「でも、さっき打ち合わせておいて良かったですね。こんなにすぐ役立つなんて」
田代が言った。一郎も美恵子も頷いている。
「今はSNSで知らない内にいろいろなことが拡散される時代だから、私たちも気を付けておきます。必要であれば、研究所でも対応します」
「ありがとうございます。沢田さんですが、近所の方でもありますのでまたみえると思いますが、適当なことを言ってあしらいます。先ほどの設定と違うことをお話しした場合、あるいは明日以降、沢田さんが何か話を持って拡散しているような場合、ご報告します。重大なことがあれば改めてご相談します」
「余計なことでご負担をおかけすることになって申し訳ありません」
「人間社会ではいろいろありますから、想定外のこともありますよ。だからといって進まなければ良くないので、その都度対応し、良い方向に持って行きます。ウチの会社でもそういうことで難局も乗り切ってきました。近所の噂話など問題ありませんよ」
「力強いお言葉、ありがとうございます。私たちもモニターから正男君の状態は分かりますから、みなさんがいらっしゃらない時には私たちが正男君に指示を出します。この前のぺスちゃんの時は里香ちゃんたちを守るようにと指示しましたが、具体的なところは正男君の判断でした。これまで生活してきた中で優しさということを学び、一番良い方法を見つけたのだと思います。ぺスちゃんの性格も良かったのだと思いますが、とても貴重な結果を得られました」
この後、昼食をということになり、田代も含めてみんなで食べることになった。今回、珍客が現れたおかけで美恵子の予定がすっかり狂い、この日はピザの宅配をお願いすることになった。もちろん、田代も一緒にお昼をいただいた。