蒸し暑い朝の日差しに目を覚ます。
「あぁ今日から夏休みか。」
時刻は9時過ぎ。学校があったならとうに遅れている。昨日の晩は何やったっけ?ちょっと課題進めて、休憩しようとしたらそのまんま寝ちゃったってわけか。だから部屋着のままなのね。納得納得。
このまま出るのもなんなので、別の部屋着に着替える。青いハーフパンツと白いポロシャツを着てリビングに行く。杏だけだった。
「おはよ、バカ兄。今日は随分と遅いね。」
「気が抜けたんだよ。はぁ〜よく寝たよく寝た。」
歯を磨いて顔を洗う。冷たい水は寝惚けた脳に刺激を与え、鏡に映る腑抜けた顔に笑いそうになる。こう見えても最近はまともになったものだ。去年までとは違い、休日も寝癖を直すし、伸びてきたら髭も剃る。そこら辺は少しだけ桜に感謝しないと。
「朝は〜?」
「お前まだ食ってないのか?」
「だってあんまりお腹空いてなかったし。」
「そうだな、俺も作るん面倒臭いし、コンビニでなんか買ってくるか?」
「いいね!たまには!」
俺たちはテーブルにコンビニに行く旨を書いたメモを置き、外に出た。
コンビニまでは徒歩10分。もっと近いコンビニもあるが、そちらは品揃えがあんまりなので、使うことは少ない。
「久しぶりにパスタサラダにするわ。」
「俺はこの菓子パン達でいいかも。」
「うわっ、カロリー高!そんな朝食、世の女子達が黙ってないよ。」
「悪ぃな、太らん体質だから。」
「訴えてやる。」
カゴをレジまで持っていき、代金を支払う。杏は一銭も持ってきていないから、当然奢られるつもりなんだろう。ピッピ、ピッピと音が鳴っていく。それでも、1000円でお釣りが出るほどしかかからない。コンビニisサイコー!
家に帰ると桜はもう起きていた。
「「おはよ。」」
「おはよ。早いね2人とも。」
「桜が遅いんだよ。今11時だぞ。」
「バカ兄が言えんぞ。」
「あん時は幸せオーラに50分間当てられ続けたからだ。しょうがない。」
「何がしょうがないんだか。」
俺たちはさっき買ってきた遅めの朝飯を食べる。この金額でこのクオリティは流石に凄いとしか言いようのないほど、お店さながらの味を再現していて、本当に美味しい。
「久志は今日何するの?」
「とりあえず、数学と英語だな。ある程度手をつけとかないと、後々響いて来るし。」
「ふーん、じゃあ私もそうしよ。一緒にやらない?」
「別にいいけど、俺の助けなんかいらんだろ。」
「一緒にやることに意味あるの!」
「そういうもんなのか?」
「そうよ。」
俺はラスト1個のパンを食べ終わってから、ちゃぶ台を取り出し、部屋に戻った。少し後からコーヒーを両手に持った桜が入ってきて、俺たちは机を挟んで対面に座って、課題を始めた。