※今回の話には作品の演出上非衛生的な描写が出てきます。
あらかじめご注意いただくようお願いします。
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次の日、
おばあちゃんは暗くなってもなかなか帰って来なかった。
心配になったカムラが
家の周辺を探していると
村の司祭専用トイレの掃除をしているおばあちゃんの姿をみつけた。
おばあちゃんは耐えられない程の悪臭のする他人の出した排泄物を素手ですくい、容器に入れ、容器を頭に乗せ
ゴミ捨て場まで運んでいたのだ。
カムラは知らなかった。
自分はいつも生ゴミや燃えるゴミの掃除しかしていなかったから。
「おばあちゃん、無理しないで。
わたしも手伝うから」
「カムラ、ごめんよ……」
「ちょっと!おばあちゃん?
泣かないで!」
カムラはそれから毎日おばあちゃんの排泄物掃除を手伝うことにした。
翌々日、
この日はおばあちゃんがトイレ掃除に来ていなかった。
カムラは何となく嫌な予感がして
村中を走っておばあちゃんを探して回った。
カムラは司祭の屋敷入口の門の前で
おばあちゃんをみつけたが、
アミュリタの父親もいたので
近くから様子を伺うことにした。
おばあちゃんはアミュリタの父親の足首を両手で掴み、何かを必死に頼んでいる様だった。
『私の娘が熱を出したのは
お前の孫に触られて
穢れてしまったからだ!
だから、殺す!
そこをどけ!』
「おばあちゃん……!!」
カムラのおばあちゃんは、
アミュリタの父親と
その仲間二人に蹴られ
暴行を受けていた。
『お願いします~カムラを~』
『そこまで言うならそれ相応の
誠意を見せてみろ。
じゃあ、私の足の裏を舐めろ!
さあ、今すぐにだ!』
『は……はい。
わかりました。
私でよければ何でも言うことを聞きます。
だから、カムラだけは許してください』
『いいから早くしろ!』
「は、はい」
「おばあちゃん、ダメー!」
カムラが我慢出来ずに慌てて飛び出すと、父親の仲間の一人に
「こいつ、 殺す前に
「好きにしろ!」
「だってよ!お嬢ちゃん」
そう言ってカムラを羽交い締め にした男はナイフでカムラを脅し、
カムラの服を強引に破ると
舌でペロペロと舐め回しだした。
「お願いです!
私が何でもしますから、
カムラだけは見逃してください!」
「はは~ん?
あんた本当に何でもするんだな……。
よ~しわかった」
「おい、この娘は好きにしていいんだよな?」
「一旦辞めてお前も着いてこい!
どうせ後で続けられる」
「ああ、わかった」
アミュリタの父親に連れられて
カムラとおばあちゃんは
彼らに見張られながら
ある場所まで連れて行かれた。
「じゃあ約束だ。
さあ、ババア!
このトイレに溜まった穢れた糞を
全部残さず食ってみろ?
今、私達の目の前でだ!」
「ちょっと、ふざけないで!!」
羽交い締め にされているカムラがそう叫んで抗議したが、直ぐに口を手で塞がれた。
「おや?出来ないのか?
だったら、孫娘は見逃してやれないな……」
「食べます……」
おばあちゃんは一言も不平を漏らさず
静かにそれを口に入れ始めた。
涙さえも流さずに。
おばあちゃんは生きていたが、
その目はもう死んでいた。
その姿に、カムラの怒りは頂点に達した。
「ふざけんな、てめぇ~!!!」
カムラはいても立ってもいられず、
信じられない力で自分を羽交い締め にしていた男を振り払った。
そして、泣きながらアミュリタの父親に向かって殴りかかって行った。
「パチーン」
……。
アミュリタの父親の頬を激しく叩く音。
アミュリタの父親を叩いたのはカムラではなく
アミュリタだった。
「カムラ、本当にごめんね」
アミュリタは泣いていた。
「何いまさら
あんた達が来たから、
わたしがあんたと友達なんかになったから
おばあちゃんは、おばあちゃんは……、
何にも悪く無いのにこんな目に遭うんだよ!
も~アミュリタの顔なんて二度とみたくない!
今すぐわたしの前からうせろ!!
どっかいけー!」
カムラはアミュリタにキッパリとそういい放つと、
男にビリビリに剥ぎ取られ
着れなくなった綿の服を拾い上げ
裸のままその場を立ち去った。
アミュリタの父親も、
カムラを
憮然とした雰囲気で立ち去る
カムラの背中を追う者はいなかった。
その後、
アミュリタは父親と一緒に村を後にした。
「カムラ……ごめんね……」
アミュリタは去り際に
遠目から見るカムラと出会った村に向けて一言だけそう呟いていた。
事件から何日か経ったある日、
カムラはやっと冷静になり
自分も悪かったとアミュリタに謝り
仲直りがしたいと思った。
しかし、そのときはもう手遅れで
アミュリタは既に父親と一緒に引っ越した後だということを知った。
アミュリタはその後、
二度とカムラの村に来ることは無かった……。
つづく