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第49話 3年生とのデュエル

俺はその後も身を隠しながらスナイプを続けた


中には3年生なんかもスナイプ出来た時はあったのだが結果としては7勝3敗、しかも3年生には全敗だった


2年生はまだ俺が知っている上級職も多い為対処できるんだが3年生クラスになってくるとユニーク職業も増えてくる上に普通の上級職でもかなりの経験を伴ってくる為に普通にユニークレアを持っていたり一部搦手を使ってくる人もいた


先輩方は世間一般的に見れば邪道なのは間違いないが戦術としては間違ってないと言っていたのが少し意外だった


とはいえ2年3年にもこの手の戦術を卑怯だと言う人もいる為に完全に受け入れられているわけではないそうだ


負けても減るポイントは少ないとはいえ2年の先輩方からなんとか稼いだポイントをゴッソリ持っていかれたのは少々痛いな


「現在のポイント数はおよそ260000……やっぱり2年生……のポイントが相当美味いが3年生の先輩方に負けたのもあって7万以上持ってかれたか……。

そうなってくると出来るだけ2年生の先輩方中心で狙った方が良さそうだな」


俺は周囲の状況を見渡しながら獲物となる生徒を探していく


現在周囲の生徒の数は少なく、2年生が2人に3年生が1人いる程度だ


1年の姿が殆ど見え無い所を見ると周辺の1年はかなりの数が脱落又は隠れていると見える


他のエリアからこちらへと来る様子もない為恐らく俺の場所は完全にバレてないとしても何者かが潜伏しているというのはバレてそうだな……ひとまず周囲の2年生と全員勝負した後潜伏場所を変えたほうが良いだろうな






「《文明の破壊神・ロストディザスター》でダイレクトアタック!!」

「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁああああ!?!?」




ひとまず周囲の2年生達に隠れながら勝負を挑み続けた


困ったことにこちらが移動したくても勝負がある事に気づいているのか3年生の先輩がこちらの周辺を嗅ぎ回っており動けず、更に他のエリアから2年生が入ってくる事態が多発してしまい下手に動けなくなった


少なくとも今の実力では3年生相手に勝率を安定させることは不可能だ、せいぜい2〜3割勝てれば良い方だろう


それに3年生の先輩方に獲物をそうなんども取られるのもちょっと面倒な為に俺が率先して勝負を仕掛ける必要がある為にかなりキツかった


戦績としては14勝6敗……2年生相手ではやはり俺は勝率6〜7割が今の限界のようだ


それにデッキ相性の問題もあるからな……どうしても対面との相性で負ける時はそれなりに出て来てしまった


「ふぅ……ポイントは396000か……だいぶ貯まってきたな。

いや、多分バトルの回数がどんどん増えてるのもあって先輩方のポイントが少しずつとはいえ増えてるからか……ルール上ポイントの最大値はどんどん増えていく仕組みだしな」


生徒会に入れるように鳴るまではあと104000か……まだ割と遠い方だな……それにしても久慈川さんは大丈夫だろうか?

俺のようにどこかしらに隠れられているといいんだが……


俺は周囲を木の葉に身を潜めながら見ているがやはり久慈川さんの姿はない


彼女はその戦い方の都合上一試合の時間がかなり長い方だ

俺の場合相性が良ければ10ターン以内の短期決戦で終わる事も多いし例え相性が悪くとも最終手段の一つである《文明の破壊神・ロストディザスター》による盤面破壊によって《先制攻撃》でも飛んでこない限りは大体どうにかなる


唯一武器系統だけは苦手なほうではあるがそっちもそっちで対策自体はあるからな


「……現状ランキングは4位か、結構遠いな。」


俺は手元にある端末から専用の画面を表示させてこの争奪戦の獲得ポイントランキングを確認する


俺は何度か負けてはポイントは持ってかれているが今回の争奪戦において持っていかれたポイントはランキングに影響せず、俺の端末のみ悪影響があるだけの為目標が明確に見えてくる


俺の現在の獲得ポイント総数は3860787、やはり負けによって持っていかれる1割はかなり痛いな


1位の総獲得ポイントは489432、やはりと言うべきか3年生……しかも俺が一度やられた相手だ。

あの人のデッキは確かアクションカード主体による速攻型……しかも盤面制圧力も高い上に盤面を無視して直接プレイヤーに攻撃をしてくるためにかなり厄介だ


逆に久慈川さんの場合は回復の回数がえげつない上に全体回復なんかも豊富な為にかなり相性が良かった


そんなこんなで何度かスナイプでのデュエルを行い続けているとランキングに大きな変化が出来た


「ん?はぁ!?」


隙を見て争奪戦のポイントランキングを観ていたがが久地川さんが勢い凄まじく上げており、現在3位まで順位を上げた俺に対して久地川さんは6位までポイントを伸ばしていた先程いきなりポイントが十数万単位で伸びていたので恐らくだがジャイアントキリングに成功したのだろう


って事は3年生相手に特殊勝利成立させたのか……流石だな


俺も狙えそうな3年生を探すか……相性が良い人がいればいいんだが……


今回参加している3年生は実はそこまで多くない


理由としては2年生や1年生にある程度配慮しているというのもあるらしいが単純に3年生にまでなってくるとデッキがほぼ完成され尽くしており、下手に手を加える事が出来なくなってしまうらしい


これは3年生だけに言えたことではなく、大会なんかに出場するプロの選手なんかも実は同じ状況に陥っている人が相当多いらしい


そしてそういう人物に限って2つ目のデッキなんかを作ろうとするとカード不足により逆にまともなデッキを組めないという事態に陥りやすいそうだ


俺の場合はデッキを作る場合先にカードを使わずにデッキの構築のみを行ってから完成したデッキに足りてないカードをピンポイントで手に入れるためにカードショップ等に向かうという例か多い


特に汎用性が高く他のデッキにも入れられるようなカードは10枚単位で購入するようにしている為に意外と組むだけなら困らないのだ


特に所持しているユニークレアに対してよほど思い入れのあるような人物に至っては余程のことでも無い限りそのカードを使わないデッキを採用する事はない為に余計に一つのデッキに拘ってしまうのだ


この辺りはこの世界特有の価値観なんだろうな……ユニークレアは同じカードが一つとして存在しない以上複数のデッキで同じユニークレアを入れておくなんてのも不可能だからな


少なくとも世界大会の上位者でさえユニークレアの所持数はせいぜい2〜3枚らしい


基本的にどの選手も一つのデッキにユニークレアを全て入れているパターンが多い為に複数デッキを用意する人物は変わり者の部類に見られるようだ


まぁポンポン出たりとか普通に購入出来てる俺がおかしいだけか……どれもすっげぇピーキーだけど


「正直搦手で上級生相手に戦うならもう少し別の手段が必要になりそうだな……この争奪戦が終わったから一度手持ちのカードの効果を全て見直してみるか」


そんな事を考えながら周囲を見渡していると周囲の3年生の中でもある1人に注目する。


確かあの人は"泡瀬ツクル"先輩だったか、職業は素材となるカードを複数合成してデッキにはない特殊なトークンカードを召喚する鍛冶師から派生した特殊な上級職であるマシンメイカーだったか……確かこの手の職業の人は必要になるカードが多いから手札を消されたりとかカードを盗まれたりするのは苦手なんだったか


「いけるか……」


正直現在先輩に三連敗している状態な為にこれ以上の敗北は避けたい所だが久地川さんだって頑張ったんだ……彼女の場合勝負を挑まれて逃げれなかったみたいなパターンもありそうだが彼女がやったのであれば俺も負けていられないな


俺はポインターを起動して泡瀬先輩へとターゲットを合わせる。

そしてその直後、俺の視界に映る景色が全く別の場所へと切り替わっていった


正面にはガレージなんかで作業していそうな感じの作業着に頭部にゴーグル、背中に巨大なスパナを持っていた


「っ!?ハハハ……迂闊だったな。

よりにもよって一番相性が最悪な相手に見つかったか!」

「悪いんですが先輩、俺も先輩方に負けてられない理由があるんで容赦なく行かせてもらいますよ!」

「そう簡単にやられてはあげないよ1年坊!」

「「デュエル!!」」




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