四人は貨物室を出る。すでに外は暗く、わずかな非常灯だけが頼りであった。甲板は広い。よく手入れされた木の床がミシミシと音を立てた。
その時――その床がはじけ飛ぶ。それはいくつも、まるで噴き出す泉のように。
銃撃、にしては音が静かである。だとするならばこの攻撃は――
「こちらの読み通り、来てくれたようだねぇ」
はるか上から響く高い音程の声。そちらの方を向く
黒い空の切れ間に浮かぶ、鳥の群れ――のように見える人影。背にはまるで鳥のように羽をはばたかせて空中に舞う、人の群れ。それは当然、『魔法少女』たちの姿であった。
「その子を罠にすれば絶対来てくれると思ったわよ。日本の魔法少女」
流麗な日本語でそうまくしたてる空中の人物。
体に巻き付く光の渦。そして現れるのは身には鎧をまとう
「やさか、すざくたちを頼む」
そう言うや否や、宙へと飛び立つ
刀を抜く
まず最初の魔法少女を一刀のもとに払う。
そしてまた一人。
「強いねぇ。さすがは日本一の魔法少女だけあること」
先ほどと同じ声が聞こえる。
強い衝撃。それを
突然視界に入る、魔法少女。カーキ色の軍服にも似たそのいでたちは、明らかに魔法少女のそれであった。
瞬時に反応する
「はじめまして、日本の魔法少女さん」
「
古式の作法にのっとり、
「これはこれは。ではわたくしめの自己紹介を。カティンカ=クンツェンドルフと申しますわ。カティンとでもおよびいただければ幸いです」
「ドイツ人か」
「ええ、でも敗戦後の今は赤軍でトロツキー様のもと特別政治将校兼東方革命赤軍参謀を拝命しておりますの」
赤軍か......心の中で
「わが赤軍にとって、あなた方日本の魔法少女や白軍の魔法少女は邪魔な存在ですわ。ならば一斉に片付けようと、そう思いました次第でございまして」
慇懃な物言いに眉を顰める
軍用拳銃の弾丸を取り出し、何やら詠唱しながら弾丸をクエリップで込める。自動拳銃にしては珍しい給弾方法であった。
「わがドイツの誇るモーゼルC96、.30モーゼル弾の魔法付きの威力を――どうか、味わい下さいませ」
その言葉が終わるか否か、まるで機関銃のように弾丸が放たれれた――