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第24話 そして2学期期末はやってきた①

 中間考査から早1ヶ月半。その間、特に何もなかった!


「はぁ、もう期末かぁ。早すぎやわ〜。」

「しょうがなくね?特にイベントも何も無いんだし。」

「たしかに、ここ最近はみんなで遊ぶこともなかったしね。」


文化祭までは普通に喋る仲だっただけだけど、家の方向が同じなのもあって、よく行き帰りをするようになった琴奈と花胡。琴奈は単純に可愛いし、花胡なんかはにかんで笑った顔にいつもキュンキュンしちゃう!


「期末終わり、どっか遊びに行かん?」

「いいね、どこ行く?」

「寒いし、屋内の方がいいなぁ。」

「じゃあエリスポとか?」

「そこにしよ!私、行ったことないんだぁ。」

「花胡、エリスポ行ったことないの?私の周りにはあんまりいないよ!」

「だって、あんまり必要ないってか…」


冬休みの予定はひとまず決まった。その前に、


「琴奈、テストの方は大丈夫なんだよな?」

「げっ。」

「まさか…」

「実を言うと、何も勉強してないっていうか…」

「ほんとに!?1週間前だよ!」


やっぱりかぁ、と頭を抱える私。心配している花胡は、まだ諦めていなさそうだ。


「じゃ、じゃあ!みんなで勉強して帰ろ!」


花胡が近くのファミレスを指さす。ここならお財布にもやさしいし、いいか。


「よぉし、アホな琴奈の頭に知識詰め込むぞ!」

「おぉー!」

「おい柚!アホはねぇだろ。」


 そして、琴奈に教え始めた私たち。ひとつ分かったことがある。コイツ、授業分かってねぇな。


「ここ、テストに絶対出すって先生が言ってたよ!」

「ええと、ナンノコトカナー?」


それより、たぶんコイツ、全授業寝てる。私と花胡の角度からは見えないけど、それだけは分かる。


「とりあえず、このチェックつけた問題は理解しとけ。話はそれからだ。」

「ありがとうございますっ!柚様!」

「よせ、照れるだろ。」


 次の日、いつものように3人で登校する。


「だからね、あの問題全部やったら、何となく範囲が分かったんだよ!」

「普通は授業中にそれをするんだ。」


あの問題は、今回の範囲の基本的なところだからな。実力教科の数学と英語と化学は教えるとして、あとは暗記系か。


「琴奈、暗記教科はいけるのか?」

「大丈夫!暗記は得意だから!」

「じゃあ、教えなくてもいいんだな。」

「いいよ!」


その日から毎日、数学、化学、英語を教え続け、そして試験前日。


「よし、これだけできていれば。」

「いけるかな?」

「欠点はないだろうな。名前の確認しとけよ。」

「ラジャです、柚隊長!」


3教科とも、ひとまず平均前後は取れるだろうレベルまでできるようになった。暗記系はどうにかなるみたいだし、そこは自力でやってもらおう。


「バイバーイ!」

「「また明日!」」


2人は晩ご飯を食べてから帰るみたいなので、私が先に店を出る。


「寒っ!」


さっきまで屋内にいたから少し寒い。冬になってきたなぁ。はぁと息を吐けば、口の周りは白くなる。私はロータリーを抜けて、駅に向かった。

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