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第30話 蠱毒と不死者の決着


「残りMPを8を消費してもう一度ゾンビコマンダーを後列左側に召喚!」


《ゾンビコマンダー》3/7

《特攻ゾンビ》2/1《先制攻撃》

《特攻ゾンビ》2/1《先制攻撃》

《特攻ゾンビ》2/1《先制攻撃》


最悪だ、考えていた中でも一番面倒な手を出された


この状況下だと少々切り札を切りづらいな……


「左右の《特攻ゾンビ》で《蠱毒の鎧虫》に攻撃!」

『『ぁ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛!!!』』

『ーーーーっ!?!?』


《蠱毒の鎧虫》1/4→死亡


《特攻ゾンビ》2/1→死亡

《特攻ゾンビ》2/1→死亡


流石に引っかからないか……《蠱毒の鎧虫》はダメージを与えたユニットを毒状態にするという能力を持っているから出来れば《ゾンビコマンダー》に殴ってもらえた方がありがたかったがな……


「残りの《特攻ゾンビ》で《蠱毒の呪蜂》を攻撃!」


《蠱毒の呪蜂》3/2→死亡

《特攻ゾンビ》2/1→死亡


「《ゾンビコマンダー》で浅麦にダイレクトアタック!」

『ゔぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛!!!』

「ぐぅぅぅううう!?」


《浅麦 誠》HP23→20


「残りのMPをアビリティポイントに変換してターンエンド」


さてどうするか……今場にいるのは《ゾンビコマンダー》2体だけとはいえ職業アビリティの事とか考えるとここでこの2体をスルーする手も無いわけじゃない


「……あんまりギャンブルってのは趣味じゃないんだがリスクを取ってでもやるだけの価値はあるか。

俺のターン!」


俺は引いた手札から次のターン以降にどんな手を取れるか考える


…………ギリギリだな


「コストとしてMPを8消費して《蠱毒王蟲》前列中央に召喚する!」

『ギシャァァァァアアアアアア!!!!』

「まずっ!?」


《蠱毒王蟲》2/10


前列の中央に様々な蟲を無理矢理繋げたような歪な姿の蟲が現れた


「《蠱毒王蟲》の召喚時効果発動!相手プレイヤーを《毒》にする!」

『グルルァァァァァァァァアアアア!!!』

「ぁぁっ!?」


《倉木 拓真》HP22《毒》


このデッキの切り札である《蠱毒王蟲》、このユニットとしての能力は攻撃力はかなり低くHPが高いだけだが召喚時の能力が非常に強力となっている


召喚時に相手のプレイヤーに毒を付与するというこの効果は実質的に相手のプレイヤーへの余命宣告に近い。

《毒》はお互いのターン終了時にダメージを発生させる状態異常だがこれは基本的には僧侶以外で回復させる手段は存在せず、《蠱毒の呪霧》によってそのダメージは一気に加速している


「残りMPをアビリティポイントへと変換してターンエンド」

「うぐっ!?」


《倉木 拓真》HP22→20《毒》


「僕のターン……残り最大でも5ターンか。」


問題は俺が毒で仕留めきるまで耐えられるかだが……そこはなんとか耐えるしか無いだろうな


「コストとしてMP10消費してアクションカード《バイオハザード》を発動する!

空いているマス全てに3/5の《ゾンビ》を召喚する!」

『『『『ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!』』』』


《ゾンビ》3/5

《ゾンビ》3/5

《ゾンビ》3/5

《ゾンビ》3/5


中々えげつないカードを……これ《ゾンビマスター》みたいなのが残っていた場合4/6のユニットが何体も出てくる事になるぞ。

一気に打点を増やしてきたな……


「《ゾンビコマンダー》2体でダイレクトアタック!」

『『ぅ゛ぅ゛ぅ゛う゛う゛う゛!!』』

「うっ!?ぁぁっ!?」


《浅麦 誠》HP20→14


「ターンエンド…、ぐぅ!?」


《倉木 拓真》HP20→18《毒》


「俺のターン、MPをアビリティポイントに変換して職業アビリティ《蠱毒の呪霧》を発動!全てのユニットを《毒》にして与える毒ダメージを更に+1する!」

『『『『『『お゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛!?!?』』』』』』


《浅麦 誠》HP14《与毒ダメージ+2》


《ゾンビ》3/5《毒》

《ゾンビ》3/5《毒》

《ゾンビ》3/5《毒》

《ゾンビ》3/5《毒》

《ゾンビコマンダー》3/7《毒》

《ゾンビコマンダー》3/7《毒》


「更にMPを3消費してアクションカード《ポイズン&ドロー》を使用する。

相手の場にある《毒》状態の数だけドローする!」


現在の手札は4枚の為デッキから引いた一枚はそのまま手札に加える事が出来ずに消滅するがこれでかなり手札は充実した。

更にピンポイントでありがたいカードめ来てくれた。


「コストとしてMPを6消費してアクションカード《魔剣解放》を発動!

相手プレイヤーの前列に2ダメージ、後列に4ダメージを与える!」


俺は目の前に現れたかなり禍々しい剣を握りしめ、力を込める。


するとその剣から黒い衝撃波が発生して倉木のモンスター達を薙ぎ払った


《ゾンビ》3/5→3/3《毒》

《ゾンビ》3/5→3/3《毒》

《ゾンビ》3/5→3/3《毒》

《ゾンビ》3/5→3/1《毒》

《ゾンビコマンダー》3/7→3/3《毒》

《ゾンビコマンダー》3/7→3/3《毒》


「ターンエンド!」

「あがっ!?」

『『『『『『ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!?!?』』』』』』


《倉木 拓真》HP18→15

《ゾンビ》3/3→死亡

《ゾンビ》3/3→死亡

《ゾンビ》3/3→死亡

《ゾンビ》3/1→死亡

《ゾンビコマンダー》3/3→死亡

《ゾンビコマンダー》3/3→死亡


「僕のターン。

それにしても不味いなぁこれ……だけどまだもう一枚あるんだよ!

全てのMPを消費してアクションカード発動!《バイオハザード》!」

『『『『『『ゔぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛!!』』』』』』


《ゾンビ》3/5

《ゾンビ》3/5

《ゾンビ》3/5

《ゾンビ》3/5

《ゾンビ》3/5

《ゾンビ》3/5


「ターンエンド!っぐ!?」


《倉木 拓真》HP12→9《毒》


確かにこのターンで全体を毒にするだけじゃ確実に負けるし職業アビリティへの警戒込みで安全圏にするには2体以下になるまで《ゾンビ》をこのターン中に倒す必要がある


普通に考えればかなり無茶だし俺も手札が余程良くない限り諦める……だが俺には先程の《ポイズン&ドロー》で引いた大量のカードがある!


「俺のターン!MPを全て使い切ってアクションカード《猛毒の呪霧》と《魔剣解放》を発動!

全てのユニットを《毒》にして前衛に2、後衛に4のダメージを与える!」

『『『『『『ぁ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!?』』』』』』


《ゾンビ》3/5→3/3《毒》

《ゾンビ》3/5→3/3《毒》

《ゾンビ》3/5→3/3《毒》

《ゾンビ》3/5→3/1《毒》

《ゾンビ》3/5→3/1《毒》

《ゾンビ》3/5→3/1《毒》


「ターンエンド!」

「ううっ!?」

『『『『『『ぁ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛………』』』』』』


《倉木 拓真》HP9→6


《ゾンビ》3/3→死亡

《ゾンビ》3/3→死亡

《ゾンビ》3/3→死亡

《ゾンビ》3/1→死亡

《ゾンビ》3/1→死亡

《ゾンビ》3/1→死亡


「僕のターン……と言いたいところだけど降参するよ。

流石にこの状況を覆すだけの手段は無い」


《浅麦 誠》win




勝負の決着がついてから俺たちの意識はデュエルフィールドの外へと戻された


「結局倉木の職業アビリティは何だったんだ?」

「《死への覚悟》だよ使ったらユニットが死ぬ以上下手なタイミングで使えないし毒で全滅を何度もやられたから流石に使うタイミング逃しちゃって……」


あぁ……確かにどっちかと言えばあの職業アビリティはトドメをどうしても指したい時とかじゃないと逆にデメリットの方が大きくなるからな


「にしてもまさか《バイオハザード》2回を連続で全滅させられるとは思わなかった……あのカードはコストが重い割にダメージがそこまで大きくないからあまり注目してなかったがあんな使い方があるなんてね」

「正直『ポイズン&ドロー』が無ければ負けてただろうな

やっぱり普段使わないデッキだったのもあってデッキ構築が甘すぎたな」


俺はタブレット端末をデュエルフィールドから引き抜こうとしたが画面を見て動きを止める。


『データアップロード中……プレイヤーデータ更新及び解析中……』


…………?プレイヤーデータの解析?


少し妙だな、今でもそんな表示が出ることは無かったんだが……


とりあえずタブレット端末の方はしばらくデュエルフィールドとのデータのやり取りがある為一旦そのままにすることにしてモニターを通して他のデュエルフィールドを見てみることにした


「ふざっけんなぁぁぁぁぁあああああ!?!?!?」

「あわわわわわっ!?」


するとすぐに別のデュエルフィールドの方から勝負が終わったのか我慢出来ないとでも言いたげな怒りの声が聞こえてきた


ってよく見たら久慈川さんの所だな


ちょっとデュエルフィールドに近付いてリプレイ機能から勝負のログを見てみたら見事なくらいにお互いの盤面を攻撃力0のユニットで埋め尽くされた状態でデッキ切れまで耐久されていた


完全に俺の手口と殆んど変わらねぇなこれ……


「え、えげつない……」

「2人目の浅麦じゃねぇか……」

「うわぁ……」

「チッ……」


なんというか周囲からの評価は散々だが俺からしてみれば久慈川さんなりにとても良い感じで戦えていたと思う


しばらくすると全員のデュエルが終了した為全員が自分達が戦っていたデュエルフィールドへと戻り先生達が作業を終えるのを待つ


「よしよし……データは十分、これでどうだ!」

「「「っ!?!?」」」


すると先生達のところにある大型の機械がいきなり稼働し始め、何やら空間に亀裂が入るように空中に謎のヒビが入った


ヒビはどんどん広がっていき、やがて砕けて空間の穴のようなものが現れ、そこの奥からはこことは全く違う草原のような景色が映っていた


そしてその中から1枚のカードが現れ、教室中を浮遊し始めていた


一体何が起きたんだ……?



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