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第45話 EP8-5 早い再会

 この世界せかいとなりには、『狭間はざま』とばれる世界せかいがある。

 狭間はざまには、『狭魔きょうま』とばれるモンスターがる。

 狭魔きょうまたおす、『魔狩まかり』とばれる人間にんげんがいる。


   ◇


 オレは、遠見とおみ 勇斗ゆうと。十四さい中学生ちゅうがくせいで、えないメガネ男子だんしである。普段着ふだんぎティーシャツジーパンで、こし廉価品れんかひん長剣ロングソードをさげる、一応いちおうしの魔狩まかりである。


 レジャープールから片桐かたぎりははいえもどって、夕飯ゆうはん配膳はいぜん手伝てつだう。


 木塀きべいかこまれたひろ敷地しきちで、木造もくぞうおおきな家屋かおくで、二階建にかいだてで、かわら屋根やねだ。

 ふるくはあっても、手入ていれがとどいてる。掃除そうじもされてる。

 片桐かたぎりはは一人暮ひとりぐらしだそうだ。


 部屋へやは、畳敷たたみじきだ。いかにもふるいえってかんじだ。


「ふぅん。さかな狭魔きょうまねぇ」

 桃花ももかが、ひくあつ食卓しょくたく小鉢こばちならべながら、いぶかしげなかおをした。

本当ほんとだって。あの競泳きょうえい水着みずぎひとが『マーメイ』でさ」

 オレは汚名おめいそそぐために、おのれただしさを主張しゅちょうした。


 狭魔きょうまは、こちらの世界せかいあく影響えいきょうおよぼす。とは最強さいきょうの『ウォリア』斎賀さいが 皐月さつきげんである。

 だから、あのさかな狭魔きょうまあく影響えいきょうで、オレはパニクっておぼれたにちがいない。自身じしん名誉めいよのために、何度なんどでもかえそう。


   ◇


「ああ、そういえば」

 夕飯ゆうはんられた大皿おおざらおもそうに、片桐かたぎりはははこんできた。

「あなたたちのほかに、息子むすこ知人ちじんのおじょうさんもまってるのよ」


おもそうだな、ばあさん。しな」

 古堂ふるどうが、大皿おおざらって、食卓しょくたく中央ちゅうおうく。

 片桐かたぎりはは微笑ほほえむ。

「ありがとう、たすかるわ。くちわるいのに、やさしいのね」


かってるじゃねぇか。爺婆ジジババやさしいのもモテるおとこ条件じょうけんだろ? おれっちは、モテるためならなんでもするおとこだぜ」

 古堂ふるどうが、奇妙きみょうななめったポーズで格好かっこつけた。

「あなた、モテなさそうね」

 片桐かたぎりはは笑顔えがおで、単刀たんとう直入ちょくにゅうにツッコんだ。


 片桐かたぎり知人ちじんむすめ、か。片桐かたぎりにとっては顔見知かおみしり、オレたちにはあか他人たにんだ。

「その知人ちじんって、もしかして! コンビんでたひとだったり!?」

「ももももしかしますか?!」

 桃花ももか琴音ことね興味きょうみしめす。

 二人ふたり興味きょうみ基準きじゅんからない。


片桐かたぎりのオバァサン。おフロ、あがりました」

 バスタオルでかみきながら、タンクトップにたんパンの少女しょうじょが、部屋へやへとはいってきた。しなやかでスラリとして、高校生こうこうせいくらいで、ボーイッシュなかんじだ。


「……あ」

「……あれ? ああ、そうか、キミたちだったのか」

 った。おたがいに、おどろいていた。


   ◇


 各々おのおの自己じこ紹介しょうかいえて、夕飯ゆうはん食卓しょくたくかこむ。ひくあつ食卓しょくたくで、たたみ座布団ざぶとんいて、正座せいざとか胡坐あぐらとか、おもおもいにすわる。


片桐かたぎりオジサンのいるギルドの、魔狩まかりなんだね」

 ボーイッシュな少女しょうじょ水瀬みなせ 七海ななみが、オレをる。のせいか、ずっとてる。


勇斗ゆうとがさ、七海ななみが『マーメイ』で、さかな狭魔きょうま退治たいじした、ってってたんだけど。本当ほんとなの?」

 桃花ももかが、オレのあたまつかんでいた。こいつはいつもこうだ。


 七海ななみは、不思議ふしぎそうにくびかしげる。

「え? 勇斗ゆうとクンに、そこまではなしたっけ?」

「あ。オレは『スコーパ』っす。えっと、この世界せかいから狭間はざまえる特殊とくしゅ能力のうりょくちっす」

 オレは、桃花ももかからのがれようとムダな努力どりょくをしながら、こたえた。


「スコーパ?!」

 七海ななみがビックリした。座布団ざぶとん膝立ひざだちで、オレのほうに、夕飯ゆうはん大小だいしょう様々さまざまさらなら食卓しょくたくした。

 きゅうまえせまられて、オレもビックリした。タンクトップにたんパンと露出ろしゅつおおくて、むね谷間たにまふくらみがえて、ドキドキもした。


七海ななみさん。お行儀ぎょうぎわるいですよ」

「あっ。はい。すみません」

 片桐かたぎりははたしなめられて、座布団ざぶとんすわりなおした。


「ボクは、『マーメイ』だよ。水中戦すいちゅうせん得意とくい戦闘系せんとうけい

うで怪我けが大丈夫だいじょうぶっすか?」

「うん。平気へいき。もう、なおりかけさ」

 日焼ひやけしたうでせる。なおりかけのきずがある。

 一般人いっぱんじんよりなおりがはやい。ウォリアの桃花ももかよりはおそい。

 桃花ももかなら、あとのこらず、怪我けがしたこともわすれて、怪我なんてしたっけ?、とかかえしてくる経過けいか時間じかんだ。


「じゃぁ、本当ほんとに、さかな狭魔きょうまのせいでおぼれたのかも、ってことかぁ。こっちの世界せかい狭魔きょうまあく影響えいきょうかぁ」

 桃花ももかかんがえてそうな考えてなさそうなかおかえして、唐揚からあげをくちはこんだ。


   ◇


 七海ななみがボーイッシュに微笑ほほえむ。ひとみ少年しょうねんめいてかがやかせる。

「ボクのことより、キミだよ、勇斗ゆうとクン。片桐かたぎりオジサンからいてる。将来しょうらい有望ゆうぼう少年しょうねんで、かなら優秀ゆうしゅう指導者しどうしゃになるだろう、ってね」

「そそっ、そそそんなっ?! 滅相めっそうもないっす!」

 オレは赤面せきめんして、琴音ことねみに狼狽うろたえた。

 あの片桐かたぎりに、手放てばなしでめられるなんて、れる。片桐かたぎりへの信頼しんらいがあるから、言葉ことば信憑性しんぴょうせいがあって、れる。


 七海ななみ座布団ざぶとん膝立ひざだちで、またもオレのほうに、夕飯ゆうはん大小だいしょう様々さまざまさらなら食卓しょくたくした。

 きゅうまえせまられて、オレはまたビックリする。タンクトップにたんパンと露出ろしゅつおおくて、むね谷間たにまふくらみがえて、ドキドキもする。

「ねぇ、勇斗ゆうとクン。ボクと、コンビをまない?」

 七海ななみかおちかい。さらにドキドキする。


「ちょっ!? ちょっと?! 勇斗ゆうとはアタシのパートナーなのよ!」

 桃花ももか食卓しょくたくして、オレと七海ななみあいださえぎった。

 なんだか唐突とうとつに、一触いっしょく即発そくはつにらいになった。


 二人ふたりとも、オレのほうく。回答かいとう要求ようきゅうするかおで、ジッとる。

 こまった。まさかオレのいであらそいが勃発ぼっぱつするとは、おもいもしなかった。さすがは、あの隻眼せきがんひげでオッサンの片桐かたぎりみとめられたおとこだ。

 オレはシリアスに、大仰おおぎょううでひらいて、二人ふたり仲裁ちゅうさいこころみる。

ってくれ、二人ふたりとも。オレのためにあらそわないでくれ」


 ……しまった。スベった。

 二人ふたり視線しせんが、え?なにってるのコイツ?みたいにつめたくなった。


 コトン、と食卓しょくたく小鉢こばちおとがした。おもわず、そっちをた。

二人ふたりとも。お行儀ぎょうぎわるいですよ」

 微笑ほほえ片桐かたぎりははたしなめられた。

「あっ。はい。すみません」

「す、すみません」

 七海ななみ桃花ももかも、しおらしくあやまって、座布団ざぶとんすわりなおした。


 片桐かたぎりははは、高齢こうれいかんじさせない迫力はくりょくがある。あの隻眼せきがんひげでオッサンをそだてたのは、こういうひとなのだな、とみょう納得なっとくする。



マカリなのでハザマでキョウマとタタカわされます

第45話 EP8-5 はや再会さいかい/END

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