「予想通りね」
聖奈、発言。
――新たな侵入者を検知。グローバルネットに照合。
複数の記録に該当。50%の確率でスケルトンと推定。
「カタカタカタ」
スケルトン、発音。
「うわ!」祝馬、発声。「なんか出た、動く人骨!?」
「いちおう剣で武装してるわね」
聖奈、退室。
「ひっ、危ねえっ。たいていザコキャラのくせに! てか一人で逃げんな。ちくしょー!」
銃口でスケルトンを捕捉。――発砲。
「ガタッ?!」
スケルトン発音。
助骨、胸骨、尾てい骨、……その他に命中。壁面に複数箇所の被弾。
スケルトン転倒。頭蓋骨、破損。――活動停止を確認。
銃火器、消失。
「……マ、マジで弾出るし威力あるな。――てか銃消えたんですけお?!」
「用済みなんでしょ。ところでこのスケルトン、頭蓋骨になにか入ってるわ」
「アナログな鍵か、ファンタジーのアイテムみてぇな装飾だな。……の前に、いつ戻ってきたし」
聖奈、入室。
「ギュスターヴ博士の趣味ね、所長室の鍵だわ。探してたのよ。やっぱりあなたがいないとフラグが立たなかったみたい」
「どういうことだってばよ?」
「この研究所には三階まで吹き抜けのホールがあってそこに入りたいんだけど、一階と二階は扉のロック設備が恐竜に壊されてて解除できなかったのよ。三階は無事だったけど、高レベルのカードキーで閉鎖されてた。おまけにカードリーダーには電気が流れてなかったから変電室で復旧させたの。でも、キーはたぶん所長室にあるのよ。そこも閉まってて――」
「なにそのサバイバルホラー」
「そう、これはおそらくゲームのつもり。たどり着くまでに必要な資料を集めて理解してほしいのね」
「誰が?」
「この超常現象の原因。だから、あたしとあなたが導かれてるの」
「……つまり。おまえにだけメールが届いたり、研究所と家の玄関が繋がったりしたのもそのせいってわけか?」
「案外賢いじゃない。さすが天才と仲がいいだけのことはあるわね」
「へいへい、相変わらず自惚れが強いこって。――で、そいつをやってるのは具体的に誰なんだよ」
「そこは学習しなさい。さっきのネット辞書もわざわざ日本語版で表示されてたんだし、そう望まれてるのよ」