「ちょっと購買行ってくる。」
桜が立ち上がる。いってらっしゃーいと見送り、私たちは会話を始めた。
「『第1回桜どうしたんだ委員会』を始めます。」
『お願いします。』
KYUKA組のみんなはもう気づいている。桜の様子が少し変なことに。何の予兆もなくだから、個人的に何かがあったのかもしれない。
「まずはQ。あれはいつから?」
「1日からだな。作り笑いが多くなったっていうか。」
「たしかに、俺も初詣のときに何か違和感があったな。」
Qと奏は1日の段階で気づいていたらしい。私たちはあんなに喋ってたのに、全く気づかなかったな。
「私は、始業式の日、ひい君たちと登校したときかな。いつもの桜とは違うかったし、何か焦ってる感じだったな。」
きいはまだ最近の方なのか。
「私も初詣の時には気づいてたよ。」
音羽は初詣のとき。ってことは、
「今日、初めて気づいたの私だけ?」
「そういうことになるな。」
私ってそんなに鈍感だったっけ?いや、むしろ敏感な方だと思ったんだけどな。
「それで、これからどうするんだ?Qは何が原因か聞き出せたか?」
「いや、まったく。何度か試してるけど、はぐらかされてるって感じ。」
「桜、そういうの話さなそうだしね。」
頭を悩ませる私たち。結論を早く出さないと桜が帰ってきてしまう。
「やっぱり、触れずにいつも通りが1番かな。」
「そうだよね。」
「俺も、そう思った。」
「結局行きつくのはそこだね。」
「じゃあ、そういうことで。」
私たちはご飯を食べ進めた。
帰り道。クラブ後の夜風はやっぱり冷えるな。
「そういえば、私もそんなことあったね。」
「あったな、ずっと漫画ばっか読んでる引きこもりの頃。」
「そのときはずっと奏が話しかけてくれたのを覚えてる。」
奏とは隣にいて違和感のないくらいの存在だ。たぶん、桜にとってはそれがQだ。今、桜に必要なのは時間とかじゃなくて、一緒にいてくれる人。だって私がそうだったから。さて、このことがQには分かるかな?まぁ、心配ないだろうけど。
「Qなら、桜から離れることはないよな。」
「私もそう思う。だって、Qが桜と話してるとき、めっちゃ楽しそうだもん。」
さっきまでの心配が嘘のように晴れていく。それでも、念のため送っておこう。
「Qはずっと桜の味方でいてあげてね」
『?』
「そのまんまの意味よ」
『おけ』
『当たり前だろ』
やっぱり心配いらなかったか。