機械神の神殿へと続く道。
それは、深い森の中に隠された小さな祠から始まるという。
ミタは、その祠を目指して、薄暗い森へと足を踏み入れた。
鬱蒼と茂る木々は、まるで巨大な壁のように、ミタの行く手を阻む。
木々の間から差し込む光は、まるで道しるべのように、ミタを導いてくれる。
しかし、その光も、やがて薄暗い森の奥へと消えていく。
ミタは、迷わないようにと、木に目印をつけながら、慎重に歩を進めた。
森の中は、静かで、不気味だった。
鳥の鳴き声も聞こえず、ただ、木々の葉が擦れる音だけが、時折、ミタの耳に届く。
じめじめとした空気は、肌にまとわりつき、ミタの体力を奪っていく。
それでも、ミタは怯まずに歩き続けた。
自分の過去を知りたい。
自分の存在意義を見つけたい。
その強い思いが、ミタを支えていた。
どれくらい歩いただろうか。
時間は、まるで止まってしまったかのように、感覚が麻痺していく。
ふと、ミタは足を止めた。
周囲を見渡すと、どこも同じような景色が広がっている。
(迷った……?)
不安が、ミタの心を締め付ける。
目印をつけたはずなのに、どこにもそれらしきものが見当たらない。
焦りが、ミタの体を駆け巡る。
(どうしよう、私は、どうすれば……)
ミタは膝をつき、肩を震わせた。
その時だった——。
微かな光が、ミタの目に飛び込んできた。
光の方向へ目を凝らすと、そこに、小さな祠が佇んでいるのが見える。
(あそこだ……! 祠だ……!)
ミタは立ち上がると、光の方向へと駆け出す。
祠に近づくと、祠の内部の地面から淡い光が僅かに溢れ出ているのが見える。
ミタは深呼吸をしてから、足元の蓋を外し、地下へと続く階段から下へと一歩一歩ゆっくりと歩みを進めた。
階段の下から土を人為的に掘り進めたように続く土壁沿いのところどころに蝋燭の炎が灯されている。
(この先にはきっと誰か人がいるに違いない。)
ミタはそう思った。
奥の突き当たりまで行くと、小さな祭壇と、古びた石碑が置かれていた。
石碑には、何やら古代の文字が刻まれている。
ミタは、石碑に近づくと、持ってきた古文書の本を手がかりに文字を読み始めた。
それは、機械神の神殿や黄泉の国へと続く道の地図だった。
(これだ……! これで、私は、神殿へ行ける……!)
ミタは、地図を羊皮紙に模写し、喜びを噛み締めた。
そして、石碑に書いてある通りに石碑を側面から左に動かすと壁に人一人が入れそうな大きさの隙間が現れた。
ミタはその隙間を超えて、再び、先へと歩き始める。
神殿へと続く、長い道のりを。