『ウオォォォ〜!』
『行けぇぇぇ〜!』
『ウェ〜〜〜イ!』
さまざまな思いの混じった歓声がグラウンド中に響く。
「チーム対抗リレー、1位は紫チーム!2位にピンク!3位に赤!4位オレンジ!5位黄色!6位青チームとなりました!」
その放送に紫チームは喜び、飛び跳ね、全員でハイタッチしている。部活動対抗リレーの後は、ムカデリレー、二人三脚リレー、障害物競争があって、ついに紫チームに追いつかれてしまった。そして、最終競技のチーム対抗リレー。アンカーまで1位をキープし続けたピンクチームだったが、ラスト20mのところで紫チームのアンカーに抜かれて2位になってしまった。ゴール直後、歓喜に包まれたグラウンドも少し落ち着き、放送がかかる。閉会式だ。
「今年の体育祭、優勝は紫チームです!2位からはピンク、オレンジ、赤、青、黄色となりました!表彰式を行うので、それぞれのチームの代表者1名は前に出てきてください。紫チームは2名、お願いします。」
代表者は前に出る。音楽がかかり、紫チームはトロフィーと賞状を、他のチームは賞状のみを受け取って、校長先生の話が始まる。よく聞いたことのある話を聞き流して、体育祭副委員長が閉会宣言をして、今年の体育祭は幕を下ろした。
椅子を片付けて、教室で制服に着替えるとすぐにホームルームが始まった。
「みんな、よく頑張った。2位でも十分すごいからな。ただ、最後惜しかったな。」
シオちゃんは目に涙をいっぱい溜めて話している。そんなに悔しかったのかな?俺にはあまり分からない感情だ。
「じゃあ、明日明後日と休みだから、しっかり体休めて、それですぐに中間考査か。かわいそうにな。じゃあ、解散!」
シオちゃんに挨拶をして帰路につく。奏と海南さんはクラブがあるみたい。かわいそうに。熊野さんはバイトできいは家の用事だからってすぐに帰った。よって桜と2人の帰り道。
「体育祭、楽しかったね!」
「まあな。借り物競走のあれは少しびっくりしたな。熊野さんのも桜のも。」
「しょうがないやん。あんなお題引いたんやから。」
家に着いて、制服のまんまソファにダイブする。桜も俺と同じようにダイブ。俺と向かい合って、少しおかしくなって、笑う。起き上がってコップを取り、さっきコンビニで買ったコーラを注いで乾杯した。
「染みるぅ〜。」
「どこのおっさんやねん!」
「久志も言ってみなよ。」
「んんっ。染みるぅぅぅ〜!」
「似合ってる、似合ってる!」
こんなにも緊張しないで喋れる女友達は桜ときいぐらいだ。そう考えてみれば、あの日声かけてくれてありがとうって思う。
「そういえば、桜は大阪に来てから半年か。もう、慣れたか?」
「慣れたも何も、慣れすぎて困ってるくらいだよ。近くに関西弁の兄妹がいるからね。元々静岡なのに、こんなに関西弁ペラペラになっちゃった。ありがとね!」
あの日以降、俺の思い出がどんどん濃くなっている気がする。本当に、
「(こちらこそだよ。)」
「なんか言った?」
「ううん、何も。」
こんなこと言うときは多分真っ赤になるんだろうな。