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第15話:ファミリーネーム

「私そのものは、ただの冒険者ですよ?」と『ゲルハート』に答えを返した。


「ファミリーネームが、利いているだけですよ?」と追加でいった。


「ファミリーネーム?」と『ゲルハート』はよく分からんといった表情になった。


「何か思い出せそう、だけど思い出せないわ」と『セリア』がいった。


「貴族の称号か何かか?」と『ウィーゼル』がいう。


「多分それね、あの焦り方。尋常ではなかったもの」と『セリア』はいった。


「でもよかった、『ウィオラ』ちゃんが無事で」と『セリア』は追加した。


「あの副船長、私は華麗にスルーして『ウィオラ』ちゃんに絡んだのよ、いい薬だわ」と『セリア』は私をきしめた。


『ゲルハート』と『ウィーゼル』がいった。


「俺らも会釈えしゃくはされたな、返礼はするひまがなかったが」と二人してダブっていった。


 『セリア』は考えていた。


 『テッラエ』……どこかで聞いたような気がするのだ。


 だが、難しい記憶なのか、記憶の中にはなかったのであった。



 まあイイわ、と思って、私を解放した。



「メインデッキってもっと雑然としたイメージがあったんだが綺麗なんだな」と『ウィーゼル』が言った。


「帆に風が載っていて綺麗に張ってますよ。力強くていいですね」と私がいった。


 『ウィーゼル』もそれを見てうなづいた。


 『ウィーゼル』の興味の一つは満たされたようだった。



 『ゲルハート』まださっきのことが、頭にかじりついているのか何か考え事をしていた。


 精霊使いなら風を読めるのになあと私は思った。


 でも吹き抜ける風は心地よいものだった。


 そして、周囲をぐるりと見てみようということになり、色々見学させてもらったのであった。


 そして一通り見て、皆で納得した。


 セイラーやクルーにも知り合いが増えたのであった。


 皆オール七ランクということもあり、お互いに何かあれば力を貸すという軽い約束もするくらいだった。



 メインデッキに居て会わなかったクルーにもうわさとして七ランクパーティーが乗っているらしいというようにクルーやセイラーの中に噂が広がっていったのであった。



 そして見学が終わりメインデッキを後にするのだった。


 クルーもセイラーも皆良い表情で働いていた。



 最終日には元の旅装に変わるがそれまでは私服を入れ替わりで着ようと私も考えるくらいであった。



 とりあえず部屋に戻って後は、夕食まで自由行動ということになった。


 部屋に戻るルートも、上ってきたルートと同様のルートで、帰って行ったのである。


 夕食は十八時からだった、メインデッキで約一時間は過ごせたため。


 自室に戻ってきたときにはすでに十五時になっていた。



 女性陣は一緒に、船内売店に行こうという話になった。


 男性陣は一旦、トイレと風呂を先に済ませておこうという話になったらしかった。



 船内売店は最下層のひとつ前、三等船室のある階層の中央に店を構えていて、一揃ひとそろいが揃うつまり何でもあるというのが売り文句だった。


 服やドレスも売っているという売り文句ではあった。


 流石に武器はおいて無かったが。


 防具は革装備なら置いてあったくらいである。



 色々あるけど、これっていう決め手に欠けるわよねーと、口にこそ出さないものの『セリア』はそう思っていた。



 私のほうも同様で実家から持ってきた服で十分かな? というウィンドウショッピングとなったのであった。


 合流して、部屋に戻るとまだ十六時であった。


「トイレを先に済ませておこう」と『セリア』はいった。



 私もそれには同意した。



 先に『セリア』が入ることになり。



 私は待ち状態の間に、サーペントメイルを全部組上げてしまっていた。武器やかぶとそばに置いておいた。


 ソコソコ長かったが特に何も臭わなかった。


 交代して今度は私が入り、出すモノは全て出し切ってしまって、終わったら引くと書かれたひもを引くと魔導水洗式と思われる構造になっていたのであった。


 手洗い場は簡潔かんけつにできていたが蛇口じゃぐちが付いていてより新鮮さがあった。


 芳香剤のようなものと吸収剤のようなものが置いてありそれがセットで効いているようであった。


 トイレは綺麗だったことも、告げておかねばならない。


 出て来ると、『セリア』はごろ寝していた。


 暇ですものということであった。


「時間上手く使えばお風呂入れましたねー」と私がいった。


「そうねー」という答えが返って来た。


「男組はうまくやってるのかしら?」というほうに興味が行ったようであった。


 そうして女性陣はゴロゴロするか最終日の準備をするとかして準備をしていったため最終日は直ぐ装備できるようになって行ったのである。


 逆に言えば戦闘準備が済んでいたともいえる。


 着替えればいいだけになっていたのであった。


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