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第69話 EP10-5 閑話 狭魔討伐報告書 前編

 この世界せかいとなりには、『狭間はざま』とばれる世界せかいがある。

 狭間はざまには、『狭魔きょうま』とばれるモンスターがる。

 狭魔きょうまたおす、『魔狩まかり』とばれる人間にんげんがいる。


   ◇


 オレは、遠見とおみ 勇斗ゆうと

 応接室おうせつしつのソファにすわった。宝物たからものあつかうように両手りょうて丁寧ていねいに、ひくいガラステーブルにかみ報告書ほうこくしょいた。

 きたくて、ひとつ、深呼吸しんこきゅうした。期待きたいむねをドキドキさせて、麗美れみ報告書ほうこくしょおごそかにひらいた。


   ◇


 琴音ことね麗美れみが、花火はなび大会たいかいの、昼間ひるま雑踏ざっとうたたずむ。


 真奉しんほう 琴音ことねは、魔狩まかりである。

 十四さい中学生ちゅうがくせいで、銀縁ぎんぶちまるメガネをかけたメガネ女子じょしで、小柄こがらむねおおきい。普段ふだん灰色はいいろみをほどいて、白銀はくぎんながかみをしている。

 レースやフリルをふんだんに使つかった白銀はくぎんの、魔法まほう少女しょうじょみたいな衣装いしょうまとう。レースの手袋てぶくろには、あかいハートとしろつばさかざられた片手かたてサイズのつえにぎる。


麗美れみちゃん! 時間じかんです!」

 琴音ことねは、小袋こぶくろからてつ指輪ゆびわ刻印こくいん』をし、レースの手袋てぶくろゆびめる。

「はい! 琴音ことね御姉様おねえさま!」

 麗美れみも、小袋こぶくろから『刻印こくいん』をし、ほそゆびめる。


 小織こおり 麗美れみ魔狩まかりである。

 十四さい中学生ちゅうがくせいで、小柄こがらつめたい雰囲気ふんいき美少女びしょうじょである。あおとおるサラサラストレートヘアで、つきするど無表情むひょうじょうで、着飾きかざったドールみたいなカワイさもある。

 今回こんかい着替きがえられなくて、カワイイけいのフリルな普段着ふだんぎたたかう。にするコブだらけの古木こぼくつえと、ギャップが目立めだつ。


 二人ふたり一緒いっしょに、ながかみらして、陽光ようこうにキラキラとして、たかかざした。

 前触まえぶれもなく、空気くうきわった。


   ◇


 くろそらしたしろ狭間はざまに、灰色はいいろあめ土砂降どしゃぶる。灰色はいいろ地面じめんには、すうセンチ、うすみずまる。


まれ、え、だいだいはじけ」

 琴音ことねが、つばさかざられた片手かたてづえおおきなむねまえかまえ、魔法まほう詠唱えいしょうはじめた。

つめたき飛礫つぶてよ! てき穿うがち!」

 麗美れみが、古木こぼくつえひかえめなむねまえかまえ、まよいなくつづいた。


 うす水面すいめんに、みずかたまりみたいなものがかびあがる。あめ無数むすう水紋すいもんかさなる水面すいめんを、およぐみたいにけ、二人ふたり周囲しゅういまわる。どんどんおおきくなっていく。

 は、水面すいめんおよ巨大きょだいひるちかい。土砂降どしゃぶあめたれるからだ透明とうめいみずいろで、あめたれて水紋すいもんえがく。人間にんげんあたまならすっぽりめそうな口吻こうふんには、ノコギリじょう赤黒あかぐろ突起とっきならぶ。


 ひる狭魔きょうまおおきく方向ほうこう転換てんかんして、二人ふたりかってきた。

め! バースト!」

 琴音ことね片手かたてづえから、魔法まほう火球かきゅうされ、あめあかいた。ひる狭魔きょうまは、きらうみたいに身震みぶるいし、うす水中すいちゅうもぐってけた。


 ひる狭魔きょうまふたたうす水面すいめんかび、二人ふたりせまる。

れ! フロストショット!」

 麗美れみ古木こぼくつえから、魔法まほうこおり散弾さんだんされた。

 ひる狭魔きょうまけようともせず、透明とうめいからだ炸裂さくれつした。バチバチとこおり水面すいめんつようなおとがして、ひる狭魔きょうまふたたうす水中すいちゅうもぐった。

 水面すいめんに、こおり散弾さんだんだけがかんだ。


 琴音ことね麗美れみは、攻撃こうげき魔法まほう得意とくいとする能力者のうりょくしゃ『ウィッチ』である。

 琴音ことねほのお魔法まほう得意とくいとする。麗美れみこおり魔法まほう得意とくいとする。


   ◇


 地面じめんまったみずは、本当ほんとうすうセンチしかない。視界しかいてまで、うす地面じめんおおくす。

 ふといちメートルちかくありそうなひる狭魔きょうまもぐれるふかさではないのだが、ランクS相当そうとうともなれば常識じょうしきなんて通用つうようしない。


 二人ふたりあめにズブれになりながら、周囲しゅうい警戒けいかいする。水紋すいもん複雑ふくざつから水面すいめんに、ひる狭魔きょうま挙動きょどうさぐる。

ほのおは、あめ威力いりょくちますけれど、効果こうかがありそうです」

こおりきがわるそうですわ。わたくしはサポートにてっします」

「おねがいします」

 琴音ことね環境かんきょう相性あいしょうわるい。麗美れみ狭魔きょうま相性あいしょうわるい。

 不利ふり状況じょうきょうではあっても、二人ふたりひとみには自信じしん信頼しんらいかがやく。


夕焼ゆうやけ、はらざわめき、れ」

ややかなるかべよ!」

 琴音ことね麗美れみ詠唱えいしょうあめひびく。ハーモニーとなって、二人ふたり中心ちゅうしんおおきな水紋すいもんえがく。


 水紋すいもんいて、ひる狭魔きょうまうす水面すいめんかんだ。二人ふたりかってぐに、サメの速度そくど水面すいめんけた。

「アイスウォール!」

 こおりかべがそそりち、ひる狭魔きょうま進路しんろ妨害ぼうがいする。ひる狭魔きょうまこおりかべでるように迂回うかいして、減速げんそくしながらも二人ふたりかう。

はらえ! フレイムフィールド!」

 あめ水面すいめんに、あか草原そうげんのようにほのおひろがった。

 ひる狭魔きょうまは、またもうす水中すいちゅうもぐってけた。ひろがったほのおは、土砂降どしゃぶあめたれて、すぐにえた。



マカリなのでハザマでキョウマとタタカわされます

第69話 EP10-5 閑話かんわ 狭魔狭魔きょうま討伐とうばつ報告書ほうこくしょ 前編ぜんぺん/END

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