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第46話 EP8-6 夜→二日目

 この世界せかいとなりには、『狭間はざま』とばれる世界せかいがある。

 狭間はざまには、『狭魔きょうま』とばれるモンスターがる。

 狭魔きょうまたおす、『魔狩まかり』とばれる人間にんげんがいる。


   ◇


 オレは、遠見とおみ 勇斗ゆうと。十四さい中学生ちゅうがくせいで、えないメガネ男子だんしである。普段着ふだんぎティーシャツジーパンで、こし廉価品れんかひん長剣ロングソードをさげる、一応いちおうしの魔狩まかりである。


 夕飯ゆうはんえてかるくなったさらを、みんなかたづける。旅行りょこうかんがあって、片づけすらたのしい。


琴音ことね! 今夜こんやは、一緒いっしょるわよ!」

 桃花ももか琴音ことね指名しめいした。ともだちとおまりしたい!、の欲望よくぼう全開ぜんかいだ。


 絢染あやそめ 桃花ももか魔狩まかりである。オレの幼馴染おさななじみで、十四さい中学生ちゅうがくせいで、桃色ももいろながかみで、華奢きゃしゃで、むねちいさい。

 いつもの私服しふく、ノースリーブにミニスカート姿すがたである。


「……えっ!? えええええっ?! わっわっわわわたしがっ、あああ絢染あやそめさんとっ!?」

 琴音ことねかおっっっっっにして、パニクった。


 真奉しんほう 琴音ことねは、オレと桃花ももかのクラスメートである。銀縁ぎんぶちまるメガネに灰色はいいろながかみみにして、小柄こがらむねおおきい人見知ひとみしりの女子じょしである。フリルやレースがいっぱいのキュートな私服しふくこのむ。


 二人ふたりともたのしそうだな、と微笑ほほえましくおもう。でも、もうわけない気持きもちで、横槍よこやりれる。

「まあ、て、桃花ももか

「なによ? 勇斗ゆうと一緒いっしょる?」

 桃花ももかたのしげなみでこたえた。


 おおっと!? とんでもないながだまんできた。オレは、万全ばんぜんして、言葉ことば中断ちゅうだんした。


遠慮えんりょはいらないわよ。アタシと勇斗ゆうととは、むかし一緒いっしょなかだもんね」

 桃花ももかがドヤがおで、七海ななみ横目よこめる。

 優秀ゆうしゅうなオレをスカウトしたい七海ななみに、対抗たいこう意識いしきやしてるっぽい。


 水瀬みなせ 七海ななみは、片桐かたぎり知人ちじんむすめである。あおみがかったくろのショートカットで、しなやかでスラリとして、おんなひとってかんじのボディラインの、ボーイッシュな女子じょし高生こうせいである。

 フロあがりのタンクトップにたんパンで、露出ろしゅつおおい。


 片桐かたぎりははには、部屋へやかずだけはおおいからきに使つかっていい、とわれてる。まる人数にんずうより部屋へやほうが多い。余裕よゆう一人ひとり一部屋ひとへやである。


「そそそそそれはっ!? わわわたわたわたしがっ! メッ、メチャクチャにされるながれでしょうかっ?!」

 琴音ことねかおをさらにっっっっっっっっにして、興奮こうふんして、さらにパニクった。


 さすがは桃花ももか数少かずすくないともだちである。桃花ももかかってる。

桃花ももかは、寝相ねぞうわるい」

 オレは、冷静れいせいに、てのひら桃花ももかけて、制止せいしした。


 桃花ももか赤面せきめんした。

「ちょっ?! 寝相ねぞうって、小学生しょうがくせいころはなしでしょ!」

いま桃花ももか寝惚ねぼけて、加減かげんなしで一般人いっぱんじんったらどうなるか、かるな?」

 オレはかまわず、桃花ももかにもかる程度ていど遠回とおまわしに、現実げんじつきつけた。


 一瞬いっしゅんしずかになった。

「それはたしかに、メチャクチャになるわね……」

「メチャクチャにされますね……」

 桃花ももか琴音ことね蒼褪あおざめて、納得なっとくした。


 よるひろ部屋へや一人ひとりで、たたみ布団ふとんいて、広々ひろびろた。しずかで、星明ほしあかりがして、なみおとこえた。


   ◇


「うおぉー! うみだぜぇ! ナンパだぜぇ!」

 二日目ふつかめは、休日きゅうじつのレジャープールの混雑こんざつけて、ちかくのちいさな海水浴場かいすいよくじょうた。オレよりさきに、古堂ふるどううみさけんだ。


 古堂ふるどう 和也かずやは、オレや桃花ももか近所きんじょ大学生だいがくせいである。金髪きんぱつ逆立さかだて、ヒョロいからだくろのブーメランパンツの、派手はでちのおとこである。


戦闘せんとうけいの『スナイプ』で? 一般人いっぱんじんみのランクDって。どうして、魔狩まかりになったんだい?」

 競泳きょうえい水着みずぎしろティーシャツの七海ななみが、あき気味ぎみ率直そっちょく感想かんそうべた。


よわいでしょ。ザコでしょ。ビックリでしょ」

 フリルのヒラヒラしたカワイイけい水着みずぎ桃花ももかが、わらいながらバンバンと古堂ふるどう背中せなかたたく。

「やめろ、バイオレンス絢染あやそめ! 本気ほんきいたい!」

 古堂ふるどうのヒョロい背中せなかあか手形てがたがついた。


「……バイオレンス絢染あやそめ?! まさか、あの、光速こうそくのライトニングさま共闘きょうとうたした超新星ちょうしんせいじゃないか!」

 七海ななみがビックリした。

 オレは、爆発ばくはつしそうな称号しょうごうだ、とおもった。

「キュートなスーパールーキーってんでくれる?」

 桃花ももか不服ふふく気取きどりながら、自慢じまんげにかえる。

 むねちいさいから、やっぱり子供こども水着みずぎえる。


仲良なかよくやってるようだな。安心あんしんした」

 わざわざ様子ようすたのか。くろいスーツ姿すがた片桐かたぎりが、道路どうろから砂浜すなはまへとりてくる。


 片桐かたぎりは、たかがたで、サングラスとととのったひげと、ひだりまぶたたて傷痕きずあと特徴的とくちょうてきな、哀愁あいしゅうただよしぶいオッサンだ。



マカリなのでハザマでキョウマとタタカわされます

第46話 EP8-6 よる二日目ふつかめ/END

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