「ねえ、蓮姫?」
(誰かの声…?)
「大丈夫? 蓮姫?」
(…誰だ?)
「ねえ? ねえ?」
「っ!」
蓮姫は飛び起きた。
「ここはどこだ?
アペリーじゃないか! 生きていたのか?」
「アペリー? 誰なの…それ?
それに、何寝ぼけたこと言ってるっし?
なんて、人を心配させておきながら、そんなこと言わないでっし! もう、本当に!」
「あ、すまん。 ハルキだったのか……」
「蓮姫、さっきから顔色悪いけど大丈夫っし?」
「大丈夫だ。 少し悪い夢を見ていただけだ」
「へえ~、怖いもの知らずの蓮姫でも怖い夢を見るっしね!」
「誰が怖いもの知らずだ! それに、そんな嬉しそうに言うな!」
「テヘヘ♪」
「なえ、ハルキ。 ところでここはどこだ?」
「あ、覚えてないんだ。 どこまで覚えてるっし?」
「お前と一緒にtirikっていう天井世界に向かっていたところまでだな」
「そうなんだ~。 ちなみにさ、ここはもうtirikだよ。 カムっちが水面から出てきた後、急に性格が変わって、別人のようだったから心配しちゃったんだよ。 でも、いつものカムっちに戻ってくれてよかったっし!」
「なあハルキ!?」
「どうしたのカムっち?」
「私は気絶して寝てただけだろ?
それなのに、性格が変わってたって、どういうことだ?」
「えーとね……、あ、蓮姫、上を見て!」
「こら、誤魔化すな!」
(さてはコイツ、私に何か隠してるな?)
蓮姫は思った。
ハルキは天を見上げると、キラキラと目を輝かせた。