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第22話 病院を守れっ!!


 フレッシャーを蹴っ飛ばした後、賢一は次のゾンビ達が、掴みかかって来る前に駐車場に入った。



「よっと、ギャング達は? どうなっているんだ? 兵士たちは…………」


「今は、向こうも、ゾンビと戦いの真っ最中だよっ! それより」


「はやく、向こうに行くわよっ!」


「ギャアアッ!」


「グルアアッ!」


 駐車場に飛び降りながら、すぐに頃がって、賢一は立ち上がると、車両の方を眺めた。


 その間、やはり柵を飛び越えてきた、フレッシャー&ジャンピンガー達が、銃撃を受ける。



 コルト45を撃ちながら、モイラは敵を足留めしつつ、後ろに下がっていく。


 二発だけ、スカンジウムから銃弾を放ったあと、エリーゼは直ぐさま、踵を返して走って逃げる。



「うわっ! ヤバイッ!? あそこまで、逃げなきゃっ!」


「お前ら、こっちだっ! 急げっ! 援護してやるぜっ!」


「ここからなら…………私もっ!」


 ピックアップまで逃げようとして、ひたすら爆走する賢一だが、前方から仲間たちが助けてくれた。


 ダニエルとメイスー達が、彼の背後から走ってくるゾンビ達を、銃で撃ちながら牽制する。



「向こうは? 兵隊たちも、窮地に陥っているのか? と言うか、ギャング達は殺せたんだな?」


「く、来るなっ! 撃ち殺すぞっ!」


「うわああああっ!?」


「助けてやらねばっ! 喰らえ」


 ハンヴィー&ケネディ・ジープ等が並ぶ方を眺めると、兵士たちも、ゾンビの群れに襲われていた。


 それを見て、賢一は、近くに倒れている黒人ギャングの死体から、拳銃を拾った。



 近寄ってくるフレッシャー達を、白人兵士と黒人兵士たちが、M16A2で撃ちまくる。


 小口径ライフル弾が、三発ずつ連射されるが、敵は次から次へと現れる。



 左右から走ってくる連中を狙い、ジャンも一番形拳銃から一発だけ撃って、援護しようとする。



「奴等の勢いが止まらないっ! ジャン、左側を頼むっ! 俺は右側に行くっ!」


「ああ、そっちは任せたぞっ!」


 十四年式拳銃を撃ちながら、賢一は右側へと走っていくが、何発かは敵の群れに当たる。


 威力は低いが、低反動のため、日本人である彼には扱いやすく、グリップが手に馴染む。



 一方、ジャンが一番形拳銃から放つ、マグナム弾は余り当たりはしない。


 しかし、フレッシャー達に、直接攻撃が当たらなくても、彼に注意は向いたようだ。



「こっちに来いっ! 俺が相手をしてやるっ! ここは病院だっ! 患者は殺らせないぞっ!」


「ギャアアアア」


「グルオオオオーーーー!!」


 一番形拳銃の音を聞いて、フレッシャー達が、ジャンを目指して走ってくる。


 それを見ると、彼は背中側のベルトに拳銃を突っ込み、ポケットからは、タガネを取り出した。



「グルアア~~~~!!」


「うわ、よせっ! やめろっ!」


「死ねっ! この距離なら外さない」


 東アジア系の兵士を、いきなり、ジャンピンガーが現れて、押し倒してしまった。


 立ち止まり、賢一は、横から彼を助けるべく、十四年式拳銃を撃って、敵の側頭部を撃ち抜いた。



「グエエ、エエ…………」


「た、助かった」


「礼は、要らないっ! それより、体制を立て直すんだっ!」


 何処から現れたのか、それは分からないが、取り敢えず、ジャンピンガーは力なく倒れた。


 それを退かした、東アジア系の兵士は、賢一に感謝するが、彼は次なる敵を狙う。



「お前ら、ちか寄せるなよっ!」


「ガルルルル」


「うぐっ!」


「ギャアアアア」


「グ? グルアアーー!!」


 兵士たちを助けるべく、賢一は十四年式拳銃から、フレッシャー達を撃ちまくった。


 その中には、ジャンピンガーも混ざっており、彼を目掛けて、飛びかかってくる。



 さらに、黒人兵士は敵を押さえきれず、首筋を噛まれてしまい、後ろに倒れてしまう。


 また、赤い水着姿の白人女性フレッシャーが走り回る中、白人兵士が、ゾンビに転化した。



「くっ! 起き上がる前に、殺るしかないかっ!」


「グルアア~~~~!?」


「ウアアッ! グッ!」


 白人女性フレッシャーの胸や腹に、何発か、8ミリ弾を撃ち込むと、ようやく敵は倒れた。


 しかし、白人兵士は、防弾ゾンビと化したため、賢一は顔を狙って、弾丸を放つ。



 さらに、死体と化した黒人兵士の顔面にも、銃弾を撃ち込み、二度と起き上がれなうようにする。


 こうして、兵士たちを襲っていた動く死者たちの群れは撃退された。



「グエエ~~!?」


「ギャアアアアッ!」


「次の連中が来るっ! 近づく前に撃ち殺せっ!」


「言われなくてもっ!」


 やっと、撃退したと思ったが、フレッシャー&ジャンピンガー達は、まだまだ左右から現れる。


 隊長が、M16A2を右側の敵に撃つと、太平洋系の兵士も、左側に乱射しまくった。



「まだまだ、来るか? 弾が切れたか? なら、特殊警棒を使うしかないな…………いや、」


 特殊警棒を構えて、両方から迫る敵に対して、賢一は次なる戦いに備える。


 だが、彼は黒人兵士の死体から、M16A2を取ろうと走っていった。



「グエエッ!」


「ウ…………」


「よし、撃ち殺したっ!」


「やったぞ」


 賢一が、M16A2を拾う前に、フレッシャーの群れをを、兵士たちが倒してしまった。


 白人兵士と黒人兵士たちは、弾倉を変えて、また次の敵が来ないうちに、射撃体制を取る。



「敵は? 今度は、モイラ達を助けてくれっ!」


「分かったっ!」


「残りは、正面の連中だけだ」


 生き残った何人かの兵士たちに、賢一は仲間たちを援護してくれと頼み、自らもM16A2を拾う。


 しかし、引き金に指をかけて、撃とうとしたが、弾丸は発射されなかった。



 どうやら、機関部に血液が入って、弾詰まりを起こしたらしく、どうやっても作動しないのた。


 その間に、白人兵士と黒人兵士たちが、周りのゾンビ達を掃討していく。



「ダメか? なら、行くしかないっ!」


 M16A2を投げ捨てると、特殊警棒に武器を切り替えて、賢一は仲間たちの様子を眺める。



「賢一、来る必要はないっ! 今、そっちに逃げるからな」


「ウアアアア~~~~!! ギャッ!?」


「敵が多すぎるんだよっ! だから、こっちから行くしかないんだぜっ!」


「ウアッ!」


「ウオオオオオオーーーー!!」


「ガアーーーー!!」


 ジャンピンガーの側頭部に、ジャンは右手に握る、タガネに力を込めて突き刺す。


 フレッシャーが、真正面から向かってきたので、ダニエルは蹴飛ばしながら、敵を怯ませる。



 しかし、それでも、ゾンビ達の勢いは止まる事なく、五人を追いかけながら走ってくる。


 青い水着姿の黒人女性フレッシャー、黒人作業員フレッシャー、白人警官ジャンピンガー等だ。



「このっ! 来るんじゃないよっ!」


「退きなさいっ!」


「邪魔しないで~~~!?」


 果敢にも、モイラは殿を務めて、ゾンビ達を多用途銃剣で、斬りまくっていた。


 走りながら、自身の前に立ちはだかるフレッシャーを、エリーゼはサップで殴りまくる。



 メイスーは、中華包丁を振り回しながら、敵が正面に来る度に、悲鳴を上げる。



 だが、ゾンビ達は体制を立て直した軍の部隊が、銃撃を加えていき、少しずつ数を減らしていく。



「彼等を援護しろっ!」


「近寄らせるなっ!」


「ウアッ!」


「ギャアアアア~~」


 白人兵士や東南アジア系の兵士により、ゾンビ達は次々と射殺された。



「終わったか? ふぅふぅ…………兵隊たちは?」


 敵が殲滅されたので、賢一は特殊警棒を握りながら、手や顔を振るわせる。


 自衛隊員であるが故、どうしても戦いに参加せざる終えないが、やはり後から恐怖感が胸を痛める。



「そちらは無事か? 頭を銃剣で突き刺せっ! まだ、動くかも知れない」


「武器や装備は回収しろっ! ギャングの連中のもなっ!」


 死体を攻撃したりして、太平洋系の兵士や黒人兵士たちが、忙しなく動いている。



「ありがとう、君たちの助けが無ければ、我々は助からなかった」


「礼は要らない? それより、どうして、無線に出なかったんだ」


 東南アジア系の隊長が歩いてきて、敬礼してくるが、賢一も疲れた顔で同じ返礼をする。



「それは…………困った問題があってな」


 そう呟く、隊長は苦々しそうな顔をしながら、事の次第を語り出そうとした。






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