江戸幕府が倒れ、明治維新を支えた薩摩藩の莫大な資金力。しかし、その裏には奄美の人々の過酷な歴史があったことを、あなたは知っているだろうか。
これは、奄美の少女マツとガジュマルの精クオリア。
そして、島の人々との、時空を超えた絆の物語。
「博士の命令で、5次元人としての最初の仕事がこれだなんて、冗談じゃない! 1800年もガジュマルの林で待たされるなんて、私退屈で死にそう。」
クオリアは、そう呟き、再び目を閉じた。
それからまた長い月日が流れ、ついにその時が来た。
「わあ! 本物だ! 生きている!」
気がつけば、クオリアの目の前に見慣れない少女が立っていた。
「ちょっと、触らないでよ! それに、顔近い!」
「ごめんね。君のことがすごく不思議で。」
少女は、そう言うとクオリアの手を握ろうとした。
「え? 初めて会う人にいきなり握手? それに、私はあなたたちとは違う存在なのよ。怖くないの?」
「ううん。全然怖くない。君はガジュマルの精ケンムン様だよね?」
少女は、そう言ってキラキラした目でクオリアを見上げた。