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第9話 DAY6

「かーごめかごめかーごのなーかのとーりーはーいーつーいーつーでーやーるー。」

「どうしたの?急に。」

「この漫画のちょい重要人物が死ぬ直前のセリフ。」


そう言って桜にそのページを見せる。


「この髪の崩れ方いい!なんか絶望してる感じがめっちゃ伝わってくる。」

「あー、そこに目行ったか。まあ、そこもいいんだけどな。この死ぬ時の描写がまたいいのよ。」


俺はまたそのページを見せる。


「いいね。てか、こういうシンプルなのが1番好きかも。それ全部で何巻?」

「30巻。」

「だいたい8時間ぐらいか。全部貸して。」

「いいけど。」


俺は部屋から30巻、全てを持ってきてリビングのテーブルに置く。俺が読んでいたのは『東京〇種』。ちょいとグロめの作品だ。所々にラブコメ要素も含まれていて、何回読んでも飽きない作品だ。ちなみに、今で10周目。登場人物と武器の名前が一致してきて、伏線もどんどん読みといて行っている最中。桜も読んでくれることで、さらに広がるといいが。


 8時間後。昼飯も食べずに読み切った桜は泣いていた。


「ぐっ、ぐずん。宗太ぁぁぁ〜!」

「分かるぞ!死に方が悲しすぎるよな!」

「エトぉぉぉ〜!」

「最後カッコイイよな!」

「オウルぅぅぅ〜!」

「なんとも言えん良さ!素晴らしい!」

「半兵衛ぇぇぇ〜!」

「あの渋さ最高!」

「何でみんな、カッコイイの?あと、死に方もいいから、推しキャラとか選べないよぉ〜!」


よっしゃ!どハマりしてる!布教して良かった!B〇〇K・〇FFで手に取って正解だった!あとまとめ売りやっててくれて良かった!


「アニメもいいから見るか?」

「見る!いつやってるの?」

「再放送か、アプリで見るかだな。」


正直ここまでハマるとは思ってなかったぞ。嬉しいからいいけどよ。


「早速見るわ!」


桜はそう言って、自分の部屋に駆け上がって行った。


 5時間後。


「モザイク入ってるね。」


やっと気づいたか。


「血が生き生きしてるね。凄いね、この映像技術。」


当たり前だろ。だから人気なんだよ。


「あと、お腹空いたわ。」

「それどっちだよ!リゼのセリフか?それとも今のお前か?」

「今の私よ!何でそっちになるのよ!」

「今の今まで、東京〇種見てきてるからな!そう思うわ!思わないけど!」

「どっちよ!」


本日の結果。信者1人獲得。

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