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第66話 EP10-2 四点一斉討伐作戦

 この世界せかいとなりには、『狭間はざま』とばれる世界せかいがある。

 狭間はざまには、『狭魔きょうま』とばれるモンスターがる。

 狭魔きょうまたおす、『魔狩まかり』とばれる人間にんげんがいる。


   ◇


 花火はなび大会たいかいの、昼間ひるま会場かいじょうあるく。オレと桃花ももか琴音ことね麗美れみ古堂ふるどう五人ごにんである。

 とにかく人出ひとでおおい。人々ひとびと視界しかいはばまれて、じゅうメートルさきえない。


「Sチームの配置はいちは、ここだな」

 オレは、スマホの地図ちず確認かくにんする。川沿かわぞいのなが公園こうえん一画いっかくで、はしこうにはえきビルがえて、ひと往来おうらいおおい。


 オレは、遠見とおみ 勇斗ゆうと。十四さい中学生ちゅうがくせいで、えないメガネ男子だんしである。普段着ふだんぎティーシャツジーパンスニーカーで、こし廉価品れんかひん長剣ロングソードをさげる、一応いちおうしの魔狩まかりである。


 交通こうつう規制きせい許可きょかわなくて、禁止きんしにできてない。ランクS相当そうとう一般人いっぱんじんみが不安ふあん要素ようそか。


 ランクS相当そうとう一般人いっぱんじんなんているの?、というと、いる。

 戦闘せんとうきの能力のうりょくじゃなかったり、安定あんていした普通ふつう生活せいかつえらんだり、魔狩まかり引退いんたいしてたり。たたかうのがこわいとか、高齢こうれい負傷ふしょう病気びょうきとかの理由りゆうおおい。

 ランクSの全体数ぜんたいすうすくないから、ランクSの一般人いっぱんじんはもっとすくない。たってしまったら、相当そうとううんわるい。


「まだ時間じかんがあるな。装備そうびのチェックでもしといてくれ」

 狭魔きょうま討伐とうばつは、かく地点ちてんかくチームが時間じかんわせて同時どうじ開始かいしする手筈てはずだ。

「……」

 桃花ももか無言むごんで、一歩いっぽまえた。

ややかなるかべよ。領域りょういきかこみ」

 麗美れみ小声こごえ魔法まほう詠唱えいしょうはじめた。


 オレは戸惑とまどって、二人ふたりにらさきる。灰色はいいろのスカートにむぎわら帽子ぼうしの、どこにでもいそうななつよそおいのおんなひとがいる。

 おんなが、足元あしもとにあるいしころをる。どこにでもころがってる、なん変哲へんてつもない石ころである。

 バチン、といたそうなおとで、桃花ももかいしころをつかみとめた。


 こういう事態じたい予想よそうはしていた。狭聖きょうせい教団きょうだん手先てさきが、狭魔きょうま横取よこどりにたのだろう。


「それだけ敵意てきいければバレバレよ!」

 いしころをほうてた桃花ももかが、おんなつかまえようとせまる。

 おんなおどるようなステップで、桃花ももかける。けながら、またも足元あしもといしころをる。

 いしころが、あらぬ方向ほうこうたかくへとんだ。


「えっ!? なっ、なに、なにがっ!?」

 琴音ことね狼狽うろたえてる。

 予想よそうできてたオレも、やっぱり一緒いっしょ狼狽うろたえてる。


 ……っ!? いしころの軌道きどう上空じょうくうわった。がって、こっちにけて落下らっかしてきた。

「マズい! ねらいは」

 オレがつたえるひまもなく、いしころが琴音ことねけてぶ。


「アイスウォール!」

 いしころが、ガシャン、とたかおとで、そそりこおりかべにぶつかった。こおりかべは、れたガラスみたいにたかおとくずれた。

「どこのどなたかぞんじませんが、わたくしの琴音ことね御姉様おねえさまをジロジロないでいただけますか? お気持きもちはかりますが。ねらいがかれば、対処たいしょ簡単かんたんですわ!」

 麗美れみ不機嫌ふきげんはなった。琴音ことねにいいとこせられて、上機嫌じょうきげんでもあった。


『わぁーっ!』

 花火はなび大会たいかいまえのアトラクションとでもおもったのか、周囲しゅういから歓声かんせい拍手はくしゅがあがる。

 おんなは、おどるようなステップで人混ひとごみにはいる。桃花ももかける。


うなよ、桃花ももか!」

 オレはあわててびとめた。

 桃花ももかが、『え!? っちゃダメなの!?』、といたげなビックリがおかえった。

陽動ようどうおとりかもれないだろ。桃花ももかがいないすきに、別動隊べつどうたいおそってくるかもれないだろ。討伐とうばつわるまで、真奉しんほうさんたちからはなれないようにしてくれ」

「っ! もちろんかってた! かってたわよ!」

 桃花ももかかってなかった口調くちょうで、ずかしげにほおあかくした。


   ◇


 ここは、琴音ことね麗美れみの『ウィッチ』コンビにまかせて安心あんしんだ。護衛ごえい桃花ももかもいるから、まんいちすらきやしない。

 琴音ことね麗美れみ仲良なかよしコンビのたたかいをられないことだけが、こころそこから残念ざんねんだ。


「じゃあ、オレと古堂ふるどうさんはランクDの配置はいちくから」

「そっちは護衛ごえいらないの?」

 桃花ももか疑問ぎもんに、オレはうなずく。

狭魔きょうま仲魔なかまになるとして、ランクDの狭魔きょうまって、しいか?」

 桃花ももかなにかにおもいたって、古堂ふるどうる。

らないわ。絶対ぜったいらない」

「ちょっ、オマっ?! 古堂ふるどうさんはるだろ! 絶対ぜったい必要ひつようだろ!」

 オレは全力ぜんりょく擁護ようごした。

絶対ぜったいらないわ」

 めた拒否きょひする桃花ももかに、古堂ふるどうが、奇妙きみょうななめったポーズでなげいた。

ったくよぉ。さすがは『バイオレンス絢染あやそめ』。微塵みじん容赦ようしゃぇぜぇ」



マカリなのでハザマでキョウマとタタカわされます

第66話 EP10-2 四点よんてん一斉いっせい討伐とうばつ作戦さくせん/END

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