穏やかな村での生活。
優しい村人たち、そしてかけがえのない友人たち。
ミタは、そんな温かい環境に囲まれて暮らしていた。
けれど、心の奥底には、いつも拭えない不安が渦巻いていた。
(私は……一体何者なんだろう……)
自分の過去を知りたい。
自分の存在意義を見つけたい。
その願いは、日ごとに膨らんでいく。
そんなある日、ミタは村の長老から、この世界に隠された大いなる秘密について聞かされた。
「果てしなく広がるこの大地、これは二つの顔を持っておってな。
極寒の冬と灼熱の夏が、まるで線を引いたように分断されているんだ。
そして、その境界線に沿って栄えたこの世界の深い森のどこかには、黄泉の国へと続く道があるって話だ。
その黄泉の道、それを更に先へと進んだ場所に機械神の神殿があり、そこに世界の謎が隠されていると信じられておる」
「私、そこに行ってみようと思います」
しかし、そんなミタの言葉に、長老は眉を顰めた。
「ダメだミタ! そこは黄泉の国へと繋がっている。
そこへは、各々が課せられた秘密の役目を果たした者だけが行く場所だと古くからの掟で定められている。
それに……、一度黄泉の国に足を踏み入れてしまうと、二度とこちらへは戻れないとも聞く。
だから、絶対に行ってはならんぞ」
長老の言葉は、ミタの心に深く突き刺さった。
まるで、今まで閉ざされていた扉が開かれたかのように。
(二つの顔を持つ星…黄泉の国…機械神の神殿……)
ミタは、初めて聞く話に、戸惑いを隠せない。
けれど、同時に、言い知れない好奇心に駆られた。
自分の過去、自分の存在意義。
それらの答えが、この世界に隠されているのかもしれないのだから。
その日から、ミタは黄泉の国へと続く道を探し始めた。
もちろん、それは決して平坦な道ではない。
危険に満ち溢れ、二度と戻れないかもしれない。
それでも、ミタは、自分の過去を知りたいという強い思いに突き動かされていた。
長老の言葉が、ミタの頭の中で何度も繰り返される。
「二つの顔を持つ星……黄泉の国……機械神の神殿……」
それは、まるでパズルのピースのように、ミタの心に散らばった記憶の断片を繋ぎ合わせようとしているかのようだった。
ミタは、自分の過去を知るために、冒険へと旅立つことを決意した。
それは、自分探しの旅でもあった。
自分が何者なのか、何のために生まれてきたのか。
その答えを求めて、ミタは、黄泉の国へと続く道を、ただひたすらに歩き始めた。
待ち受けるのは、希望か、それとも絶望か。
それは、まだ誰にもわからない。
けれど、ミタは、自分の心を信じていた。
きっと、いつか、自分の過去を知ることができる。
そして、皆と一緒に、笑顔で未来を迎えることができる。
そんな決意を胸に、ミタは、冒険へと旅立つ。