急いで領主の館に向かったぼく達が見た風景は一言で言うなら地獄だった。

周囲の建物の全てが雪崩に巻き込まれたようになっていて、もはや人が住めるような状況ではない。

それに遠くから見える館からは火が燃え上がっていて何者かから襲撃を受けている事が伺える。

「これはいったい……？」

「グロウフェレスの言ってた足止めってまさかこの事なの……？」

　ぼくとダートは無意識の内に言葉にしてしまうけど、もしこれが本当にグロウフェレスの足止めの結果だとしたら彼の作戦は成功していたことになる。

「父様が私達よりも先に街に到着して戦闘を始めたのかもしれないわ」

「そんな事って……」

「本来の予定であれば昨日の内に私達が先に領主の館に付いてルミィとダリアを救出する予定だったけど、色んな事があって予定が一日ズレてしまったもの、父様が使う雪の魔術【雪狼】は雪で作られたゴーレムを作る術何だけど一度作り出してしまえば破壊されるまで疲れる事無く移動し続ける事が出来るから……」

「……移動速度に圧倒的な差があるって事だね、じゃあこの雪崩に巻き込まれたように破壊しつくされている街並みってもしかして」

「父様の雪狼達がぶつかって起きたんだと思うわ、一体だけなら問題無かったと思うけどそれが数十体いえ……、規模的に100を超えた数で来たらこうなってもおかしく無いわね」

　……となるとこの街にいで領主の館に向かったぼく達が見た風景は一言で言うなら地獄だった。

周囲の建物の全てが雪崩に巻き込まれたようになっていて、もはや人が住めるような状況ではない。

それに遠くから見える館からは火が燃え上がっていて何者かから襲撃を受けている事が伺える。

「これはいったい……？」

「グロウフェレスの言ってた足止めってまさかこの事なの……？」

　ぼくとダートは無意識の内に言葉にしてしまうけど、もしこれが本当にグロウフェレスの足止めの結果だとしたら彼の作戦は成功していたことになる。

「父様が私達よりも先に街に到着して戦闘を始めたのかもしれないわ」

「そんな事って……」

「本来の予定であれば昨日の内に私達が先に領主の館に付いてルミィとダリアを救出する予定だったけど、色んな事があって予定が一日ズレてしまったもの、父様が使う雪の魔術【雪狼】は雪で作られたゴーレムを作る術何だけど一度作り出してしまえば破壊されるまで疲れる事無く移動し続ける事が出来るから……」

「……移動速度に圧倒的な差があるって事だね、じゃあこの雪崩に巻き込まれたように破壊しつくされている街並みってもしかして」

「父様の雪狼達がぶつかって起きたんだと思うわ、一体だけなら問題無かったと思うけどそれが数十体いえ……、規模的に100を超えた数で来たらこうなってもおかしく無いわね」

　……となるとこの街で暮らしていた人達はどうなってしまったのだろうか、ここが戦場になる事は知っていたと思うから多分避難しているとは思うけど、もし逃げるのが間に合わなかったら？、その場合雪狼の群れに飲み込まれて冷たい雪の下に埋まってしまっているかもしれない。

もしそうだったらぼく達に出来る事は生存者を見つけて助け出す事では……

「兄様、あなたの事だから生存者を見つけて助けようとか考えてると思うけど今は割り切るしかないと思う、私達の目的はあくまでルミィとダリアを助ける事だから優先順位を間違えてはいけないわ」

「……分かった、けど道中で発見したらいいよね？」

「兄様……」

「ミュラッカちゃん、レースはこうなったら譲らないから私達が折れるしかないよ」

「……ダート義姉様が言うなら、でも道中で見つけたらね？」

「ありがとうミュラッカ、取り合えずまずは皆に追いつこうか」

　ぼく達が話している間に先に行ってしまったカエデ達を急いで追うと、彼等の向こう側に見覚えのある数人の人影が見える。

あのプラチナブロンドの髪にぼくと同じ水色の瞳……、間違いないダリアだ、そしてその隣で手を繋いで歩いているのはルミィで間違いない。

という事は、その二人を守る様にしてこっちに向かって武器を構えた青年はゴスペルか……

「ダートっ！ミュラッカっ！そこにルミィとダリアがいるっ！それとゴスペルもっ！」

「うん、私にも見えたけど……、何であの子あんなに可愛らしいドレス着てるの？」

「……あれはルミィがダリアを着せ替え人形にして遊んでただけだから、気にしないで義姉様」

「それであんなにかわいく……？、あの子の性格的に凄い嫌がりそうだけど大丈夫だったの？」

「そういう所やはり母親だから分かるのね、嫌がってはいたけどルミィがお願いすると来てくれたわ」

……ぼくの記憶が間違いでなければ嫌がってはいたけど、何処か頬が緩んでいたように見えたから内心凄い楽しんでいた気がする。

そんな事を思っていた時だった……、領主の館の窓という窓から炎が噴き出したかと思うと一瞬にして全体が火に包まれ、少し間を置いて凄まじい衝撃がぼく達の全身を襲ったかと思うとその場に立つ事すら出来ずに吹き飛ばされてしまう。

幸いな事に雪の上だったから怪我は無かったけど、何とか立ち上がるとそこには、思わず眼をそむけたくなる程酷い火傷を全身に負った覇王ヴォルフガングが透き通って見える程に美しい白と水色の大剣を構え屋敷を睨みつけている姿で、思わず【ヴォルフガング……】と名前を呼んでしまったけれどその声は聞こえていないのか反応が返ってこないのだった。