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第54話 因縁……果 僕達はみえない糸で繋がっている②


「違うわ!私は5次元人よ」


「グジゲジ? 」


「それってムカデみたいな虫でしょ。

ますます遠くなってるわ…電車」


「ごめんごめん。おばあちゃんが言ってたんだ。 ガジュマルの木にはケンムン様が住んでいるんだって。 村の人たちはケンムン様を怖がるけれど、おばあちゃんの話では、とても優しい存在だって! だからね、あたしは君と友達になりたいの。 友達になろう!」

少女はそう言って、満面の笑みでクオリアに握手を求めてきた。


「ほら、私は5次元人だって言ったでしょ。 聞いてなかったのね。まあ、いいけど。 私には、5次元人としての使命があるの。 このペンダントをつけていると、あなたのようにごく一部の人々に姿を見せられるんだけど、一人の人間に姿を見せられるのはどうやっても3年が限界なの。 

 だからね、私と仲良くなってしまったら、 あなたはきっと後々後悔することになるわ」


「事情……あるんだ。 でもね、 それでもあたしはお互いの立場とか 関係なく、あなたとお友達になりたい。 だから、お願い!」 

少女は瞳を宝石のようにキラキラ輝かせて クオリアに顔を近付けてきた。 そして目を瞑ると、頭を下に向け私に握手を求めた。


「そこまで言われたら、私の負けね。 いいわ。私達お友達になりましょう!」


「うぁ~! いいの? ありがとう♪

 あたしの名前は って言うの。あなたは?」


「私の名前はクオリア」


こおり?」 


クオリアは最初この子にからかわれているのかと思った。


「違うわ、ク・オ・リ・ア」


「わかった! 氷屋さんだね」


「違~う!」


「アハハ、顔を真っ赤にして、君面白~い!」


(この子、なかなかの天然だわ~) 

「もういいわ。私の事は好きなように呼んで」


「いいの? やったー! じゃあね~、木で出会ったから キーちゃん、 君の事はこれからって呼ぶね!」


「キーちゃんね。はいはい、わったわ」


 (この子、ネーミングセンス絶望的ね)


「よろしくね、キーちゃん?」


「よろしく……松」


こうして、クオリアと松は仲良くなっていった。



そして、クオリアが松と会った日から一週間後がたった頃。


「キーちゃん今日もありがと。また明日ね。 さよなら~!」


「ねえ松、ちょっと待って。 いつも私に会いに来てくれるとき服や顔が泥んこ だけど、いつも何をしてるの?」


「……、あ、あたしドジだからさ~、 しょっちゅう転ぶのよ。 アハハ」


「本当に? あ、今日今から松の家に遊び行ってもいい?」


 (う~ん。 松の様子がなんだかおかしい。

きっと私に何か隠しているに違いないわ。)


 クオリアはすぐにそう直感した。


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