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答え合わせ17「アルフレド王国軍」

 目覚めると、空が薄っすらと白くなり始めていた。

 飛び起きる。


「ノティア! 僕はどのくらい寝てた!?」


「3時間ほど」


 膝枕してくれていたノティアが答える。


「えっ!?」


「まぁ、アタシらもさすがに大休止が必要だったからね」


 何やら食べながら、ベルゼビュート様が言う。


「夜通しの戦闘なんて、老骨にはほとほと厳しいよ……まぁ、前線の様子はレヴィアタンに見張らせているから大丈夫。で、お前の【無制限アンリミテッド収納・アイテム空間・ボックス】は、神級に至ったってことでいいのかい?」


「【ステータス・オープン】――…は、はは……」



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 無制限アンリミテッド収納・アイテム空間・ボックスLV10

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「スキルレベル、10です」


「あっはっはっ! 先王アリソン様が言うところの『カンスト』ってやつかい」


 ……恐らく、アリソン様の夢? 託宣? を見た直後に9になり、お師匠様の魔石を収納したときの負荷で、さらに10に上がったんだろう。


「神級……うふふ、クリス君。神様になってしまいましたわね」


「あ、あはは……そうだね」


「よし、目覚めたんなら当初の作戦通り、さらに西に進むよ」


「その必要はありませんよ、ベルゼビュート様」


「どういうことだ?」


「ここからは、僕ひとりで【収納】できますから」


 スキルレベルが10になって、色々と

無制限アンリミテッド収納・アイテム空間・ボックス】をどのように使えば何が【収納】できるのか、手に取るように分かるようになった。


「ノティア、僕を空まで連れて行ってくれる?」



   ■ ◆ ■ ◆



 ノティアに手を取ってもらい、ぐんぐんと上昇していく。


「あれ? 寒くもないし息苦しくもありませんわ」


「僕が下の空間から大気を持ってきているからね」


「そ、それも【無制限アンリミテッド収納・アイテム空間・ボックス】ですの?」


「うん。そんなとこ」


 やがて、ロンダキア城塞都市と砦が豆粒くらいの大きさで見えてきた。

 僕は指先で、いまから【収納】したい空間をくるりと囲む。

 すると、城塞都市と砦が真っ白な魔力光で覆われるのが見えた。


「な、何をしましたの!?」


「あの中はもう、僕の世界アイテム・ボックスだ。ほら」


 ノティアに【目録カタログ】を出して見せる。

 家屋や住民や兵器や軍人や……あの空間内に存在するありとあらゆるものが一覧表示されている。


「いま、あの空間の中は時間が止まってる。あとはこうやって――」


 もう1枚【目録カタログ】を表示させ、指で兵器・兵站・軍人をひょいっひょいっと移していく。


「こうすれば、【収納】したいものだけ【収納】できる」


「な、な、なんてこと――…本当に、本当に神様になってしまったんですのね、クリス君」


「ひとつずつ移すのは面倒だな……兵器・兵站・軍人・捕虜は集まれ!」


 念じると、【目録カタログ】の一番上に『アルフレド王国軍の兵器・兵站・軍人及び東王国人の捕虜』という文字が。

 僕はそれを、もう1枚の【目録カタログ】に移動させる。


「【収納アイテム空間・ボックス】を解除」


 と言うと、城塞都市と砦を包み込んでいた光が消えた。


「今頃、大混乱だろうね……終わったよ、ノティア。全部、終わった」


「まだ挙式が残ってますわ」


「僕はもう、弱くはなくなってしまったけれど……それでもいいの?」


「ここまで強ければ、一周回ってもう何も文句はありませんわ。家父長権も、もちろんクリス君のものです」


「あ、あはは……まぁ、ノティアに愛想尽かされないように、謙虚にやらせてもらうよ」






 こうして戦争は、始まらずして終わった。

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