オタロード!それはオタクたちが集う日本橋にある通りであり、そこかしこにグッズ販売店が並んでいる。また、大人のお店が多いことで知られているこの通りを、俺は、俺はぁ!桜と歩いているぅぅ!
「テンション高いね、久志。」
「そう見えるか?まあ、あのオタロードだからな。右向けばグッズ、左向けばUFOキャッチャー。興奮しないわけないだろう。」
「でも、本命は違うんでしょ。」
「そ、そ、そうだ!俺には歌が待っている!」
今向かっているのは、メインストリートとは外れたところにあるアニマイト。大型アニメグッズショップだ。見た目は普通の店舗だが、まず入口前にガチャガチャが大量に並んでいる。これが特徴その1。そして、中に入ると、名作からマイナー作品まで、様々な漫画が俺を呼んでいる!ひとまず、目当てのものがあるCDコーナーへ一直線。まだ在庫があったので一安心だ。このCDは、この前見に行った映画の全曲がフルバージョンで入っているCD。そして、特別にもう一曲、あの海賊団の歌が入っている。そして、限定特典付き。もうたまらん。
「あったの?」
「あぁ、良かったぁ。」
思わずふにゃけた顔になるのは、今日だけは許してくれ。そのあとは店内を見て回る。グッズは2回なので後で回るとして、とりあえず漫画コーナーへ。
「あっ、この漫画、ここならあるんだ。」
「それ何?」
「高校生のバンドの漫画。曲は配信されてる分は全部聞いたけど、どれも良かった。」
「漫画は持ってるの?」
「全巻持ってるけど、だいぶ前のやつだからもうなくなってると思ってた。」
「なるほど、そういう驚きね。」
他にも、色々見て回った。桜が元々持っていた漫画とかの話も聞けて良かった。
次は2階。俺は基本的にこのフロアには用がない予定だった。しかし…
「このクリアファイルいいなぁ。」
思わず手に取ってしまったのは1枚のクリアファイル。海軍の登場人物の名言が書いてある。普段使いできそうだ。それを持って、そのまま購入した。
桜は欲しかったものが売り切れだったらしく、少し残念そうな顔をしていた。まぁそういう時もあるか。
店の外に出ると、メイドのコスプレをした人が沢山歩いている。ビラ配りだろうか。押し付けてきたけど興味がないので拒否した。隣の桜はいつの間にか消えていて、振り返ればガチャガチャに食いついていた。
「欲しいのか?」
「欲しい、でも100円玉ない。」
「取ってやる。どれが欲しい?」
「マ〇キー。」
「よっしゃ、取ってやろう。」
ガチャ
「うおぉぉぉ!スゲェ!ガチで出てきた!」
「これがQの運ってことだい!」
「大事にするね!」
「お、おう。」
久しぶりにこの笑顔見たな。やっぱりちょっと心臓に悪い。今ので寿命1年は短くなったかも。こっちに得があったからまだいいけど。
そのあとはまっすぐ帰って、桜はさっき話に上がった高校生バンドの漫画を読む。俺は隣で五七五系女子の漫画を。四コマが主体だから、とても読みやすいし、主人公の天然っぷりがとてもいい。
だいたい6時間後。
「ヤバい、このセリフ、染みたわ。」
桜はそのセリフを指さす。
『好きすぎて終わりにするしかないときはどうすればよかったんですか…』