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日記4

 ――あ……ありのままに、今起きたことを話すぜ。


 コート羽織って避難所にでも出掛けようとしたとこでだよ。誰かチャイム鳴らしやがんの。

 んでドアスコープ覗いたら、平和だったら参加するはずだった非リアの祭典〝クリスマスなんざクソ喰らえパーティー〟の友達がいやがったんだ。それはもうありえないくらい典型的な昔のオタク像で、装いもステレオタイプなヲタそのままな友人がな。


 「イワウマ(おれのあだ名)氏! 拙者、〝くねくね(ネット発祥の未確認生物UMA)〟に襲われたので助けてほしいでござる!」とかほざいてんの。


 まあ。もう近所に知り合いとかいるかも怪しいし、キモいがこいつと一緒に逃げりゃ多少は心強いかなとドア開けようとしたとこでだよ。

 ――どういうわけか開かないでやんの。鍵開けてもびくともしない。

 おまけに向こうの声は聞こえんのに、こっちがしゃべっても届いてないようなんだわ。そうこうしてるうちにツチノコの大群が現れて、友人は追いかけられて廊下の果てに逃げちゃいましたよ。ええ。


 ツチノコだよ?

 どっかで懸賞金かけてるとこあったよな。あんだけいりゃ大金もらいまくりだろうに。いや、あの数はさすがに引くけど。

 でさ、ツチノコ捕まえたいわけじゃないけど外出れないのも困るんで、改めて扉の開閉にチャレンジしましたよ。

 そしたら、今度はあっさり開いたんだなこれが。


 もっともね。

 そこはマンションの廊下じゃなくて別な建物の屋内。

 仰天してドア閉めてスコープから覗くと、やっぱいつものマンションだ。というか、窓とか越しにはいつもの風景なのに、どういうわけかドア以外全部開かなくなっちゃってんの。

 しかも玄関に繋がったどっかの建物。いかにも生物兵器とか開発してそうなSFチックな廊下で、真っ暗な中、割れた蛍光灯は点滅してるわ壁にひび入って血糊付着してるわで怖すぎるんですが。


 ……つーかあの構造、どっかで見たような……?

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