彼女は村外れの山の入口にひっそりと佇む藁葺きの住居に姉と二人で仲慎ましく暮らしていた。
また、そこに両親の姿はなく、華が理由を尋ねると、姉はいつも曖昧な言葉でごまかしていた。
ある日、そんな華の家に友達の
華は先に家に帰ると直ぐに姉に相談を持ちかける。
「姉さん?今日この後、友達を家に連れて来てもいい。ね、お願い。いいでしょ?」
しかし、姉はいつも通り「ダメ」と突っぱねた。
「ねえ、なんで?友達の家にはみんな遊びに行ってるのに、どうしてうちだけダメなの?」
そんな華の言葉に、姉の表情が曇る。
「両親は仕事で忙しいの」
姉は決まっていつもそう言うのだった。
その夜、華は布団の中で考え込んだ。なぜ、姉はいつも嘘をつくのだろう?
両親のことは、そんなに秘密にしなければならないことなのだろうか?
翌日、華はホタル達に誘われ、自分の家へ向かう。
しかし、途中で姉に呼び止められ小声で耳打ちされた。
「友達を連れてくるのはダメって言ったでしょ!!」
「私も最初は断ったんだよ。でも、みんなどうしても来たいって言ってるんだよ…」
華は必死に訴えるが、姉は聞き入れてくれない。
それでも、友達との約束を守るため、華はしばらく時間を開けると、友達をこっそり家へと連れてくることにした。
心臓がドキドキしながら、華は友達を連れて自分の家へと向かう。しかし。
家のあったはずの場所。
何故かそこには何もなかった。
あったのは、小さな洞穴だけ。
洞穴の中は薄暗く、ひんやりとした空気が漂っていた。そして、そこには綺麗に畳まれた華の着替えだけが一つ、ぽつんと置かれていた。
「あれ…?」
華は全く状況が理解できない。
なぜ、家がなくなっているのだろう?
動揺を隠せない華をよそに、ホタルたちは戸惑いの表情を浮かべていた。
「もしかして、華、ここに一人で住んでたの?」
男友達の一人、
「うん…」
華は小さく頷いた。
「どうして?
ねえ、どうしてそんな嘘をつくの?」
タエマが悲しそうな声で問いかける。
しかし、華は何も答えられず、
ただ、目の前の光景をじっと見つめるだけだった。