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第16話 意

「なあ、アマザ?お前……、昔からそんな乱暴な怒り方してたか?」

ハムザの声が静かな社内に響いた。


「うっせー!!ハムザは引っ込んでろ!この件は私がちゃんと責任を持つ!!」

蓮姫は顔を真っ赤にして、ハムザを睨みつけた。


すると、ハムザは苦笑いを浮かべ、社の一角に退いた。

「そっか……、お前は頑固だな。はいはい、ご勝手に」


後で一人になった蓮姫は、息を大きく吐き出した。そして、アキアの方を振り向くと、優しい笑顔を見せた。

「どうした?小僧?」


するとアキアは、恐る恐る蓮姫を見上げ小さな声で言った。

「僕とママの為にさっきああ言ってくれてありがとう。僕、その気持ちだけでとっても嬉しいよ」


蓮姫は、アキアの頭を優しく撫でながら力強く宣言した。

「いいか?気持ちだけでなんてそんなちっせえ事言うな!!私はお前に約束する!今度の満月の日、お前と母親に、ぜってぇ~お星さまみせてやんよ!!」


少年は、蓮姫の言葉に感動し、目を輝かせた。しかし、蓮姫は勢い余ってアキアの頭を強く叩いてしまい、

「痛い痛い!もっと優しくなでてー!!」

と怒らせてしまった。


「すまんすまん」

蓮姫は、アキアの頭を優しく撫でながら、謝った。


数日後、蓮姫のもとに、以前少年をいじめていた少年たちがやってきた。


「アマザさん、いえ、師匠の弟子入りに来やした!」

頭を丸めた少年たちは、一様に緊張した面持ちで蓮姫を見つめていた。

「ななななな、ナンデストー!?」

蓮姫は、彼らの突然の申し出に驚きを隠せなかった。


「師匠ってオイオイ!お前らまずは深呼吸して落ち着こうな?」

蓮姫は今自分が置かれた珍妙な状況に呆気にとられていた。


少年たちは、蓮姫の男気に感銘を受け、彼女のもとで働きたいと切に願っていたのだ。


蓮姫は、彼らの熱意に心を打たれながらも、戸惑いを隠せなかった。


しかし、「何でもアッシ等に言ってください」

少年たちの言葉に、蓮姫は何かを思いついたようだった。


「よし!お前らにさっそく命令だ!異論はないな?」


「もちろんっす!」少年達も元気に返事をした。


こうして、

アキアの元いじめっ子達はもれなく蓮姫の忠実な下僕となった。


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↑【登場人物】

•アキア

•ハムザ

•アマザ(蓮姫)と愉快な下僕達

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