目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報

第15話:地上戦

 敵味方識別の方法が分かったので、パーフェクトイリュージョンの出番となった。


 ようは私が、白でなく黒く見えればいいだけなのだ。




 さらにこの異界は現世を真逆にしてさかさまにしただけの異界であり、特殊な能力が必要な異界では無かったのである。


 術者の目的は最初から私の様だった、ソイツが人かどうかということはこの際置いておくとして。


 隔離の手並みも悪くない。


 だが、私に目標を絞ったことを後悔させてやる必要はあったのだ。




 十数体の何かを背後から忍び寄って斬るだけ、の簡単な仕事は終わりを告げた。


 残るは中心の二体だけである。


 うち一体は間違いなく手練れであろうことは考える必要もないが、もう一体はそんなに難しくないと思われた。


 そして同じ顔なしを斬り倒した、もう一体と思ったが嫌な予感が駆け抜けたのでそこから飛んで下がることになった。


 その直後中心が爆発したのであった。



 爆発と思ったのは最後の一体が、正体を隠さなくてよくなったからソトガワを裂いただけらしかった。


 そいつは身の丈六メートルは有ろうかという鬼人であった。


 ただ普通の鬼人と違うのは、瞳の色が深紅に染まった光球だったからであった。


 気配も鬼人のそれでなくて、もっと禍々しい何かだった。


 何かと表現するしかない、異常事態だった。


 魔人などでは無く、もっと高位の何かとしか表現できなかった。



 力的に高位な、と表現した方が良いようだった。


 紅の瞳の中のさらに紅い部分が、こちらを向いた。



 瞳に該当する部分はあるようだった。


 私は刀に、魔法武器創出とオーバーロードを載せた。


 さらにライトニングブラストの持続版を乗せた。



 もう一本小太刀も抜いた、そして同じ手順を踏む。



 二刀流となった。


 そのままジリジリと間合いを詰めに行く。




 ソイツが、スッと自然に組んでいた腕を解いてダラリと手を下げた。


 ソイツの手に魔力がこもった、恐らくレイスタッチだと思われた。




 踏み込める距離になると、私から仕掛けた。


 踏み込んで鞘を必要としない戦場居合を撃ち込む前のタイミングに、ソウルスマッシャーを突っ込んだのである。



 一瞬ビクン! と震えレイスタッチに切り替えるまでの間に、私が滑り込んで切り結ばずに斬りこんで利き手側に通り抜けた。


 通り抜けてから向きを変え、守勢の陣を張る。


 二刀分は確実にダメージが入ったが、見て取れる場所に変化はなかった。




 二刀にストレングスライズをかけ強度を上昇させた。


 今度は手順はライトニングブラストと同様ではあるが、ソウルスマッシャーを持続でかけ乗せた。


 さらにアナザーソードをも乗せる。


 徐々に蓄積していく精神の消耗のほうが不味かった、レイスタッチのほうは次は触られてしまうと思ったのだ。


 だから、タイミングを変える必要があった。


 地上ながらフライトを地表ゼロメートルでかけ、速度を上げることを第一優先に駆け抜けることにした。


 先読みされるわけにはいかない、フライトを乗せるのは踏み込んだ瞬間なのだ。


 ソイツに空振りさせるのが目的なのだ。


 アヘッドも乗せることにする。


 多連続魔法詠唱になるが、仕方なかった。




 時間を持たせるのも不味かった、ソイツのほうが余裕がありそうなのだ。



 またジリジリと詰めていく、さっきの攻撃で大体の距離感はつかめていた。




 その感覚はソイツも分かっているだろうから、敢えて先に仕掛け速度で持って飛び抜けようというやり口なのだ。


 その半歩まで来た際に、ココっという感覚が載った。



 その瞬間フライトを唱え、瞬間加速し高度ゼロの飛行状態で戦場居合を二刀抜きしソイツを確実にバツの字に斬ったのである。


 今度こそ確実に影ではなく、身を斬った感覚が手応えとして乗った。





 飛行状態であるため凄く制御は難しいがそのまま跳ねず、高度ゼロを維持してその場でターンさせ向き直った。


 そのまま抜けて飛ばずに、次へつなげられたのである。


この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?