「違うわ!私は5次元人よ」
「グジゲジ? 」
「それってムカデみたいな虫でしょ。
ますます遠くなってるわ…電車」
「ごめんごめん。おばあちゃんが言ってたんだ。 ガジュマルの木にはケンムン様が住んでいるんだって。 村の人たちはケンムン様を怖がるけれど、おばあちゃんの話では、とても優しい存在だって! だからね、あたしは君と友達になりたいの。 友達になろう!」
少女はそう言って、満面の笑みでクオリアに握手を求めてきた。
「ほら、私は5次元人だって言ったでしょ。 聞いてなかったのね。まあ、いいけど。 私には、5次元人としての使命があるの。 このペンダントをつけていると、あなたのようにごく一部の人々に姿を見せられるんだけど、一人の人間に姿を見せられるのはどうやっても3年が限界なの。
だからね、私と仲良くなってしまったら、 あなたはきっと後々後悔することになるわ」
「事情……あるんだ。 でもね、 それでもあたしはお互いの立場とか 関係なく、あなたとお友達になりたい。 だから、お願い!」
少女は瞳を宝石のようにキラキラ輝かせて クオリアに顔を近付けてきた。 そして目を瞑ると、頭を下に向け私に握手を求めた。
「そこまで言われたら、私の負けね。 いいわ。私達お友達になりましょう!」
「うぁ~! いいの? ありがとう♪
あたしの名前は
「私の名前はクオリア」
「
クオリアは最初この子にからかわれているのかと思った。
「違うわ、ク・オ・リ・ア」
「わかった! 氷屋さんだね」
「違~う!」
「アハハ、顔を真っ赤にして、君面白~い!」
(この子、なかなかの天然だわ~)
「もういいわ。私の事は好きなように呼んで」
「いいの? やったー! じゃあね~、木で出会ったから キーちゃん、 君の事はこれから
「キーちゃんね。はいはい、わったわ」
(この子、ネーミングセンス絶望的ね)
「よろしくね、キーちゃん?」
「よろしく……松」
こうして、クオリアと松は仲良くなっていった。
そして、クオリアが松と会った日から一週間後がたった頃。
「キーちゃん今日もありがと。また明日ね。 さよなら~!」
「ねえ松、ちょっと待って。 いつも私に会いに来てくれるとき服や顔が泥んこ だけど、いつも何をしてるの?」
「……、あ、あたしドジだからさ~、 しょっちゅう転ぶのよ。 アハハ」
「本当に? あ、今日今から松の家に遊び行ってもいい?」
(う~ん。 松の様子がなんだかおかしい。
きっと私に何か隠しているに違いないわ。)
クオリアはすぐにそう直感した。