蓮姫とハルキはブラフトのおじいさんからコリンズ博士が住んでいる場所を聞き、さっそく博士に会いに隣街の研究所まで来ていた。
蓮姫とハルキが隣街の研究所に到着したとき、周囲は静まり返っていた。研究所の建物は古びたレンガ造りで、窓には厚いカーテンがかかっている。風が吹くたびに、木々の葉がささやく音が聞こえる。
「ここが研究所か。おや? 入口が無い。あれ? ここも違う。どういうことだ……?」
蓮姫は暫く辺りをくまなく探してみたが、入口に関する手掛かりがどうしても見つからず首を傾げた。
蓮姫は焦りと苛立ちを感じながら、何度も建物の周囲を見回した。彼女の心臓は早鐘のように打ち、汗が額に滲んでいた。
「なあ、ハルキ?」
「え?あたし?あたしも知らないし!ちょっと、カムっち?普段あたしのこと全然信用してない癖して、こんな時に限ってあたしに頼ってこないでよー!」
「お前はホントに使えん奴だな」
「うっさいしー!」
すると、背後から大人の男の人の声が聞こえた。
『なあ、君たち。さっきからずっとコリンズ博士の研究所の前で何をやっているんだ?』
警官の男は、まるでエビのような硬い甲装をまとい、威圧的な姿で二人に近づいてきた。
彼の目は鋭く、蓮姫とハルキをじっと見つめていた。
「あのぉ~、ええっと~$@×△……4」
ハルキはテンパり、しどろもどろになりながらも身ぶり手振りでことの事情を説明した。
ハルキの心臓はドキドキと高鳴り、言葉がうまく出てこなかった。彼女の手は震え、視線を警官から逸らすことができなかった。
「なんだ。お前達はブラフトのじいさんからの紹介でコリンズ博士に会いに来たのか。隣街から博士を訪ねてせっかく来てもらったのに申し訳ないのだが、博士は今この研究所にはいないぞ」
「ハァ~?この期に及んで今さら博士がいないだと?話が違うじゃねえか!察、てめえコラ!なあ?何とか言いやがれ!」
蓮姫はそう言って、遠回しに諦めろと言葉を濁す警官の男の胸ぐらを掴み、そして激しく揺すった。
「ぐぐ、ぐるしい……」
「カムっち~?八つ当たりはメェェェ~!!この警官のおじさんは関係無いし!見てよ!おじさん白目で口から泡吹いてるし!
急いで離してあげてし!」
「あ、ああ……」
「はー!僕は危うく死ぬかと思ったぞ、全く」
「すまん。つい感情的になり察の胸ぐらを掴む手に力が入り過ぎた……」
「酷いな~。実はな、僕にも確信こそ無いが博士の行方に心当たりはあるんだ」
「ホントか?心当たりでいい。詳しく教えてくれ!」
「ほんの数日前のことだが……、僕が博士と世間話をしていた時に、博士が最近tirkの世界を研究してるって僕に教えてくれたんだ」
「tirk、あたしカムっちに話したよね?上層の新世界だよ」
「tirkか、よしわかった。行こう!」
「駄目だ!あんた、死にたいのか?」
「どうしたんだ?そんなにムキになって否定して……」
警官の顔色が急に変わり、真剣な表情で蓮姫に向き直った。彼の声には緊張感が漂い、周囲の空気が一瞬で変わった。
そして彼は真剣な口調で話を続けた。