女がいたとはね......」
頭上から高笑いが聞こえる。
「前大戦の修羅場を経験していない日本の魔法少女など恐れるに足らず。近代戦は総力戦。魔法力と兵器の威力が勝敗をけえするのですよ!」
傍らにいたやさかはすでに変身し、空中に飛びたとうとしていたが、それを息も絶え絶えの
「あれは......無理だ。お前では......」
歯ぎしりするやさか。
唯一の活路は、撤退することのように思われた。
しかし――カティンカをはじめとして、敵の魔法少女に囲まれ、そして負傷した
やさかがそんなことを考えていると、すざくが空を指さす。
はっとして視線を移すやさか。そこには――銀色の光の玉がまばゆく浮かんでいた。
「......」
やさかは気づく。ここにいるもう一人の『魔法少女』の存在を。
『許さない......』
高く、そして濁りない女性の声。それはロシア語であるように聞こえた。
『私の大事な友達......お前は......傷つけた......』
長い銀色の髪がはためく。まるで女神のような魔法少女のいでたちに変身したのは――
「ふん、ユーリヤ=スヴォーロフか。いくぐされが。まあ、お前を泳がせたおかげで、邪魔な日本の魔法少女を片付けることができた。感謝する」
慇懃な態度で礼をするカティンカ。
「お前の故郷もいずれは焼け野原だ。古きものを滅することが新たな発展へとつながる。これすなわち唯物論的弁証法というやつですわ、お判り?」
カティンカの軽口に全く反応しないユーリ。その両手にはいつの間にか小銃が握られていた。
ふん、と鼻で笑い再び拳銃を構えるカティンカ。問題ない。魔法力による銃撃戦であれば自分の方に分があるはずであった。
二人は対峙し銃口を向けあう。
そして――同時に引き金がひかれた――