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第26話 そして冬休みが始まった

『これで、終業式を終わります。担任の先生はテレビの電源を切って、ホームルームを再開してください。』


教務主任がそう言うと、シオちゃんはすぐに電源を消した。


「はぁ、めんどくさいんだよな、こういうの。結局は上のお偉い先生たちの見せ場なだけだし。あっ、みんなこれシーッね。」


教師の立場でそれ言っちゃっていいのか?もちろん、シーッだけど。


「それじゃ、みんな。お待ちかねの成績を返すぞ!1番から順番に来て!じゃあ、有田から!」


まずは桜から。桜は全く問題ないだろう。ガッツポーズもしてるし。


海南うなみ!よく頑張ったな!次もこの調子だ!」


4番目に海南さん。めちゃくちゃ嬉しそうに、奏のところに見せに行ってる。どんなけ嬉しいんだよ。


「加太!よくやった!」


10番目に奏。少し嬉しそうな顔を浮かべている。良かったんだな。


「熊野!この調子だ。」


続いて熊野さん。いつも通りクールな顔してるな。だいぶ時間が空いて、


「橋本!頑張ったな!過去1じゃねぇか?」


23番目にきい。反応もめちゃくちゃいいし、欠点は回避出来ていそうだ。


「ねぇねぇひい君!平均以上5つもあった!」

「おぉ、おめでとう。次は7つぐらいとろうな。」

「頑張る!」


終盤になって、教室がだいぶ騒がしくなってきた。


「由良!いいぞ!その調子なら熊野に勝てるかもしれねぇぞ!」

「ホントすか?」


35番目で俺の番。いつもよりも点数が結構よかった。少し嬉しいな。


「嬉しそう。」

「さすがにな、過去1やし。そう言う桜こそどうだったんだ?」

「私はいつも通りって感じ。」


終礼という名のシオちゃんの雑談があって解散となった。クラブに入っていない奴らは「よいお年をー」って言いながら教室を出ていく。俺たち6人はいつも通り俺の席に集まっていた。


「じゃあ、せーのでいくよ。せーの!」


バーンと机の上に通知表を置く。見たところ米印は見当たらない。全員無欠だ。


「やったー!これでみんなで遊べるね!」

「遊べるっつっても、俺たちは28まではクラブあるだろ。」

「でも、明後日OFFだから、クリパできるね!」

「あとは、年始に初詣とか?」

「音羽、それいいかも!」


クリパか、何するんだろ?プレゼント交換はやるだろうな。あとはみんなで飯食ったり、ゲームしたり、お泊まり会ってのもあるのかな?


「楽しくなりそうだな。」

『ん?』


全員が俺の方を向く。ヤベッ声に出てたかな?


「Q、『なりそう』じゃなくて『なる』から。」

「楓、『なる』じゃなくて『なっちゃう』でしょ。」


笑い声が廊下に響く。本当に楽しくなっちゃいそうだ。

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