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第48話 ギリギリの勝負と今後の課題

「オレのターン、MPを5消費してアクションカード《重装化》を発動、全ての味方ユニットに《被ダメージ−1》を付与!」


《カウンターナイト》0/4《挑発》+《被ダメージ−1》

《銃槍の騎士》2/1→《挑発》+《被ダメージ−1》

《クレリックナイト》3/2《挑発》+《被ダメージ−1》


『オシオキだぁ!』

『ぐぁぁぁっ!?!?』


《銃槍の騎士》2/1→死亡


「そっちに飛んでいったか……」


正直このタイミングでの《被ダメージ軽減》は少々面倒だな、実質溶岩の騎士の能力を無効化されている


とはいえ耐久力自体はそのままだから1ターンは耐久出来るはずだ


「………MPをアビリティポイントに変換する」


手札は切らないと来たか、今の《被ダメージ軽減》状態ならある程度は無理が効くが下手なダメージを受けないためだろうな


「《クレリックナイト》で《溶岩の騎士》に攻撃!」

『はぁぁあ!!』

『ォォォォォオオオ!!』


《溶岩の騎士》0/12→0/9《挑発》


溶岩の騎士がダメージを受けると同時に噴火のごとく大量の溶岩塊を撒き散らすが《被ダメージ軽減》のせいで誰にもダメージは入らない


正直本気で硬すぎる……元々準備が整うまで俺のデッキは火力控えめな方ではあるが全くと言っていいほど削れない


「ターンエンド」

「俺のターン。

コストとしてMPを4消費して前列中央に《棘盾の騎士》を召喚」

『お守りします!』


《棘盾の騎士》1/6《挑発》


「更に職業アビリティ《奪う》を発動し、先輩のデッキから更に2枚カードを盗む」


先輩のデッキから更にカードが2枚抜き取られて俺の手札へと加わる


「まずいな……」


現在俺の盗んだカードの総数は8枚、先輩のデッキは残り9枚、いい加減焦りも出てくるのだろう


そしてこっちも一気に畳み掛ける為の最低準備は整った


奪ったカードはコスト10の《要塞の重騎士》、コスト8の《後方支援騎士》


どちらもコストが相当重い……地味に一番拾いたくないカードだな……使い道がない


「残りのMPを消費して後列右側に《盗賊の用心棒》を召喚。

召喚時に代償として手札からカードを2枚処分する」


《盗賊の用心棒》4/4


俺は手札こら先ほど奪った《要塞の重騎士》と《後方支援騎士》を処分する


流石に何時まで手札に入れてても邪魔にしかならないからな……


「《裏の何でも屋》で《クレリックナイト》を攻撃」

『悪いが依頼なんでな!』

『がはっ!?』


《クレリックナイト》3/2→死亡

《裏の何でも屋》4/6→4/3


「ターンエンド」


《盗賊団のアジト》耐久値1→破壊


《盗賊団のアジト》の耐久値が0になって破壊されるが正直ここまでくればもう《盗賊団のアジト》は必要ない


ピースが揃った以上次のターンから畳み掛けていくまでだ


「オレのターン。

MPを8消費して後列中央に《後方支援騎士》を召喚」

『支援物資の補給であります!』


《後方支援騎士》2/8《攻撃不可》


『オシオキだよ〜!』

「くっ!?」


《殻盾 衣》HP30→28


手札にもう1枚あったか……


俺が奪ったカードと同じそのユニットは攻撃が出来ない代わりにかなり面倒臭い能力を持っている


「《後方支援騎士》の能力発動!

このユニットが後列にいる場合前列にいる味方ユニット全てを+2/+2する」


《カウンターナイト》0/4→2/6《挑発》《被ダメージ−1》


この能力の厄介な所は《後方支援騎士》が場に存在する限り新しく召喚されたユニットにも有効な点だ


「《カウンターナイト》で《溶岩の騎士》を攻撃!」

『はぁぁぁ!』

『ーーーー!?』

『熱いであります!?』


《溶岩の騎士》0/9→0/7《挑発》


《後方支援騎士》2/8→2/7《攻撃不可》


「《後方支援騎士》の能力発動、前列の味方ユニットが攻撃した場合攻撃した相手に同じダメージを追加で与える!」

『支援攻撃であります!』

『ーーーー!!!』

『あついのであります!?』


《溶岩の騎士》0/7→0/5《挑発》


《後方支援騎士》2/7→2/6《攻撃不可》


「ターンエンド」

「俺のターン。

《裏の何でも屋》で《カウンターナイト》を攻撃する!」

「《カウンターナイト》の能力発動、このユニットは攻撃される時、そのターンの間だけ攻撃力を+2する!」

『悪いが死んでもらう!』

『見えている!』

『何ッ!?』


《カウンターナイト》2/6→4/6《挑発》《被ダメージ−1》


《カウンターナイト》4/6→4/3《挑発》


《裏の何でも屋》4/3→死亡


「悪いなランタン王ジャック、今回はここまでだ

《いたずらの化身・ランタン王ジャック》で《カウンターナイト》を攻撃!」

『仕方ないなぁ……ばぁぁ!!』

『ぬうっ!?』

「何が狙いだ……?」


《カウンターナイト》4/3→4/1《挑発》《被ダメージ−1》

《いたずらの化身・ランタン王ジャック》3/3→死亡


ランタン王ジャックは本来は攻撃させる理由は無いのだが、あるカードを使う為に出来るだけこちらの場を空ける必要があったため仕方なく処分する


「更に《盗賊の用心棒》で《カウンターナイト》を攻撃!」

『ヒャーッハハハハ!!』

『ぐぁぁぁぁ!?』


《カウンターナイト》4/1→死亡

《盗賊の用心棒》4/4→死亡


「更に職業アビリティ《奪う》を使用し先輩のデッキからカードを2枚ドロー」


これでこっちの準備は完全に整った


「コストを支払わず後列左右に《古の山賊王》を召喚!」

『『ォォォォォオオ………!!』』


《古の山賊王》3/6《2回攻撃》

《古の山賊王》3/6《2回攻撃》


「更に後列中央にコストを8消費して《強欲なトリックスター・アルセーヌ=グリード》を召喚!」

『フハハハハハハ!!』

「2枚目のユニークレアッ!?」


《強欲なトリックスター・アルセーヌ=グリード》2/2


「《強欲なトリックスター・アルセーヌ=グリード》の召喚時効果発動。

このカードが召喚された時、俺の手札に加わったデッキ外のカードの枚数によって能力を得る。

俺が得たデッキ外のカードの総数は10、よってアルセーヌ=グリードに+3/+3し、《先制攻撃》を付与。

更に相手のデッキからユニットを3枚まで自分の空いているマスに召喚し、このターン召喚された全てのユニットに《先制攻撃》を付与する!」

『さぁ!ショータイムだ!』

『『『ォォォォォオオオ!!!!』』』


《古の山賊王》3/6《2回攻撃》+《先制攻撃》

《古の山賊王》3/6《2回攻撃》+《先制攻撃》

《破城の重騎士》6/4《挑発》《先制攻撃》


っ!アルセーヌが中々に良いカードを奪ってきた


「ダイレクトアタックによる総攻撃だ!」

「ぬぐっ!?おぉぉぉおおおお!?!?」


《殻盾 衣》HP28→25→22→19→16→10→9→4

「ターンエンドだ」


先輩は自分の盤面と手札、そして残り枚数が極端に少なくなった山札を見て考え込む


「……流石に降参だ」


先輩がリタイアしたことにより俺の勝利判定となった


「……はぁ、割とギリギリだった。

先輩の使ってる型ってどう考えても《鉄壁の守り》を利用した大器晩成型のデッキですよね?」

「あぁ、やっぱりバレてたか……通りでこっちの盤面をかなり無視する訳だ」


《鉄壁の守り》……『重騎士』の職業アビリティの一つであり、味方ユニット1体に《被ダメージ−5》と味方全体へのあらゆるダメージを引き受ける《身代わり》を1ターンの間付与するといった効果だ


付与できるユニットは1体だけな上に必要アビリティポイントも20とかなり高いがこれを付与されたユニットを落とすのははっきり言えば即死以外ほぼ不可能だ


そんなものを《後方支援騎士》が後にいる状態で前衛に新しく召喚された10コストのような高コストユニットにでも付与されれば確実に崩すのは不可能だ


そして最後まで職業アビリティを使わなかったという事実からどう考えても狙いは味方への連続付与


そしてそんな盤面が完成してしまえば誰も倒せないまま時間を稼がれて前衛にコストが8〜10の化け物共が並ぶとんでもない状況を作り出してしまうだろう


恐らくだが俺が仕掛けるのがあと1ターン遅かったら本気で不味かった……奥の手にロストディザスターは用意していたが正直手札とデッキを枯らさないと勝機は無かっただろう


これが上級職に到達した二年生の実力……とてもじゃないが3年生に挑むには少し早いな


俺は視界が切り替わったのを確認し、元の場所に戻ったのを理解した途端一気に脱力する


「はぁ……やはりと言うべきか突破力が圧倒的に足りてない」


確かにアルセーヌもロストディザスターも召喚すれば一瞬で戦況を大きく覆すだけの力を持っている


だがアルセーヌは召喚するまでに十分なほど相手の盤面を整えられていると確実に通らない


ロストディザスターは確かに強力だが他のユニットが召喚出来ない上に《挑発》持ちを出されただけで簡単に止まってしまう


「この弱点だけはどうにかしないとダメだな……」



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