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第15話 の


ある日、蓮姫は毎日同じ時間に社で祈るアキアの姿に、強い興味を抱いた。

アキアの切実な願いが、蓮姫の心を揺さぶったのだ。


蓮姫はその日、勇気を振り絞り、アキアの後をつけることにした。


アキアの家は、どこか寂しい雰囲気だった。病気の母親を必死に看病する少年アキアの姿に、蓮姫は心を痛めた。


(あいつ、ハムザがアキアには父親がいないって言ってたし、一人で病気の片親の看病してんだな……)


蓮姫は、アキアの孤独と強さに、複雑な感情を覚えた。そして、アキアの願いの理由を知りたいとも思った。



翌日、蓮姫はアキアに話しかけた。するとアキアは、母親に星を見せたいという純粋な願いを語った。

「僕ね、パパと二人で海の頂上海面まで長い旅をしたんだ。そこには、気が遠くなる程でっかくて真っ黒な天井にびっしりとキラキラと綺麗な光が輝いてたんだ。ホントに感動して泣き出しちゃうくらい綺麗だったよ」

アキアの目は、遠い日の思い出を辿るように輝いていた。


アキアの父親は、アキアにこう教えたという。

「お星さまはな、アキアが嬉しいとき、苦しいとき、悲しいとき、どんなときでもちゃんと見ていてくれるんだ」

アキアは、父親の言葉を胸に、母親が元気になればと願っていた。


蓮姫は、アキアのそんな切実な願いに心を打たれたのだった。

「じゃあ、一緒に、お前の母親も一緒に連れてって、お星さまを見に行くか?」

蓮姫は提案した。


「ホントにいいの!?

ありがとう、アマザ様♪」

アキアは大喜びで蓮姫に抱きついた。

しかし、そこにハムザが現れ、水を差した。

「お星さまを観るの無理だ!

絶対無理だ!悪い事は言わん、諦めろ……」

ハムザの冷酷な言葉に、アキアは顔を蒼白にした。


「ちょっとてめえ。ハムザー!!

諦めろだと~?お前、喧嘩売る気かー!? オイ!!!」

蓮姫は、アキアを庇うように前に出ると、ハムザに食って掛かった。




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↑【登場人物】

•アマザ(蓮姫)

•アキア

•アキアの母

•アキアの父

•ハムザ


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