「……ここから先は歩きですね」
まだ20歳そこそこのポニーテールの女性が、バイクを停めて歩き出す。
山深い東北の田舎道は、
「ストリートビューにすら無い場所なんて思いもしなかったです。
だからこそ、
バイクレーサーのようなライダースーツに身を包んだ彼女……
「職場への様子伺いで、武田部長と安武さんが東京にいるのはわかっています。
つまりあの2人に知られず、調査が出来るという事―――
部長が妖に関わっているとは思いませんけど、もし
いるのだとしたら、部長が知らないうちに処理しませんと」
そして彼女は歩を進める。
一本道の
生い茂る。
すでに季節は秋口に差し掛かっていたが……
そんな中、弥月は女性にしては早足で歩き続けた。
「…………」
そんな中、一匹の狐が離れた小高い丘から、彼女を見下ろしていたが―――
すぐに身をひるがえし、姿を消す。
そして10分ほどすると、同じ場所に昔ながらの和風な着物に身を包んだ、
シルバーの長髪の妖が彼女を見下ろしていた。
「家の周囲を見守っている野狐の1人が報せてくれましたけど、
裕子様でもお母さまでも無いですね……
ミツ様の知り合いでしょうか?
でもそれなら、何らかの連絡をしてくるはず。
いったん迷わせて、その間に確認を取る事にしましょう」
そう言うと