目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報

第25話 そして2学期期末はやってきた②

 最近の朝はぐっと寒くなってきた気がする。


「おはよ、久志。」

「おはよ、桜。今日は早いね。」

「朝、復習してたから。ふわぁ、ちょっと眠いや。」


今日から期末考査が始まる。『もう?』と思う人も多いと思うが、『もう』である。


「先生たちさ、この短い期間に詰め込みすぎだよね。」

「みんな焦ってたから、たまに授業分からなかったな。」

「大丈夫?欠ったりしない?」

「安心しろ、あいつらほど馬鹿じゃない。」


頭に浮かぶのはもちろんあの2人。2人とも「教えなくていい」の一点張りだったが、大丈夫かな?


 朝ご飯は桜が作ってくれていたので、それを食べる。


「Careless.」

「不注意な。」

「Mistake.」

「誤り。」

「Habit.」

「習慣、癖。単語帳じゃ、bad habitが例文だったよな?」

「おおすごい!覚えてるねぇ!」

「さっきから何でマイナスのことしか問題に出さねぇんだ?」

「バレてたか。いでっ!」


桜のおでこに軽くデコピンして、食べ進める。今日のテストはコミュ英と現国、そして保健。現国と保険は何とかなるから、コミュ英はしっかり勉強している。


「コミュ英のテスト誰が作ると思う?」

「マリーやない?」

「やっぱりそうかぁ。あの人のテストムズいんだよな。」


マリーと呼んでいるのは、大崎那智先生。どこに『マリー』要素があるのかってなるが、ただ単に髪型がパッツンなだけで、超有名シンガーソングライターに似ているだけだからだ。


 食べ終わって、皿を洗う。最近は少し水が冷たくなってきたから嫌だな。歯を磨いて出発する準備。いつもギリギリに行くけど、今日は30分前に着くように行く。テスト当日だしな。


「おはよー!」

「「おはよ!」」


家を出ていきなり声をかけてきたのはきい。朝から元気だな、コイツ。


「きい、大丈夫か?俺たちが教えなくていいって。」

「大丈夫!やっと勉強の楽しさが分かったから!」


目の下の隈と、少し汚れた手が努力の証拠だろう。本当にやったんだな。


「期待してるね!」

「任せて、桜!アホでもやる時はやることを見せてあげないとね!」


駅には奏と海南さんの姿はなかった。たぶん、もう1、2本早いので行ったのだろう。電車に乗って、保険のノートを開く。


「タバコの成分な。えっと、」

「はい!まずは70種類以上の発がん物質が入っていて、ニコチンには依存性、タールには発がん性、一酸化炭素は血液が運ぶ酸素量を減少させて、シアン化物はCOPDを引き起こす!だよね!」

「お前、まじでやってんだな。」

「うんうん。これがきいちゃんの力だよ!」


本当に心配しなくて良さそうだ。あとは、海南さんか。あの人もやる気だけはあるみたいだったし、何かあっても奏が助けてるだろう。冬休みも補習なしでみんなで過ごせるかな。

この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?