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観察記録

16.Decembre 2012


 記念すべき日だ。H102の実験に進展があった。

 これまで幾度となく繰り返しては失敗してきたグローバルブレインとG1800Mのリンクが、不完全ながら合致したのである。

 H102に脳波とバイタルサインが計測され、閉ざされた目蓋が震えた。ほんの数分の反応で不安定でもあったが、大きな一歩といえるだろう。

 今夜はみなで祝杯を挙げるとしよう。



17.Decembre 2012


 本日は成果なし。ぼくも少しさぼってしまったかもしれない。話題がずれるようだが、昨日は大規模な超常現象が勃発したらしいからだ。

 南米各地でUFOの目撃情報があり、その編隊が数分に渡って大胆な飛行をし、多数の映像記録が残された。たまたまテレビ局のカメラも捉えて生放送したそうで、すごい騒ぎだったらしい。

 ちょうど実験中だったため、リアルタイムで観賞できなかったのが惜しまれる。このために興奮して、仕事にも身が入らなかった。

 世間では著書などからオカルト嫌いと誤解されがちなぼくだが、勘違いも甚だしい。実際は超常現象が好きで、蔓延るインチキが本物を隠してしまいかねないから批判しているまでなのだが。

 それが、まだオカルトに片足を突っ込んでいるような未知の研究への情熱にもなっているというのに。



18.Decembre 2012


 いい調子だ。また不完全で不安定ではあるが、前回よりも長時間に及ぶグローバルネットとのリンクに成功した。

 脳波、バイタルサインも再度確認。目蓋の痙攣に加え、手先の動きまで認められた。

 途中10分ほど接続が途絶えはしたが、時間にして計約50分は成果を出せた。かなりの前進だ。



19.Decembre 2012


 一進一退、進歩のない日だった。

 またぼくの気がそれていたせいもあるだろう。だが事情はもっと複雑だ。

 昨日も大規模な超常現象が起きたらしいからだ。アフリカ全域を大量の幽霊がうろついたという。

 数限りないほどの目撃情報があり、まだ増える可能性があるそうだ。当然、映像も多数撮影され、あまりの事態に一時期は紛争さえ鎮まったらしい。

 妙なのはここからだ。

 それらが出現したのが、寄しくもまた実験が成功した時間帯なのである。しかも途中で幽霊たちがいっせいに消え、約10分ほどの空白期間を置いて再度出現してからしばらくしてまた消えたらしい。

 各記録や証言の分析によれば、その空白期間を抜いた超常現象の持続時間を足すと、どうやら50分ほどになりそうだ。研究所の出来事とは、タイミングまでもぴたりと一致する。

 単なる偶然か? あるいは――



20.Decembre 2012



21.Decembre 2012


 昨日から過去の代表的なオカルト現象の発生日時を調べている。

 記録と照らし合わせると、H102の意識生成以来、研究になんらかの進展があったときには世界のどこかで名のある超常現象が起きているようだ。

 この前のUFO事件や幽霊事件にH102まで絡めて、「マヤの予言の影響では?」などと研究員も冗談めかしていた。H102の件を除けば、世界的にも似たことが囁かれだしているらしい。

 くだらない解釈のはずだが、なにかが引っ掛かる。



22.Decembre 2012


 ある推測が閃いた。

 だとしたら明日辺り変化があるはずだが、閃いたことは誰にも話せなかった。

 なにもないならそれでいいが、あったなら……

 ――世界の変革を望みたい!



3.De mbr 201


 いわ うま

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