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第42話 出発

機械神の神殿。

黄泉の国へと続く道。

世界の謎。

長老から聞かされた話は、ミタの心を激しく揺さぶった。


(知りたい。私は、全てを知りたい。)

自分の過去、自分の存在意義。

それらの答えが、機械神の神殿にあるのだとしたら。

ミタは、いてもたってもいられなかった。



夜が更け、村人たちが寝静まった後も、ミタは一人、灯りの下で古文書を読み漁っていた。

機械神の神殿に関する記述はないか。

黄泉の国への道の手がかりはないか。

ミタは、藁にもすがる思いで、文献に目を走らせる。


何日も、何週間も、ミタは文献を探し続けた。

時には、眠りに落ちてしまうこともあった。

それでも、ミタは諦めなかった。


そして、ついに、その時は来た。

古文書の中に、機械神の神殿へと続く道の記述を見つけたのだ。

それは、深い森の中に隠された、小さな祠から始まる道。


(あった……! 本当にあったんだ……!)

ミタは、喜びを噛み締めた。

しかし、同時に、不安も募った。

本当に、自分は黄泉の国へ行くべきなのだろうか。

二度と戻れないかもしれない場所へ。

しかし、それでもミタの決意は揺るがなかった。

自分の過去を知りたい。

自分の存在意義を見つけたい。

その強い思いが、ミタを突き動かしていた。


次の日の朝早く、ミタは旅支度を始めた。

一日分の食料、薪をするための道具、そして寒さを凌ぐための厚着。

最低限の荷物をまとめ、ミタは森へと向かった。


空はまだ薄暗く、鳥たちの鳴き声が静かな森に響き渡る。

ミタは、古文書に書かれた地図を頼りに、祠を目指して歩いた。

深い森の中は、薄暗く、じめじめとしていた。

木々の間から差し込む光が、まるで道案内のように、ミタを導いてくれる。


(私は、きっと、辿り着ける。)

ミタは、そう自分に言い聞かせる。

そして、一歩、また一歩と、黄泉の国へと続く道へと、足を踏み入れていった。


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