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第5話 心配

「ちょっと購買行ってくる。」


桜が立ち上がる。いってらっしゃーいと見送り、私たちは会話を始めた。


「『第1回桜どうしたんだ委員会』を始めます。」

『お願いします。』


KYUKA組のみんなはもう気づいている。桜の様子が少し変なことに。何の予兆もなくだから、個人的に何かがあったのかもしれない。


「まずはQ。あれはいつから?」

「1日からだな。作り笑いが多くなったっていうか。」

「たしかに、俺も初詣のときに何か違和感があったな。」


Qと奏は1日の段階で気づいていたらしい。私たちはあんなに喋ってたのに、全く気づかなかったな。


「私は、始業式の日、ひい君たちと登校したときかな。いつもの桜とは違うかったし、何か焦ってる感じだったな。」


きいはまだ最近の方なのか。


「私も初詣の時には気づいてたよ。」


音羽は初詣のとき。ってことは、


「今日、初めて気づいたの私だけ?」

「そういうことになるな。」


私ってそんなに鈍感だったっけ?いや、むしろ敏感な方だと思ったんだけどな。


「それで、これからどうするんだ?Qは何が原因か聞き出せたか?」

「いや、まったく。何度か試してるけど、はぐらかされてるって感じ。」

「桜、そういうの話さなそうだしね。」


頭を悩ませる私たち。結論を早く出さないと桜が帰ってきてしまう。


「やっぱり、触れずにいつも通りが1番かな。」

「そうだよね。」

「俺も、そう思った。」

「結局行きつくのはそこだね。」

「じゃあ、そういうことで。」


私たちはご飯を食べ進めた。


 帰り道。クラブ後の夜風はやっぱり冷えるな。


「そういえば、私もそんなことあったね。」

「あったな、ずっと漫画ばっか読んでる引きこもりの頃。」

「そのときはずっと奏が話しかけてくれたのを覚えてる。」


奏とは隣にいて違和感のないくらいの存在だ。たぶん、桜にとってはそれがQだ。今、桜に必要なのは時間とかじゃなくて、一緒にいてくれる人。だって私がそうだったから。さて、このことがQには分かるかな?まぁ、心配ないだろうけど。


「Qなら、桜から離れることはないよな。」

「私もそう思う。だって、Qが桜と話してるとき、めっちゃ楽しそうだもん。」


さっきまでの心配が嘘のように晴れていく。それでも、念のため送っておこう。


「Qはずっと桜の味方でいてあげてね」

『?』

「そのまんまの意味よ」

『おけ』

『当たり前だろ』


やっぱり心配いらなかったか。

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