皆が昼食を食べ終わった。
堪能したと言った表情の『セリア』
メインディッシュに満足したため似たような表情の『ゲルハート』
神前式の食事後の祈りを捧げる『ウィーゼル』
貴族式の食事後の祈りを捧げる私が居たのだった。
そして、一旦食堂を後にするのである。
「一旦落ち着いたことだし、メインデッキに上がってみないか? この時間だから
「帆を広げて全力で疾走する、勇ましい姿も見たいしな」と『ウィーゼル』が同意した。
「メインデッキって上がってもいいのですか?」と私が聞いた。
「セイラーやクルーの邪魔にならなければ許可は出ると思うけど、
「私はいつも持っているけれど」とも追加した。
「私は持ってます。ベルトポーチの中に!」と私は答えた。
「俺もいつも持っているぞ」と『ゲルハート』が懐から出した。
「俺も持ってはいるが、必要なのか?」と『ウィーゼル』が聞いた。
「あっさり許可が出る場合もあるけど、そうじゃない場合もあるっていうことだよな?」と『ゲルハート』が『セリア』に聞いた。
「全速疾走中だしね、身の証を立てられれば許可は出るかもしれないわ」と『セリア』はいった。
そしてメインデッキに上がる階段前には前には、やはり『セリア』が言った通りクルーが二人立っていた。
「お客様こちらはメインデッキへ上がる階段となります。ただいま全速疾走中ですのでできましたら、ご遠慮願いたいのですが?」と
「ね、言われたでしょう?」と『セリア』はいった。
でも、そこからが本番だった。
『セリア』が腰の裏ポケットから、革ひも付きの冒険者証を出した。
「五ランク以下の方は、冒険者証を見せられてもここを通すことはできません」とクルーのもう一人が立ちふさがった。
そして『セリア』が無言で、ランクを提示した。
オール七ランクの冒険者証を!
私もポシェットサイズのベルトポーチから冒険者証を出した。
後ろのクルーが
『ゲルハート』も『ウィーゼル』も同様に冒険者証を取り出した。
「どうか、クルーやセイラーが来たら、お通しください。もし提示を言われたら提示してください。お願いいたします」といって階段にかけてあった革ひもを外してくれて。
「どうぞ、お通りください。風が強うございますのでお気お付けください」といわれ『セリア』が通された。
私もクルーに冒険者証のランクを提示した。
明らかに顔つきが真面目に変わり。
セリアと同様の注意事項を受けて通してもらった。
『ゲルハート』も『ウィーゼル』も同様にメインデッキへ出て来た。
メインデッキは綺麗だったもっと雑然としているのかと思ったが意外だった。
「意外そうな顔をしているが、もっと雑然としていると思ったかい?」と近くにいた副船長の服装を着こなして、なお格好の良い方が聞いてきた。
貴族式に則った礼儀作法を披露しその方に向かって一礼した。
「『ウィオラ・オルビス・テッラエ』と申します。貴方様はこの船の副船長様で合っておいででしょうか?」と私が華麗に一礼しながら質問を返した。
この国、ヴェルゼニア王国の交通に携わっていて、尚且つ高位にいる人ほどテッラエ家の名は通りが良いのだ。
余裕が見えていた副船長が、
そして真面目な表情に変わり、帽子を斜めから真っ直ぐにかぶり直した。
「はい、この船。サラトガ・マーメイディアの副船長をしております。『アクルプス・オルタード』と申します」と敬礼付きで返された。
流石に、このやり取りに気付いた先行していた『セリア』、後ろから上がってきた『ゲルハート』と『ウィーゼル』は少しビビっていた。
副船長が『ウィオラ』に向かって敬礼を返した!?
「本日は私用でございます。特に何かある訳ではございません」と私が副船長にそのように返した。
「分かりました、船長にも伝えます」と副船長が少し体の
「メインデッキに上がってみたい、ということで上がってきました。ゆっくり
再び、副船長が『ウィオラ』に対して敬礼をした。
すれ違う『ゲルハート』と『ウィーゼル』に軽く
私は前方に向かって歩き始めた。
風が
そして『セリア』の隣まで行った。
『セリア』はいった。
「今のは?」と。
「
『ゲルハート』と『ウィーゼル』も寄ってきて聞いた。
「何かあったのか? 心配、いや少々ビビったぞ」と『ウィーゼル』がいった。
「『ウィオラ』君はいったい何者なんだ……」と『ゲルハート』は私に聞いた。