目次
ブックマーク
応援する
1
コメント
シェア
通報

第29話 ゾンビとの戦いは続く


 賢一たちは、防弾ゾンビの集団に囲まれたが、奴等を排除するべく、必死で武器を振るってた。


 連中は手強く、防弾装備に身を包み、鍛え上げられた肉体は、ゾンビ化しても衰えていない。



「ウゴオオーーーー!!」


「かかって来るなら、早くしやがれ」


 大柄な防弾ゾンビは、豪腕を振るいまくりながら、勢いよく早歩きで、動きだしてきた。


 だが、それでも賢一の目は、鋭く光っており、闘う意思が宿っていた。



「回避してしまえばっ!」


「ウガ?」


 賢一は、姿勢を低く構えると、大柄な防弾ゾンビに捕まる前に左側に、ステップして逃げる。



「はあっ! く…………このままでは、埒が明かないですっ! 何とか、倒す方法を考えないと、いけません」


「と言っても、基本的には殴ったり、斬りつけたりするしか無いわよ?」


「だったら、死ぬまで戦ってやるだけだぜっ! 男なら覚悟を決めて、相手と喧嘩をするまでだっ! 本当は、もう二度としたくないんだけどな」


「とにかく、目の前に集中しろっ! 奴等に頸動脈を噛まれたら死ぬぞっ!」


 メイスーは、バックステップで、一気に下がりながら、防弾ゾンビ達と距離を取る。


 反対に、エリーゼは自ら前に出て、敵の脇下に潜り込むようにして、左足にハチェットを叩きこむ。



 連中の攻撃を、左右に飛び跳ねながら避けつつ、ダニエルは真っ直ぐ、ボロナイフを突きだす。


 ジャンは、タガネを前に出して、攻撃を受け止めて、相手と鍔迫り合いになる。



「ウガアア~~~~!!」


「不味いっ! だがな」


「私を忘れるんじゃないよっ! そら、喰らいなっ!!」


 大柄な防弾ゾンビが再び向かって来たが、賢一は全く動じなかった。


 何故なら、彼の目には、背後に回り込み、背中から多用途銃剣を振るう、モイラが映ったからだ。



「グアア? 」


 大柄な防弾ゾンビは、太ももを後ろから斬られたにも関わらず、その動きは遅くならない。



「しまったね? コイツ、さっきから戦っているけど、倒れそうにない」


「だが、連続で攻撃していれば、倒せるはずだ」


 モイラと賢一たちは、疲れた表情を浮かべながら、大柄なゾンビの動きを観察する。


 奴は、一見すると鈍重そうに思えるが、意外にも動きは早く、その一撃は致命的だ。



「はあっ!? 車の音がするっ!!」


「みんなっ!! 伏せてっ!!」


 ブロロロロと言う、車が走ってくる排気音が聞こえると、次に機銃掃射による金属音が聞こえた。


 賢一とモイラ達は、直ぐに身を伏せて、窓ガラスを割る無数の銃弾を交わした。



「きゃああああっ!!」


「うわああ~~~~~~!?」


「ぐっ! このっ!? 邪魔だっ!」


「グオオーー」


「ヤバイわね…………」


「ガアガアッ!」


「グルアア~~~~」


 後頭部を、両手で押さえながら、メイスーは床に倒れたたまま動けなくなった。


 何とか、銃撃を交わしたばかりのダニエルも、悲鳴を上げて、腰を抜かしてしまう。



 ジャンは、防弾ゾンビに押し倒されながらも、相手を押し退けようと踏ん張る。


 自身に向かってくる二体の敵を、撃退しようとして、エリーゼは蹴りを何度も放った。



「みんな? 生きてるかっ! 今ので、何体か減ったな?」


「相変わらず、図体が、デカイのが残っているけどねっ!」


 賢一とモイラ達は、仲間たちに合図を送り、連携を取ることにした。


 彼等が相手をする、ゾンビ兵部隊は、大柄なのも含めて、機銃掃射により四体にまで減っていた。



「一体ずつ、集中攻撃だっ! 今ので、だいぶ、コイツ等も弱っているっ! それに、銃撃もできるっ!」


 賢や一の声が響き、仲間たちは彼に応じて動き出し、防弾ゾンビ達に向かって、一斉射撃した。



「銃撃できると言うより、誰かが撃っちまったからなっ!」


「全く…………いったい、何処の誰なのよ」


 ダニエルは、背中側のベルトに無理やり突っ込んでいた、トンプソンを取り出し、乱射を始める。


 スカンジウムを撃ちながら、防弾ゾンビ達に向かって、エリーゼは必死に抵抗する。



「撃ちますよっ! あ…………しまったわっ! 抜けないっ! なら、こっちに頼るしか?」


「銃を撃つ前に、退けろっ! この野郎っ!!」


 背中側から、M1カービンを抜き取ろうとして、メイスーは慌ててしまう。


 銃身が引っ掛かり、なかなか取れないので、仕方なしに散弾を込めた、パイプガンを撃つ。



 ジャンは、タガネで防弾ゾンビの額を何度も殴り、首を押さえて、体を床に叩きつけた。


 こうして、二人は軍人ゾンビ達を倒したが、彼等へと直ぐに次なる敵が歩いてくる。



「取り敢えず、周りの連中からだっ!」


 AR15を、賢一は単発連射しまくり、エリーゼに近寄る防弾ゾンビ達を撃ち殺す。


 この距離なら、防弾装備も意味はなく、ライフル弾で、軽くアーマーなどを貫ける。



 次いで、ジャンを襲っていた奴に、照準を合わせると、すぐさま何発か弾丸を放つ。


 こうして、二人を襲っていた連中は、床に崩れ落ち、残りは大柄な防弾ゾンビだけとなった。



「グオオオオーーーーーー!!」


 残るは一体だが、大柄な防弾ゾンビは、外から何発もの弾丸を浴びても、倒れなかった。


 当然、賢一たちの銃撃を浮けても、奴はビクともせず、弾は腹から背中へと突き抜けていくだけだ。



「はあっ! 無敵かよっ! このままじゃ?」


「グアア?」


「アア…………」


「不味いわ、外から銃声で集まり出してる」


 全員の集中射撃を浴びても、まだまだ体力があるらしく、大柄なゾンビは倒れない。


 そして、賢一は時間がかかると、他のゾンビ達が、外から現れると思いながら窓を見た。



 もちろん、外には小走りしながら、ゾンビの小集団が、何処かへと向かっていく姿が見える。


 しかも、彼が予想した通り、窓辺にも敵が集まっており、エリーゼが勢いよく拳銃弾を放つ。



 彼女の握る、スカンジウムからは、何回も銃火が吹き、窓を越えようとする敵の頭を弾く。



「グオオ、グオオ~~~~」


「こっちも、何とかしないと、食われちまうぜっ!」


「私に任せなっ!」


 大柄な防弾ゾンビは、暴れまわり続け、豪腕を振るうため、ダニエルは近づかないようにする。


 彼に代わって、モイラが前に出ると、ヘンリー小銃を構えて、引き金とレバーを動かしまくる。



「グアア~~~~!?」


「やったねっ!」


「ああ、しかし? アダムスの方は?」


「銃声がしましたっ! きっと、向こうにもっ!?」


 大柄な防弾ゾンビは、モイラにより、顔面に何発もの弾丸を浴びまくり、ようやく後ろに倒れた。


 おそらく、脳ミソを破壊されたため、流石に動けなくなったと思われる。



 それを見て、今度は、アダムス二等兵を助けないと成らないと、賢一は背後に振り向く。


 すると、メイスーは突如ドアの向こうから響いた銃声に驚いてしまう。




「大丈夫かっ! アダムスッ!」


「大丈夫ですかっ!」


「開けるよっ! 邪魔だっ!」


「た、助けてくれえ~~~~」


 賢一は、即座にドアを開けながら、目に入った整備士ゾンビの腹を蹴り飛ばす。


 中華包丁を振り回しながら、メイスーは怖がりながらも、部屋に侵入してきた敵に挑んでいく。



 室内に、飛び込んでから、モイラは周辺を走るゾンビ達を、ヘンリーの銃床で殴る。


 アダムス二等兵は、どうやら生きているらしく、M4カービンを撃ちまくっていた。



 ここにも、奥から続々と、動く死者たちが、攻め込んできてきた。



「チッ! これじゃ、食べられるだけだぜっ! どうするんだよっ!」


「後ろの部屋から出ていくしかないっ! 窓から道路に逃げるぞ」


「援護するわ、こっちのも先に倒さないとね」


「アダムス二等兵は、俺が抱えるっ! 行くぞっ!! 建物から離れるんだっ!」


「おわっ!? ちょ」


「グアアアア」


「ウエ~~~~」


 ダニエルは、トンプソンを撃ちまくり、ゾンビ達を足止めしようとする。


 この距離だと、特殊警棒を使って、賢一は、向かってくる敵を叩きまくった。



 ハチェットを振るい、窓から入ったばかりの動く死者たちに、エリーゼは打撃を与えまくる。


 その間に、ジャンは一人で、アダムス二等兵を肩に担ぐと、勢いよく走り出した。




この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?