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第18話 そして2学期中間は始まった①

 体育祭が終わって1週間。興奮も冷めやまないままに待ち受けているのは中間考査である。


「今回も問題はこの2人だな。」

「そうだな。きいと楓、いつも通りだな。」


俺の家で顔を見合わせる俺と奏。今日は2人に分かってないところを教えていく予定。まずは、分かっていないところを探すところから。


「ひい君、ノート見せて。書いてない。」

「どうせ寝てたんだろ。」

「バレたか。」


きいが書いていないのは公共の見開き2ページ分。完全に丸1時間寝てたことになる。


「いでっ。」

「お前さぁ、ギリギリなんやからちゃんと授業ぐらい聞いとけって。」

「だって面白くないから眠いんだもん。ひい君こそ寝てないの?」

「それはそうだけど、俺は眠気覚ましの食いもん食いながら授業受けてるぞ。それでまぁ意識保てるから。」

「それはそれでダメやろ。」


ノートを写させて、まずは数Aから。


「じゃんけんだな。3人で出す手の数は全通りで?」

「うーん、9!」

「そうそう、だから…」


前回よりも飲み込みが早くなっている。家で勉強もしっかりしてるのかな。それはそうとして海南さんは結構危ない。


「ねぇ、奏。場合の数って日常生活で使う?」

「あんまりかな?」

「じゃあ、何でこんなことしないといけないの?」


それを言っちゃあ何も進まねぇべ。重要なところだけ教えて、ひとまず休憩。


「頭パンクしそう。」

「きいはまだいけそうだろ。」

「最近家でもやってるから、その積み重ねがね。」


個包装のチョコブラウニーを食べながら、体力を回復する。海南さんは食べ方が飢えた小動物みたいで面白いな。きいは、ただぼーっとしてるだけ。充電のマークが頭の上に出てるからこれも面白い。


 10分ほど経ったので、また勉強を始める。きいは意外と全教科満遍なくカバー出来ていて、今までの教え方とはまた違う、ちょっとレベルの高い教え方ができている。教えてる側からしても楽しい。たまに休憩をとりながら範囲のカバーを終わらせると、暗くなってきたので3人は帰っていった。


「桜、みんな帰ったぞ。」

「分かった。」


桜がいくつか問題集を持って降りてくる。桜はあまり人に教えたくない人だ。だから、みんなが帰ったあと降りてきて、俺と一緒に問題集を解いていく。空腹は菓子パンで紛らわし、本当に我慢できなくなるまで晩ご飯は食べないことにしている。


「もう無理!ご飯作るね。」

「よろしく。」


最近の晩ご飯は俺と桜が交代で作る。今日は桜の日だから、どれだけ美味しい料理ができるのかな?何かを油で揚げる音が聞こえてくる。これは期待できるな。


 作ってくれたのはコロッケとか白身魚のフライとか。冷凍のやつだけど、美味い。てか揚げ加減が上手すぎて、いつもより美味く感じる。


「揚げ物得意?」

「うーん、あんまりだけど、一人暮らししようとしてたとき、これは出来るようにしといた。」

「それにしては上手すぎだろ。」


食べ終わると、また勉強を再開する。俺も桜も、もうすぐ問題集が終わりそうなので、今日の晩は早く寝れそうだ。


 結局、俺が終わったのは11時前。桜は先に終わっているので、風呂に入っている。ソファでは杏が晩ご飯を食べていて、今にも寝そうだ。俺は机の上の問題集を片付けて明日の用意をする。桜が風呂から上がってきたので、風呂に入って、歯を磨いて、結局寝れたのは12時過ぎ。6時間くらい寝れそうだ。俺は部屋の電気を消した。

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