「この上がtirikか~」
蓮姫とハルキはコリンズ博士不在の研究所を後にすると、ブラフトのおじいさんの住む洞窟に戻り、さらに奥深くを目指して歩いていた。
洞窟の中は薄暗く、足元には小石や苔が広がっている。奥へ進むにつれて、冷たい空気が肌を刺し、静寂が二人を包み込んでいた。
「カムっち、そんなところでつったってないで早く行くしー!置いてっちゃうよー!」
「ハルキ、お前は大丈夫なのか?」
「え?何で?」
「何でってそりゃ、セキツイ人で生きて戻って来た奴らいないってコケのジジイも言ってたじゃないか!」
「アハハ、カムっちいつも強かってるけど、本当は怖がりで意気地無しなんだね」
「何だと?これは……、私がただ慎重なだけだ。断じて怖れてなど無いっ!」
「はいはい。そう言うことにしとくし」
蓮姫の心は不安に揺れながらも、その言葉を振り払おうとしていた。ハルキの無邪気な笑顔が、その不安を少しだけ和らげる。
蓮姫達のすぐ頭上には水面があり、太陽の光が眩しいくらいに射し込んでいた。
水面はまるで鏡のように光を反射し、洞窟内に美しい光の模様を描いていた。蓮姫とハルキはその光景に一瞬見とれていた。
「じゃあ行くか……ハルキ」
「もちろんだし!」
こうして、二人は目を瞑ると一気に水面の外に顔を出した。
水面の冷たさが二人の顔を包み込み、まるで別の世界へと飛び出すような感覚に襲われた。目を開けると、そこには眩しい光と未知の風景が広がっていた。