広がるのは、どこまでも続く青い空だけ。陸地には、土と砂しか見当たらない。太陽の光は眩しく、湿気も感じるが、故郷のガンガラ亜大陸ほど蒸し暑くはない。
不安が募り、蓮姫は後ろを振り返った。わずかな水量の小川しか見えなかった。まさか、と思い、小川に飛び込むと、口の中に水が入りむせてしまった。
「どうして…?」
ついさっきまで水中を自由に泳いでいたはずなのに、今は息ができない。深呼吸をして、再び水中に潜るが、すぐに足が着いてしまう。
「なんで…、意味がわからない!」
息が苦しくなり、浅瀬に戻って水面から顔を出すと、大きく息を吐き出した。
「ハルキにの姿も見かけないし、この地上には何もない。そんなはずはない…」
陸にあがり、同じ場所を何度も歩きながら、今後のことを考え込む。
「どうすればいいんだ…、誰か教えてくれ!」
すると、どこからともなく若い少女の声が聞こえた。
「あなたまだ何も知らないのね?」
「知らないって、そんなはずないだろ!こんなことになるなんて!」
急いで声の方向を見渡すが、誰もいない。しかし、地面には、太陽の光を反射して輝く石が落ちている。
おや?こんな石は…、さっきまでなかったはずだが。
蓮姫が恐る恐るその石を拾い上げると、眩い閃光が辺りを包み込んだ。